バトル・オブ・フォート・ダイナソー #2 後編
「このインゴットは、うまい」ヘルレックスは皿の上に置かれた高級バイオインゴットを無造作につまみ、またひとつ口元へと運んだ。むろんヘルレックスは、それが欧州で人気のミニバイオペット用バイオインゴットであることを知らない。 44
2023-08-09 23:50:25「ハハハハ!そうだろう、そうだろう。当然だよ。トリュフ・フレーバーつきの最高級品だからね。もうじきに、フォアグラ・フレーバーのものも大量に到着する予定だ。欧州からジェット空輸であっという間さ!」「すばらしい。何もかも全て、おまえの言うとおりだったな、宣教師よ」 45
2023-08-09 23:52:54「勘違いをしないでほしい。これは私の力ではなく、神の力だ。死せる電子の神が、無限の富をもたらしてくれているんだよ」「GRRRRR……神か。神も気に入ったぞ。いいやつだ」「それは良かった!実はこの一帯を拠点として、論理聖教会の支部を作ろうと思っているんだよ」 46
2023-08-09 23:55:54「差し当たって、向こう数年間のうちに、大規模なジェネレーターをこの辺りに数十基建造する。さらにデータセンター大聖堂も作って、南米大陸の全電力とタイプ速度をここで賄えるようにしたいんだ」「GRRRRR……好きにしろ。そうすれば、もっとカネが入ってくるのだろう?」「もちろ……」 47
2023-08-09 23:58:10ブガー!ブガー!ブガー!ブガー! 宣教師の声は、突然の警告ブザー音に遮られた! 「GRRRR……軍師ロングモーン=サン、なにが起こっている」 「わからない」 「ウイングドテラー=サン」 「わかりません」 「GRRRRR……おい、神は何と言っている」ヘルレックスは苛立ち始めた! 48
2023-08-10 00:01:26「こ、これは侵入警報です!いま映像を出しますよ!」 宣教師は直結UNIXをテキパキと操作し、壁に並んだモニタに周囲の密林の様子を映し出した。そこには爬虫類じみたバイオニンジャ、下半身が大鹿のバイオニンジャ、そして黄金クワガタの頭を持つバイオニンジャがいた。 49
2023-08-10 00:05:08「GRRRRR……あれはハイドラ、セントール、ローゼンベルグか……」 「何者ですか?」 宣教師が問うた。ヘルレックスは唸るように笑い、指の骨をバキバキと鳴らしながら立ち上がった。 「俺たちをだましていたカイシャのやつらだ。その中でも特に頭の悪いやつらが来たようだ……」 50
2023-08-10 00:06:54「ダイナソー・カラテで、やつらに思い出させてやる。この密林の真の王者が、だれなのかをな」 51
2023-08-10 00:09:22