四の舟×おろし丸によるスケッチブックリレー小説 スケブオールスターズ!~シンデレラ編~
- YOTSUnoFUNE
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@oroshiwanko むかし。ヨーロッパのフクオカ国の城下町に、貧しい少女が一人おりました。名前を葉月といい、彼女は両親を亡くし、日々なんとか暮らしているというありさまでした。しかし、その心は純粋でやさしく澄んだ心を持っておりました。
2011-12-06 22:21:55@YOTSUnoFUNE 葉月はそのような生い立ちから、非常に節約に敏感でした。安い店があると聞くと例え遠くにある店でもかいがいしく足を運び、毎日をなんとか暮らしていました。
2011-12-06 22:23:34@oroshiwanko 仕事を終えて部屋に帰ってきた葉月は空気を入れ替えるために窓を開けました。窓の向こうには、王家の方々の住むお城が見えます。いつもキラキラと輝いているお城なのですが、今夜はいつも以上にお城が輝いているようです。「ああ、今夜はお城で舞踏会が開かれているのだわ」
2011-12-06 22:27:48@YOTSUnoFUNE 葉月も女の子として生まれた以上、夢も見ました。いつかはお城の舞踏会で、綺麗なドレスを着て踊りたい。でもそれは叶わぬ夢でした。遠くに見えるきらびやかな光を見て、葉月は小さくため息をつくのでした。
2011-12-06 22:30:11@oroshiwanko 葉月はため息をもらしましたが、綺麗なドレスや立派な馬車などが出てくるわけがありゃしません。「さて、特売で買ったお弁当でも食べようかしら・・・」 葉月がそう言った時です。「その願い、私が叶えてあげましょう~」どこからともなく、そんな声が聞こえてきました。
2011-12-06 22:34:41@YOTSUnoFUNE 振り返ると、そこには鶏を抱えた女の人が立っているではありませんか。「…貴女は?」「夢見る少女に夢を与える妖精です。」「はあ……」「…ノリが悪いわね、あんた」
2011-12-06 22:36:07@oroshiwanko 「いや、だって、鶏を抱えてその…ティン〇ーベルのような格好した春日野先生にそう言われ」 「春日野? 私は芸術の妖精ノガスカーノよ。この子はピー・チャンと言って私の大事な相棒なんだから」 「…(疑惑の目)」 「もーうっ! 信用しなさいよっ!」 「コケッ?」
2011-12-06 22:39:17@YOTSUnoFUNE 「信用しろ、と言われましても…」「それじゃあこれなら信用できる?」そういってノガスカーノは懐から焼き鳥……のような魔法の杖を取り出すと一振りしました。するとどうでしょう。大きな鶏が現れたではありませんか。
2011-12-06 22:42:18@oroshiwanko 「ほうらっ! 私にかかればこんな風に鶏を大きくすることだって簡単なのよ~!」 「…あの、ほんとに舞踏会へ連れて行ってもらえるんですか?」 「それはもちろんよ~。私がいま魔法を使ったでしょう?」 「は、はぁ…」 葉月は信用していいのか分からなくなりました。
2011-12-06 22:46:33@YOTSUnoFUNE 「そーらもう一丁!」ノガスカーノが杖をもう一度振るとどうでしょう、葉月の来ていた服が綺麗なドレスに変わったではありませんか。「うわ、凄い……」「でしょ?さ、さっさと行きなさいな。」「でもどうやって?」 「……コケッ」 大きくなった鶏はこちらを見つめている
2011-12-06 22:49:08@oroshiwanko 「ま、まさか…?」 「ふっふっふ~。さぁ、舞踏会へお連れしなさい、ピー・チャン!」 「コケーーーッ!」 「やっぱりいいぃぃいいい!!」 綺麗なドレスを身にまとった葉月は、ピー・チャンの背に乗って、お城へと向かうのでありました。
2011-12-06 22:51:34@YOTSUnoFUNE 一方お城では、綺麗なドレスを身にまとった紳士淑女たちが舞踏会を楽しんでいました。ですが王子である青はその様子を見慣れてしまい、どうも楽しむ事ができません。(ああ……何か刺激的な事でも起きないかなあ……)そう考えていた時でした。
2011-12-06 22:54:25@oroshiwanko 紳士淑女の楽しむ舞踏会場に、一羽の大きな鶏がお城の衛兵を突き飛ばしながらなだれ込んできました。青王子は驚きのあまり目を見開くばかりです。舞踏会を楽しんでいた紳士淑女たちは慌ててダンスホールの隅へと移動しました。鶏はダンスホールの中心で止まります。
2011-12-06 22:58:02@YOTSUnoFUNE 突然の事態に青王子は困り果ててしまいました。(いったいどうしたの?)すると物音を聞きつけて青王子の姉、空姫が様子を見に来ました。「あ、姉上。いきなり大きな鶏が…」(おお、これは凄い)
2011-12-06 23:00:35@oroshiwanko すると、鶏の背からなにかが転がり落ちました。それは葉月でした。鶏のあまりのスピードに目を回してしまったようです。「姫、王子、ここはお下がりください。下賤の者やもしれません」 鶏に突き飛ばされて大きなたんこぶをこしらえた衛兵のネギッシーニが言います。
2011-12-06 23:03:13@YOTSUnoFUNE 「え~?でも私にはそうは見えませんねえ。」にこやかな顔で口をはさんだのは吟遊詩人のアサカディアでした。鶏の突進の真正面にいたのに傷一つありません。
2011-12-06 23:05:42@oroshiwanko 「ふん、それはこの者を王子に拝謁させて決めることだ」 ネギッシーニはようやく意識を取り戻した葉月を立たせます。「貴様、王家の舞踏会に何用か?」 葉月が立ち上がり、顔を上げます。その顔を見た瞬間、青王子は頭の先から足の先まで衝撃が走りました。「美しい…」
2011-12-06 23:10:26@YOTSUnoFUNE 「その者、名を何という。」「え、は、葉月と申します。突然の乱入をお許しくださ」「一緒に踊ってはくれないか?」(え?)「王子!?」突然の王子の発言にネギッシーニもアサカンディアも空姫も、そして葉月も唖然とすることしかできませんでした。
2011-12-06 23:13:09@oroshiwanko 「王子、この者の素性をまずは調べないといけません」 「ネギッシーニ。あなたは彼女がコソ泥のように見えますか?」 「…恐れながら…見えません」 「なら、問題はありません。それに、今宵は王家の舞踏会。賓客は多いにこしたことはありませんよ」
2011-12-06 23:16:42@YOTSUnoFUNE 「それでは葉月、共に踊りましょう。」「は、はいっ!」そして珍客も加わり舞踏会は華々しく再開されました。葉月としてはまさに夢のようでした。
2011-12-06 23:19:43@oroshiwanko 「王子様、私、ダンスはあまり得意ではありません…」 「大丈夫。踊りというものは、こうして男性が女性に教えるものですから」 「あ…はい…」 「どうやらいいみたいだよ、樹々くん」 「了解、栗ちゃん。 演奏を開始するよ~」 舞踏会場にワルツが流れ始めます。
2011-12-06 23:23:43@YOTSUnoFUNE 葉月は当初独特の三拍子に慣れていないようでしたが、青王子のエスコートに段々慣れていくと周りも驚くほどに華麗なステップを踏むようになりました。そして曲が終わった頃に、ピー・チャンが葉月の元にやってきました。
2011-12-06 23:26:24@oroshiwanko 「コケーッ!(魔法は12時に解けちゃうよ!)」 「えっ、そうなの!?」 「葉月、一体どうしたのです?」 「あの、王子様。失礼なんですが、いま何時なんでしょうか?」 「時間? そうですね、今は11時55分ですが」 「まあ、大変ッ!!」
2011-12-06 23:29:54@YOTSUnoFUNE 急いで葉月はピー・チャンに飛び乗りました。「すいません王子様!私はこれからえっと……特売がありますので!」「ああ、待って!」青王子の制止を振り切るかのように、葉月は城を飛び出して行きました。(こんな遅くに特売するなんて、どんな店なんだろう?)
2011-12-06 23:33:20@oroshiwanko ピー・チャンは一目散にお城の出口へと向かいます。衛兵のネギッシーニは阻止しようとしましたがあっけなく突き飛ばされてしまいました。ピー・チャンと葉月はお城を抜けて町へと帰ります。しばらくして、ネギッシーニが目を覚ますと、そばにガラスの靴が落ちていました。
2011-12-06 23:37:25