稲川淳二の『つぶやき怪談』(2023.05.26)

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稲川淳二 @Junji_Inagawa

その道にも、苔が生えたり、 鬱蒼とした草が生えてるんです。

2023-05-26 20:24:38
稲川淳二 @Junji_Inagawa

上がっていって、ジグザグしたとこ、 ちょうど、削りこんでるもんですから、

2023-05-26 20:24:58
稲川淳二 @Junji_Inagawa

正面に掘りこんだ壁がぶつかるわけですね。

2023-05-26 20:25:02
稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで、それを背にして上がって行くと、 また壁にぶつかる。

2023-05-26 20:25:25
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その時にね、壁んとこを“ヒュッ”と見て、 “ドキッ”としたんですよ。

2023-05-26 20:25:33
稲川淳二 @Junji_Inagawa

目の前に、誰か立ってるじゃないですか! でも、それ、違うんですよ。

2023-05-26 20:25:47
稲川淳二 @Junji_Inagawa

古〜い昔に、誰かが彫った、 仏像のような、人間の形のような、そういったものが、

2023-05-26 20:26:04
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ジグザグの壁の突き当たりに、 彫ってあるんですね。

2023-05-26 20:26:21
稲川淳二 @Junji_Inagawa

トトッと上がって、ぶつかる。 また、トトッと上がって、ぶつかる。

2023-05-26 20:26:31
稲川淳二 @Junji_Inagawa

それを繰り返しながら、 ドンドン上がって行くわけです。

2023-05-26 20:26:48
稲川淳二 @Junji_Inagawa

みんなを送って、私ひとりで帰ってきましたけどね、 これはすごい恐怖でしたねえ。

2023-05-26 20:27:07
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その日、すごい嵐になりましてね。

2023-05-26 20:27:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

(これはたまんねえや) と思いましたよ。

2023-05-26 20:27:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、風が、 まるで犬が走ってくるようなんですね。

2023-05-26 20:28:07
稲川淳二 @Junji_Inagawa

そのうち、 「おお〜い、おお〜い」 って、声がしましたから、

2023-05-26 20:28:29
稲川淳二 @Junji_Inagawa

(あっ!救助隊が来たな)

2023-05-26 20:28:45
稲川淳二 @Junji_Inagawa

と思って、「どうも!」 って、言ったんですよ。

2023-05-26 20:29:14
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ところが、声はすれども、なかなか来ない。

2023-05-26 20:29:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

っていう、その声も聞こえなくなりました。

2023-05-26 20:29:53
稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、しばらくしましたら、 雨が“パタパタ”と当たるのと一緒に、

2023-05-26 20:30:28
稲川淳二 @Junji_Inagawa

“ザッザッザッザッ” と誰かが近付いてくるじゃありませんか。

2023-05-26 20:30:38
稲川淳二 @Junji_Inagawa

(あ、今度こそ、救助の人だな) と思って、私は入り口のところに寝ていましたから、 待ってたんです。

2023-05-26 20:31:04
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