四の舟×おろし丸による 『スケッチブック リレー小説~青い鳥編2~』

スケッチブックの二次創作小説談義です。スケッチブックに関する知識があり、そしてカップリング妄想を楽しみたい人がご覧ください。
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四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 心臓の鼓動が激しくなっていく。そして、それが近づくにつれてさらに激しくなっていく。このまま僕の心臓は破裂してしまうのではないかと、不安になるほどだった。そして、見えてきた――鳥飼さんの家だ。

2011-08-01 00:36:53
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE なんてことはない、彼女の家に行くだけの理由が、自分にはあった。手にあるのは一枚のプリント。美術部の連絡が書かれたプリントだったが鳥飼はそれが渡された日部活を欠席し、それを渡す事を空は青に頼んでいた。なんでも「神社の裏の無彩色ファミリーに子供が出来た」とか

2011-08-01 00:40:12
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 姉ちゃんのそうした頼み事は最近断るようになっていた僕だが、鳥飼さんの家に行くというのなら別だ。鳥飼さんに告白して、それが報われて以来、下校を一緒にすることはあっても、家に行くということなんてなかった。なので、今回初めて鳥飼さんの家にお邪魔する。

2011-08-01 00:44:45
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE あの時の事を思い出すと、いまだに夢ではなかろうかと思ってしまう。ただの憧れに過ぎなかった人に、想いをぶつける事の無謀さや、もしだめだった時の先を考えたら……だが現実での彼女はちゃんと受け入れてくれた。受け入れる時に眼元に涙さえ浮かべていたのを忘れていない

2011-08-01 00:47:14
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 嬉しかった。今までの人生で一番嬉しかった。けれど…僕は、告白が単に始まりにすぎないと知った。鳥飼さんとの距離は縮まった。一緒に下校できるようになったことはその証拠だろう。それでも、僕はもっと鳥飼さんを知りたかった。その一歩を踏み出せていなかったが。

2011-08-01 00:53:41
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 一歩を踏み出せていなかったのではない。踏み出す勇気がなかった。今まで色々とチャンスはあった。姉から聞いた神社の無彩色ファミリーもそう、友人から聞いた美味しい店もそう。だがそのどれも「一緒に行けたらいいな」程度にしか考えられなかった。

2011-08-01 00:56:49
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 一歩を踏み出せていなかったから、今こうして鳥飼さんの家へ向かいながら、僕は心臓が破裂しそうなくらいドキドキしているんだ。せっかく距離が縮まったのに、こうして姉からの頼みでしか鳥飼さんの家へ行けないことが情けなかった。だが…鳥飼さんに会えるのは楽しみだ。

2011-08-01 01:00:36
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 一歩一歩を踏み出すごとに、鳥飼さんの事が脳裏に浮かぶ。あの優しい笑顔が、言葉遣いが、そして自分を受け入れてくれた心が、全てが愛しかった。その鳥飼さんの家への道のりが、どんどんと縮んでいく。そして、ついに家に着いた。

2011-08-01 01:04:09
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 階段を上がり、表札を一つ一つ確認しながら鳥飼さんの部屋を探す。そんなに大きなアパートではないから、すぐに「鳥飼」の文字は見つかった。インターホンを押すとき、僕の胸のドキドキは最高潮に達していた。恐れる心配はないのに、おそるおそるインターホンを押した。

2011-08-01 01:08:13
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE (はあ…)葉月は、未だにここ最近自分に起きた現実を受け止め切れていなかった。青が自分を好きだと言ってくれた。それ自体は非常に嬉しかった。自分も青の事が好きで、でも彼が自分を向いてくれるとは思っていなかったからだった。そんな彼が自分を好きと言ってくれたのだ

2011-08-01 01:13:10
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 嬉しかった。青くんと一緒に下校できるようになれて、とてもうれしかった。彼の隣を歩くとき、私はどうしてもドキドキしてしまって、話したいことの半分も話せていなかったから。もっと一緒に話したい、一緒にいたい。そう思っても、私は何もできていなかった・・・。

2011-08-01 01:16:20
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 本当に、何もできていなかった。手をつなぐことも、一緒にどこかに行くことも……それ以上の事など、夢のまた夢だ。時々、夢を見る。夢の中の自分はとても積極的で、青君はそんな私を受け入れてくれる。だけど、それは所詮夢。いい所で勝手に終わってしまう、残酷で素敵な夢

2011-08-01 01:18:29
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 夢で終りたくないと思っていても、なかなか一歩前へ進めない自分が悲しかった。もっと伝えたいことも、やりたいこともあるのに、いつも傷つきたくない自分が邪魔をする。どうすればいいのと、呟いたときベルが鳴った。

2011-08-01 01:22:39
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「はーい、どなたですかー?」「すいません、葉月さんいらっしゃいますか?」ドア越しに聞こえた声を聞き、仰天した。その声は間違いなく、青の声そのものだった。不意打ちとしか思えないこの現状に、葉月の心臓は早鐘を打つ。

2011-08-01 01:25:18
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko (どうして青くんがここにきてるの!?家の住所教えたっけ・・・梶原さんに聞いてきたのかな・・・・それとも、えっと) 葉月の頭の中を様々なことが駆け巡った。思考停止寸前の頭を抱えていると外から青が呼ぶ。「あの。姉ちゃんから頼まれものがあってきたんですが…」

2011-08-01 01:29:54
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「え…わ、わかった!今開けるから!」扉をあけるとそこには、少し恥ずかしそうにしている青の姿があった。(…神様、これって夢じゃないですよね?) 葉月の心に温かいものがあふれていくような感覚が広がっていく。想っていた時に想っていた人がやってきてくれたのだ。

2011-08-01 01:31:57
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 青もそれは同じだった。あれほど心臓がばくばくしていたのに、扉が開いて鳥飼さんの顔が現れた途端、心の中が安心と喜びとで溢れかえった。少し顔を火照らせている鳥飼さんの顔がかわいくて・・・。姉から受け継いだ癖なのか、青はあまりの嬉しさにぽやーっとしてしまった。

2011-08-01 01:35:46
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE (…あ、梶原さんだ。)そう葉月は一瞬思ってしまっていた。結局、青が葉月の部屋の中に入ったのはドアが開いてから三分後だった。 「これ、そのプリントです。」「ありがとう…梶原さんは?」「ねーちゃんなら神社に猫見に行くって」「梶原さんらしいわね」

2011-08-01 01:39:12
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「無彩色ファミリーと遊んでくるとかなんとか…」 「無菜食ファミリー?猫って野菜食べたかしら…」 「いえ、無彩色ですよ」 青も葉月も、会えたのがうれしかったのだが、会話があまり続かなかった。そして、葉月は言った。「せっかくだから、お茶でも飲んでいく?」

2011-08-01 01:44:07
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そう言った瞬間、これまでにないくらいの覚悟を葉月は胸に抱いていた。この先何が起ころうとも、私は後悔しない。それぐらいの気概を持って、葉月は青に言った。「…はい、お邪魔します。」青は、葉月が想うよりもあっさり、頷いた。 だが青もまた、心に覚悟を決めていた。

2011-08-01 01:46:25
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 僕は鳥飼さんの部屋に通された。部屋の中はきれいに片づけられている。部屋の中は女の子の放つ独特のいい香りが満ちていた。それが鳥飼さんの香りだと気がついて、僕は一瞬ふらりとした。そして、本当に鳥飼さんの家にいるのだと、実感した。

2011-08-01 01:53:10
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 未だに夢なのではないかと思う。部屋の中の女の子の匂いも、きれいに整頓されたさっぱりした風景も、まるで夢に見るような風景だった。その中にいる自分という存在に、自分自身が一番信じられない。だが、信じなくてもこれは現実なのだ。それに目の前には――鳥飼さんがいる

2011-08-01 01:56:23
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko この部屋で鳥飼さんが寝起きし、ご飯を食べ、勉強し、テレビを見ているのだと思うと頭が沸騰して湯気が出そうだった。「じゃあ、お茶を淹れてくるから、くつろいでてね」と鳥飼さんが言ったので、僕は思わず「手伝います」と言った。鳥飼さんと離れたくなかったからだ。

2011-08-01 02:02:40
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「え…、じゃ、じゃあお願いしようかしら…」葉月も反射的に答えてしまった。そして今、一緒に二人は台所にいる。お茶を入れると言っても、ただお湯を沸かすだけの作業だ。想えば何を手伝おうとしたのだろうか。 

2011-08-01 02:07:12
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 視線を泳がせた青が目にとめたのは、窓のそばにあった植物だった。「鳥飼さん、植物育ててるんですか」 「えっ。あ~、それニラよ」 「えっ?」 「植えてみたら育ったの。他にもそれはカイワレダイコン、隣のそれは三つ葉なの」 「家庭菜園の域ですね・・・」

2011-08-01 02:10:36