デッド！ デダー・ザン・デッド！ ＃9

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「とっとと歩けェー」天を仰いだブルーブラッドをエルドリッチが叱責した。「じゃあテメェはそのクソ野郎にしてヤられたクソ以下のクソ野郎ッて話だァー」「何たるシツレイ」ブルーブラッドは青ざめた。「お前如き反自然的残りカスに僕が侮辱を受ける謂れは……」「待って」ヤモトが立ち止まった。20

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一行の前に現れたのは、断崖と吊り橋だった。崖下には赤く脈打つマグマだ。「渡るしかあるまい」と、ブルーブラッド。「どうした？なにか不安が？」「……大丈夫」ヤモトは汗を拭った。彼女はブルーブラッドとエルドリッチを振り返った。彼らの姿が、どこか朧だ。そしてこの地そのものが……。21

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……シ・ニンジャはオブシディアン浮遊石に立ち、他の浮遊石に立つアーチニンジャの弟子達を見る。地の底にはより下位のヨミの者らが数多くドゲザしている。空洞の闇を照らすのは桜色の妖しき蝶の群れだ。シ・ニンジャの眼差しに、フジミ・ニンジャとゼツメツ・ニンジャはカタナと鎖鎌を掲げ……。22

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「気を確かに！」フジミ…否…ブルーブラッドの言葉が、ヤモトを我に返らせる。全て幻視だ。「今のは」「ああ。わかる」彼の顔も苦悩に歪んでいた。「ここには霊的な何かが満ちている。恐らく我らのニンジャソウルが影響を受けて……」「ゲラッゲラゲラ！」崖下から迫りくる狂笑が会話を遮った！ 23

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一瞬後！遥か下、マグマの中から大蛇が飛び出し、鎌首が行く手を遮った！否！その先端は鎌首ではなく、鱗まみれの巨人の上半身であり、腕の代わりに六つの蛇頭が生えているのだ。発狂的！いかなるゾンビー存在か？その巨大な上半身には一体の通常サイズのゾンビーの身体が埋め込まれている！悪夢！ 24

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「ドーモ……メデューサです！」ゾンビーはアイサツした。信じがたい事に、麗しい女だった。邪悪で残忍な笑いが怪物じみた容貌を完成させていた。巨大な蛇体に接続された彼女が髪を振り乱し、力の恍惚にブルブル震えると、蛇体は六本の蛇頭を大きく拡げ、咆哮した。「ゴウオオオオン！」コワイ！25

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「合体型ゾンビーニンジャだと！？」ブルーブラッドは咆哮の風圧に抗った。「仮にゴルゴーン・マニピュレーターとでも呼ぶべきか……メデューサというゾンビーニンジャが巨大な蛇型ゾンビ―をパワードスーツ装着めいて融合操作している！回りくどい機構！ゆえに……」「イヤーッ！」ヤモトが跳んだ！26

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ヤモトはオリガミを踏み台に数度ジャンプし、自剣カロウシで斬りつけた。頭を落とせばゴルゴーン部分も動けぬ筈！「ヒヒィー！」メデューサは巨大な蛇頭腕でカロウシを防ぎ、殴り返す。KRAASH！ヤモトはナンバンを盾に打撃を防ぐ。クルクルと回転するヤモトの足場となるべく、オリガミが飛翔する。 27

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「SPITSPIT！」メデューサは蛇頭から毒液を吐き出す。毒液は驚くほどに正確なエイムでオリガミを撃ち落とし、ヤモトから足場を奪った。「SPIT！SPIT！SPIT！」「イヤーッ！」ヤモトは飛来する毒液をサクラ・エンハンスされた二刀で切り払い、蒸発させて身を守る。だが、下は溶岩だ！ 28

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「イヤーッ！」落下するヤモトの足にエルドリッチの鎖分銅が巻き付き、跳ね上げた。ヤモトは放物線を描いて宙を舞い、吊り橋の向こう岸へ着地した。振り返る。エルドリッチが来る。「ブルーブラッド＝サンは！？」「ここを引き受けるッてよォー」……飛び降りたブルーブラッドが大蛇の背に立った！ 29

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「AAARGH！」メデューサが吊り橋にぐるぐると巻き付いた。ブルーブラッドは驚異的なニンジャバランス感覚を発揮、逆さになりながらメデューサの身体を駆ける！「遊ばしとけェー」エルドリッチが促した。ブルーブラッドの赤い瞳がヤモトの視線とぶつかった。ヤモトは逡巡を捨て、通路に走りこんだ。 30

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走りながら彼女の背を見送ったブルーブラッドの周囲、蛇の鱗の隙間という隙間から無数の腕が生え、掴みかかった。「イヤーッ！」ブルーブラッドはサッドネスの得物のブレードを振るい、掴み来る手を切り裂き走る。「ちょこまかと！しみッたれた青びょうたんの小僧めがーッ！」蛇体が罵りを発した。31

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「お前の無礼は無知ゆえのもの！許してやる！」ブルーブラッドは哄笑で応えた。「イヤーッ！」竜巻めいた回転攻撃！「AAARGH！」蛇体が捩れる！怒り狂った巨腕！一撃！二撃！三撃！ブルーブラッドは残像を伴って致命的咬撃をすり抜け、尾から脇腹、背中、肩へ、そして頭部のメデューサに到達した！ 32

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「ハ！ハ！ハ！ハ！」ブルーブラッドは真っ赤な目を見開き、笑った！超自然の威光が影を岩壁に投げかけた。いにしえの呪いの騎士じみた影法師を。「我こそはフジミ・ニンジャ！シ・ニンジャの宝剣、黄昏の剣なり！」「おのれーッ！」メデューサは蛇体をイジェクトし、ブルーブラッドに襲いかかる！ 33

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「イヤーッ！」ブルーブラッドは残像を伴ってメデューサのワン・インチ距離を数回転した。「アバーッ！？」メデューサの首が捩じれ、スクリューボトルめいて刎ね飛んだ。「バカナーッ！」首は罵りながらマグマの海に落ちていった。「「サヨナラ！」」本体、蛇体、同時爆発四散！ナムアミダブツ！ 34

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不死の王は流麗な跳躍で対岸に着地し、己の身体を抱きしめて恍惚に浸った。「嗚呼！嗚呼……なんだか妙な感覚……」不意に彼は青ざめ、頭を押さえた。「否、否、否！違う！僕はブルーブラッド。絶対の主はリー先生以外にありえない。嗚呼……リー先生！先生さえいれば！」彼は涙をこぼした。35

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「う……嘘だ」スプライトは思わず呻き、パンチシートを取り落とした。「こんな嘘があるなんて嘘だぞ」「報告しろ……スプライト＝サン」センセイが玉座から睨みつけた。スプライトは恐る恐る、主を見上げた。「デュアルヘッドマサカー……サッドネス……メデューサの、ゾンヴァイタル信号が喪失」37

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「……」「おそらくは観測システムの不具合かと。さすがにこれは……これ程の短時間でジェノサイド・チルドレン達が……決戦兵器ゴルゴーンまでも。ありえません。こんなのは不具合！絶対に！」監視カメラ映像には、狂ったようにクローンヤクザゾンビーをなぎ倒し突進する二人の恐るべき戦士の影！ 38

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「絶対にありえません！これも映像不具合です！なぜならば……」「イヤーッ！」KRAAAAASH！センセイがスプライトに答えようとしたそのとき、カラテ・シャウトがゲート方向から聞こえ、隔壁が歪んだのだ！さらにもう一度！「イヤーッ！」KRAAAAAASH！隔壁破砕！ 39

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それは精強なるジェノサイド・チルドレンの相次ぐゾンヴァイタルサイン喪失報告がエラーであるという仮説に対する何より雄弁な反証であった！粉塵の中から進み出たのは……！「ドーモ。ヤモト・コキです」「エルドリッチです」二者は武器を振ってゾンビ汁を払い、アイサツした。40

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スプライトは取り乱した。「嘘です！幻ですセンセイ！アバーッ！」センセイは裏拳でスプライトを叩き落とした。「ハエめ。邪魔だ」そしてアイサツを返した。「ドーモ。ヤモト・コキ＝サン。エルドリッチ＝サン。マスターセンセイ・ゴナイダ……それが、私の名だ」キュロロロ。奇妙な声が連なった。 41

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【続く】