バトル・オブ・フォート・ダイナソー #2 後編

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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【バトル・オブ・フォート・ダイナソー】　#2　後編

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◇主な登場人物◇

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【ハイドラ】 サワタリ・カンパニー社員で、強い再生能力を持つバイオニンジャ。最古参であり、フォレスト・サワタリとの付き合いは最も長い。社内のカラテ指南役と力仕事を担当している。隠し砦「フォート・ハイドラ」を任されている。 【フォレスト・サワタリ】 元ヨロシサン製薬社員であり、「グエン・ニンジャ」のソウルを憑依させたニンジャ。インディペンデント製薬会社兼小規模ニンジャクラン「サワタリ・カンパニー」のボスとして、アマゾン川流域で暮らしている。竹槍が得意。 【ローゼンベルグ】 ローゼンベルグ・オウゴンオニスタッグ昆虫の力と人間の力を組み合わせたバイオニンジャ（全長２メートル）。奥ゆかしい職人気質で、辛抱強く分別がある。また人間かニンジャかを問わず、全てのサワタリ・カンパニーメンバーに対し敬語で接する。 【マインドキル】 サワタリ・カンパニー社員。ピンクのイルカ型バイオニンジャで、マインド攻撃の力を持つ。非ニンジャの社員、モニカと強い信頼関係を築いている。普段のコミュニケーションはヘッドギアから頭上に投射する漢字ホロ装置を用いる。 【K2とK3】 かつてヨロシ・バイオサイバネティカ社が日本のカマイタチ伝説になぞらえて開発し、３体ひとセットでの運用を考えていた少年型バイオニンジャ・シリーズの、貴重な生き残り。ヨロシサンの遺棄施設内で弟のK3とともに発見され、餓死寸前のところを救出された。 【セントール】 ヨロシサン製薬のバイオ鹿工場爆発事故によって生み出されたバイオニンジャ。下半身が大鹿のそれであり、頭には角も生えている。主武器はサスマタ。数々の激戦をくぐり抜け、今なおサワタリ・カンパニーの主戦力の一人。密林内の巡回警備役も勤める。

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ここでフォレスト・サワタリは腹を括り、一大決心をすることになる……。それこそが、サワタリ・カンパニーの設立であった！　0

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ヨロシサン製薬の生み出すバイオインゴットに依存することなく、独立独歩で生きる自由を手にするには、この地に定住し、ブラックタイガーの調合研究を続ける必要があると、サワタリは結論付けたのだ。世界中をあてどもなく放浪し、バイオインゴットを盗み出すだけの生活は、もう終わりだ。 1

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ヨロシサンが存続しようとしまいと、自分たちがサヴァイヴァルを続けるための手段を、ついに彼らは手にしたのだ。多くの者はこれを喜んだ。だが別れもあった。ファーリーマンは最後まで、サワタリ・カンパニーの設立に反対し続けた。 2

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ファーリーマンは長らくサヴァイヴァー・ドージョーにおける賢者の役割を果たしていたが、文明嫌いであったため、サワタリ・カンパニーの成立と商業的活動の開始をきっかけに袂を別つ決意をし、ドージョー・ドッグタグをサワタリに返却して放浪の旅に出たのだ。その後、彼の姿を見たものはいない。　3

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ビジネスの立ち上げ時は、失敗と衝突の連続だった。何しろ、サワタリ・カンパニーの中の誰一人として、カイシャ運営の経験も、適性も持ち合わせていなかったからだ。そして何より、完成した薬剤を都市に売りに行くための人手が不足していた。　4

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そこへ、モニカとマインドキルがやってきた。これによりサワタリ・カンパニーは、初めてのモータルの社員を雇い入れることになった。そうしているうちに、ディスカバリーが隠されたビジネスの才覚をあらわし、営業活動をバックアップすることとなった。次第にビジネスは軌道に乗り始めた。 5

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この頃には土地勘もつき、麻薬組織や暗黒メガコーポの勢力図も把握できるようになっていた。モータルの社員を雇い入れるのであれば、可能な限りこれらの危険から離れ、かつ濁りエメツの産出ポイントを囲むように本社と支社を設置すべきだと考えられ、それにはマナウス・シティの西が最適であった。　6

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こうして廃墟を後にした彼らは、マナウスの近くで手頃な遺棄施設を発見。そこをフォート・サワタリ、すなわち新たな本社社屋と定めた。その後、西のエメツ採掘拠点を麻薬組織の攻撃から守るためにフォート・ハイドラが作られ、ハイドラが長に任命された。ハイドラはそれをこの上なく誇りに思った。　7

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フォート・ハイドラが築かれてしばらく経つ頃。この砦は初めて外敵による攻撃を受けた。ある日の正午近く、突如凄まじい衝撃でコンクリートの外壁が突き崩され、破壊され始めたのだ。すわ、麻薬組織による襲撃か。敵を皆殺しにする気構えでハイドラが外に出ると、そこにいたのは恐竜であった。　8

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ただの恐竜ではない。それはニンジャの恐竜であった。「ダイナソー・ニンジャクラン」を名乗る３ニンジャが突如密林から現れ、フォート・ハイドラを攻撃していたのである。　9

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首領はヘルレックス。T-REXめいた獰猛な顎を持つ赤茶色のニンジャだ。その体当たりは強化コンクリート壁すらも容易く破壊してしまう。参謀役は水色肌のロングモーン。長い首と長いサスマタを持ち、最も頭が切れる。そして最後はウイングドテラー。紫の肌を持つプテラノドンめいたニンジャであった。 10

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当時、この砦にはハイドラしかニンジャがいなかった。彼は怒り心頭でアイサツし、挑みかかった。しかし戦力差は歴然。近づき過ぎればヘルレックスの危険な爪や顎の餌食となる。だが距離をとれば、死角から忍び寄るロングモーンのサスマタが、そしてウイングドテラーの滑空攻撃が飛んでくるのだ。　11

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それだけではない。アマゾンの河や密林……周囲の全てが、ダイナソーたちにとってのフーリンカザンとなっていた。３ニンジャの白亜紀めいた連携の前に、ハイドラはなすすべなく追い込まれた。そして最終的にはヘルレックスに片腕を食いちぎられ、ブザマに敗走したのである。　12

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「ここはダイナソー・ニンジャクランの森だ。軟弱なバイオどもめ、次に見かけたら殺す」……その時のヘルレックスの言葉が、苦い敗北の記憶とともに、今もハイドラの脳裏にこびりついている。　13

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そう、サワタリ・カンパニーは知らなかったが、この一帯は長年にわたってダイナソー・ニンジャクランの縄張りであったのだ。それゆえに、暗黒メガコーポや麻薬組織も寄り付かぬ、各種勢力の空白地帯となっていたのである。　14

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かくしてサワタリたちは、フォート・ハイドラと周辺のエメツ採掘ポイント、さらにはペルー側へ抜けるための安全な販路をも失ってしまった。ダイナソーたちは縄張りに侵入しない限り攻撃を仕掛けてはこなかったが、厄介な事に、彼らは極めて気まぐれであり、縄張りの境界線も頻繁に変わるのだった。　15

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サワタリ・カンパニーとダイナソー・ニンジャクランの間で、油断ならぬ一触即発の緊張状態が続いた。「もう限界だぜ、大将！何で恐竜どもの顔色うかがいながら生きなきゃならねえんだ！？」と、ハイドラは訴えた。他の者たちも同様であった。　16

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そもそも、ダイナソーニンジャとは何なのか？ バイオニンジャを見下しているような口ぶりだが、その姿形からして、ダイナソーたちはどう見ても人間ではない。やはり彼らも胚培養型のバイオニンジャなのでは？ あるいは、信じがたい事だが、白亜紀から現在まで生き続けるリアルニンジャなのか？　17

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そしてそもそも、ダイナソーの謎を解き明かしたとして、事態は好転するのか？ ……生産性に乏しい会議が毎日のように繰り返された。結果としてサワタリたちは一日の大半をダイナソー対策会議に費やすこととなり、肝心の薬剤調合と営業は遅々として進まず、ビジネスは暗礁に乗り上げようとしていた。 18

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ここでついに、サワタリが行動を起こす。彼はダイナソーの領域に踏み込むと、大音声で名乗りを上げた。そしてヘルレックスに対して戦いを挑み、リーダー同士による一騎打ちで決着を付けることとなったのだ。条件は、勝った方が負けた方の支配下に入ること。極めて単純明快なイクサであった。　19

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死闘は三日三晩に及んだ。サワタリは傷つきながらも、罠と武器を駆使し、敵の体力を徐々に奪っていった。最終的に２人は獣じみて叫びながら、素手で殴り合った。最後に立っていたのはサワタリであった。ヘルレックスはカラテ・アッパーカットで打ち負かされ、大の字に倒れて敗北を認めたのである。　20