デッド! デダー・ザン・デッド! #9
【このアカウントは】 サイバーパンク・ニンジャ・アクション小説「ニンジャスレイヤー」を連載しています。 現在は、特別エピソード「デッド!デダー・ザン・デッド!」の連載中です。一ヶ月ほどインターバル期間を置いていましたが、今日から再び連載再開です。
2023-10-11 21:32:14【このエピソードは】 ニンジャスレイヤーがアマクダリ・セクトとの戦いに勝利してからさほど経たぬネオサイタマ。 街を突然襲ったゾンビー禍に、ヤモト・コキ達が立ち向かう。武装霊柩車に乗り込み、イクサの舞台は敵のアジトたるフジサン風穴、「シナミバラ」の地へ!最終決戦だ!
2023-10-11 21:36:19【デッド!デダー・ザン・デッド!】#9 pic.twitter.com/EpMdjSlF5M
2023-10-11 21:38:51「アバーッ!イーヒヒヒ!」サッドネスは吹き飛ばされ、大の字に床に叩きつけられて痙攣爆笑!「気持ちよすぎて失禁しそうじゃん!」彼は絶頂しながら踵の力だけで起き上がった。見よ!胸に穿たれた銃創の筋繊維芽が快楽にのたうち、たちまち再生してゆく!「イイッ!イイゼーッ!」「面倒くせェー」1
2023-10-11 21:41:28「典型的なイタミ・ニンジャクランの能力特性だ。不死身ではない!所詮この僕のソウルには足元も及ばない」ブルーブラッドが助言する。エルドリッチは再びショットガンから鎖鎌に持ち替え、首分銅を振り回す!「てめェのソウルは関係ねェー」「クウーッ!?」ブルーブラッドの生首は回転に耐える! 2
2023-10-11 21:44:33「イヤーッ!」踊るようにサッドネスが飛び掛かった!ギター・カタナをせわしなく繰り出す!エルドリッチは鎖鎌でさばき、反撃を挟み込む!エルドリッチの背後ではヤモトがシュガーブライドと渡り合う!共に、敵と互角以上のカラテ!だが、おそるべきはこのカルーセル自体でもあった。 3
2023-10-11 21:46:59カルーセルの速度は増し続け、木馬の上下運動も速い。回転速度が等比級数的に増すに従い、無視できぬ遠心力が生じつつあった。即ち、カラテ応酬を繰り広げる彼らは外側へ引っ張られる力を感じ始めている。ヤモトは空洞の壁で鋭利な刃を回転させる無数のネギトログラインダーを意識し始めた。4
2023-10-11 21:49:11遠心力が更に強まれば……あるいはこの異常な戦闘状況でフーリンカザンを取られれば……途端にその者は回転の外へ弾き出され、グラインダーに衝突して、無惨なネギトロ爆発四散を遂げることになるであろう!「イヤーッ!」「ンアーッ!」シュガーブライドのチェーンソーがヤモトをかすめた! 5
2023-10-11 21:52:15ヤモトは奥歯を噛みしめる。シュガーブライド達は高速回転カルーセル上の戦闘を完全にモノにしている。この環境下での戦闘訓練を繰り返した者の立ち回りだ。このままでは……!「そうだよォ!バラバラァーッ!」シュガーブライドの連続攻撃!防戦一方のヤモト!ジリー・プアー(注:徐々に不利)! 6
2023-10-11 21:55:39一方、エルドリッチは執拗な攻撃に対しほぼ不動。コメ畑を守るカカシ・スケアクロウじみてだらりと立ち、だるそうにギターチェーンソーカタナの攻撃を防ぎ続ける。恐るべき遠心作用を意に介さぬのか??サッドネスは苛立ち、攻撃を焦る。わずかなブレが生じた。エルドリッチはそれを逃さなかった! 7
2023-10-11 22:00:18「イヤーッ!」「グワーッ!」鎌がサッドネスの首を八割切り裂いた!「アー、イイー!」サッドネスは痙攣、血を噴きながら歓喜した。「気持ちよすぎて!めちゃくちゃキマッちゃいそうじゃん!」治ってゆく!だがエルドリッチは生首分銅を振り回し、「なら、こいつもくれてやらァー」……投擲した! 8
2023-10-11 22:05:07「イヤーッ!」「グワーッ!?」生首分銅!然り、鎖で飛んだのはブルーブラッドの生首!白髪がざわざわと命を持ちサッドネスの首筋に絡みつく!ブルーブラッドは目を爛々と輝かせ、頸動脈に犬歯を突き立てる!「イ、イイーッ!」サッドネス歓喜!治癒!だがエルドリッチにはそれで充分だったのだ! 9
2023-10-11 22:07:08ブルーブラッドの髪は引き続きサッドネスの動きを拘束している。エルドリッチは仁王立ちから一転、驚くべきニンジャ瞬発力を発揮してワン・インチ間合いに飛び込んだ。ブルーブラッドの髪が裂き拡げたサッドネスの首の傷!エルドリッチは指をこじ入れ、力任せに!「アバーッ!」引きちぎった! 10
2023-10-11 22:11:37「ナメんな!俺は無敵じゃん!」サッドネスの生首は神経を伸ばし、肉体に繋がり直そうとした。だが、戻るべき身体は塞がっている!「ナンデ!?」そこには別の者の頭が乗っているのだ!ブルーブラッド!「……ンンー、非INW製の肉体と同化するのは厭わしい感覚だが……贅沢は言っていられない」11
2023-10-11 22:19:36新たな頭を従順に受け入れる肉体!ブルーブラッドは関節を鳴らして試した後、煩わしげにサッドネスの神経縄を振り払った。「キミ、もう退場したまえ」「ド畜生!俺の身体ァー!?」「イヤーッ!」エルドリッチはサッドネスの頭をネギトログラインダーに無慈悲に投げつけた……「サヨナラ!」 12
2023-10-11 22:23:41「ダーリン?ゲッ!くたばってる!?使えなーい!」ヤモトと戦うシュガーブライドが困惑した。「これで3対1だ」ブルーブラッドはフラつきながらヤモトに並ぶ。エルドリッチもだ!「オエー!」シュガーブライドは瞬時に状況判断。ポールダンスめいて支柱からカルーセルの外へ這い登り、逃走した。 13
2023-10-11 22:30:46KRAASH!木馬がネギトログラインダーに飲み込まれる。更にはエルドリッチの帽子が吹き飛び、失われた。「オイオイ」彼は嘆いた。「もうやってられねェー」鎖分銅をカルーセル支柱装飾に投擲、巻きつけると、強引に手繰り寄せて近づいた。そしていきなり躊躇ないネクロカラテを叩き込んだ!KRAASH!14
2023-10-11 22:35:40機関部損傷したカルーセルは回転を停止!「でかしたエルドリッチ!」ブルーブラッドがグッドサインし、身体に刺さったノダチ・ケンを抜いた。「ヤモト=サンも無事か?急ぐぞ。奴らが体勢を整える前に!」彼は天井を指さした。「エルドリッチ!敵が逃げた穴に鎖を投げ給え!追うぞ!」「ウゼェー」15
2023-10-11 22:40:23――かくして彼らはカルーセル殺戮空間の直上にエントリーした。アリの巣じみた迷宮通路だ。外で待つデッドムーンとの通信も通じない。全き闇を照らすのは、一行の頭上を回転するオリガミの桜色の光。後は各々の暗視力が頼りだ。道中には古錆びた鎖と、繋がれ力尽きたと思しき骸骨の残骸が散らばる。 16
2023-10-11 22:44:12「フジサンの中がこんな事に」ヤモトは呟いた。「奴ら、ずっとこのフジサンで活動を?」「否。ここは遺跡。奴らは単なる恥知らずの不法滞在者だ」ブルーブラッドは否定した。「あの者達はINWを襲撃して技術を奪い、暗黒メガコーポの出資を受け、このメガトリイ遺産を横取りして利用したに過ぎない」17
2023-10-11 22:50:22「メガトリイ?」「旧時代の絶対的テック企業だ。ここフジサン山頂部のトリイはかつてメガトリイ社が管理し、巨大なアンテナの役目を果たしていた。エテルを観測する大規模施設だ。奴らはそれを不当に獲得し、陰謀のアジトたらしめた」「何の為に」「世界征服だ!」ブルーブラッドは歯軋りした。18
2023-10-11 22:55:01「地球をゾンビー化?その頂点に君臨?無能大衆に優越する事に何の意味が?メガトリイの居抜き物件に居座り、INW研究の表層を掠め、借り物のゼツメツ因子を用い、その大目的すら、まるでかつてのアマクダリ・セクトの歪なエピゴーネンだ。特に許せないのは"センセイ"の詐称だ!嗚呼ッ!リー先生!」19
2023-10-11 22:59:22