電子書籍販売モデル

電子書籍がお金になる、安く出せる、という話題はよく取り上げられるのですが、実際にどのくらいのお金が動くのかは語られることが少ないので、ためしに紙の本を電子書籍として再販売した場合のモデル例を作ってみました。個人的には凡作が電子で500冊はいくらなんでも売れ過ぎな気がしますが、未来の話ということでひとつ。 編集可なので、遊び場としてご利用ください。
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TAO-TAO @dont_eats

ちょっと前に電子書籍の市場モデルの話があったのでざっくりと簡単なモデルを作ってみました。ここでは、出版されている紙の本を電子で再販売した場合を想定しています。では、ハッシュが検出されるよう祈りながら次へ。 #denshi

2010-05-19 03:41:23
TAO-TAO @dont_eats

1:今回の本は新人、有乱澄椎先生「ノルウェイの森の中心で俺の妹がこんなにブレイブ ― 序」。受賞作などではありませんでしたが、先生が魂を込めて書いた作品が編集部で評価されデビュー作となりました。初版5千部、価格は千円です。(続く) #denshi

2010-05-19 03:42:02
TAO-TAO @dont_eats

2:なお、制作コストについてはモデルを単純化するためにDTPに回す前までの編集や校正、ロゴデザイン制作などの固定費として100万円と設定します。(続く) #denshi

2010-05-19 03:42:29
TAO-TAO @dont_eats

3:この制作コストは、実際にはこれより高くなると思いますが電子書籍のみの場合でもかかる費用として考えてください(ちょっと悩んだんですが単純化しました)。(続く) #denshi

2010-05-19 03:42:49
TAO-TAO @dont_eats

4:さて、まず紙でできた本が発刊されました。時間はかかりましたが初版5千部をどうにか売り切り、売り上げは500万円。著者の印税(10%)は50万円です。これに「原稿料」20万円を足して計70万円が有乱先生の収入となります。(続く) #denshi

2010-05-19 03:43:26
TAO-TAO @dont_eats

5:なお、紙の本の場合、印税は本が発刊されれば著者に支払われます。なぜか発刊してから契約書を交わしたりすることがあります。なお、経費を引いた出版社の利益は100万円でした。(続く) #denshi

2010-05-19 03:43:51
TAO-TAO @dont_eats

6:ここで一度市場規模を整理します。収入につながる読者層として、実際に「習慣的に新品の本を買って読む」人がどれくらいいるのかは分かりませんが、今回は仮に日本の人口の約1/5の2千万人を想定します。(続く) #denshi

2010-05-19 03:44:03
TAO-TAO @dont_eats

7:今回の本は残念ながらあまり人気が出なかったので重版が掛かりませんでしたが、初版5千部は売り切ったので2千万/5千=4千人に一人が買った計算になります(人口20万人の地方都市換算で10冊)。(続く) #denshi

2010-05-19 03:44:20
TAO-TAO @dont_eats

8:本は1年後に電子書籍でも発行されました。現在のところ市場規模がはっきりしないので、今回は電子辞書くらいiPadが売れるといいよね…ということで2百万台(人)をターゲットとします。(続く) #denshi

2010-05-19 03:44:54
TAO-TAO @dont_eats

9:電子版の印税率は出版社との交渉の結果40%になりましたが、原稿料は紙の本のときに支払われているので今回は出ません。値段は少し下げて800円に決まりました。なお、DTPデータから電子書籍へのコストは今回5万円で済みました。(続く) #denshi

2010-05-19 03:45:16
TAO-TAO @dont_eats

10:さて、市場規模が紙の本の1/10になってしまいましたが、まだiPad市場に流れている本が少ないことと、Geekの気を惹いたこと、値下げしたこともあって、紙の本の後でしたがなんとか同じ(4千人に一人)のスケールで売れました。(続く) #denshi

2010-05-19 03:45:25
TAO-TAO @dont_eats

11:さて、実数では4千/2百万=5百部となり、売り上げは40万円になります。このとき有乱先生に支払われる印税は16万円です(もちろんこのお金は売れた分だけ支払われます)。(続く) #denshi

2010-05-19 03:45:45
TAO-TAO @dont_eats

12:この電子書店では販売&決済代行手数料が30%(12万円)でしたので、出版社の収入は残りの12万円から電子書籍への変換コストを引いた7万円となります。(続く) #denshi

2010-05-19 03:46:07
TAO-TAO @dont_eats

13:さて、今回の有乱澄椎先生の収入は86万円。出版社の利益は112万円となりました。この数年後、ひょんなことから作品がブレイクし、香港で映画化されることになるとはこのとき誰も考えていませんでしたとさ。(終) #denshi

2010-05-19 03:46:25
TAO-TAO @dont_eats

修正 >> 13:~出版社の利益は112万円となりました。→出版社の利益は107万円となりました。 ですね。 #denshi

2010-05-19 03:53:22
TAO-TAO @dont_eats

実際にはもっと複雑になりますし、いささか適当すぎる部分はありますが電子化モデルの一つとして参考になればと思います。よかったら数値を変えて遊んでみてください。一応、10年くらい前に出版社で稟議書の打ち込みとかしていたんですが、もう細かいところは覚えてないですw。 #denshi

2010-05-19 03:47:18