紫と先代巫女

自分用📝
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ハチ🐾 @hachisu716

歴代の博麗の巫女の中では、紫は誰よりも博麗霊夢の才能を買っているけれど、誰よりも彼女が気にかけていたのは、地味で名前も覚えてもらえなかった先代巫女、という八雲紫はかわいいと思いませんか。

2020-05-03 19:04:11
ハチ🐾 @hachisu716

博麗の巫女というだけで、誰にも名前を覚えてもらえないくらい、普通に幻想郷で巫女をつとめて、特に事件もなく、特に活躍もせず、ただただ地味な調停だけをして、普通に巫女の役目を果たして引退していった先代。 さして引き立てるほど特別な力もなかった地味な彼女に、恋をしていた紫、みたいな。

2020-05-03 19:07:26
ハチ🐾 @hachisu716

だから今もどこかに楽隠居している先代に会いに行くときは、身だしなみを整えて、ちょっとおめかしをしてたりして。 先代が若かった現役時代からそんな風に会いに行く前はそわそわしてた紫さん。

2020-05-03 19:09:30
ハチ🐾 @hachisu716

あら、髪留め変えたのね。 って、会いに来た紫のおしゃれに気付いて(地味だけれど、こういうところを見逃さない人だったり)、似合うわ、って微笑んだりして。 いつもよりおとなしい紫は睫毛を伏せて、そっと頷いたりして。

2020-05-03 19:12:19
ハチ🐾 @hachisu716

あなたの髪は、何年経ってもずっと綺麗ねえ。 ってしみじみと言いながら、そっと黄金の髪に触れてくる、皺深くて細い手。 まるでその手の感触をけして逃したくないように、じっと撫でられるままになっている紫、という。

2020-05-03 19:15:08
ハチ🐾 @hachisu716

紫「……変わりありませんか」 先代「ええ。少し身体の節々は痛んできたけれど。もう歳ね。飛び回っていた頃が懐かしいわ」 紫「なにか膏薬をお持ちしましょうか」 先代「いいのよ。これもうつろいゆく人の変化と思えば愉しいもの。今はね」 くすくすと笑う先代。

2020-05-03 19:18:53
ハチ🐾 @hachisu716

先代「でも、ひどくなって音をあげたときには、頼もうかしら」 紫「いつでも」 先代「あなたのほうは変わりはない? わたしよりずっと永く生きているあなたに訊くのも野暮かしら」 紫「ええ。当代はよくやってくれています。……あなたに比べたら、少し危なっかしいところはありますが」

2020-05-03 19:21:19
ハチ🐾 @hachisu716

先代「あら、わたしだって、同じようなものだったわよ。右も左も分からなくて」 優しい目を細めて、ころころと綺麗な鈴のように笑う先代。 先代「霊夢はとても強い子よ。力も心も。お友達もたくさんいるしね。見守ってあげてちょうだいね」 紫「……ええ、もちろん」

2020-05-03 19:25:18
ハチ🐾 @hachisu716

先代「今日はなんだか、無口ねえ」 紫「……そうですか?」 先代「こんなおばあちゃんになっちゃったから、驚いた?」 紫「いえ。……前にお目にかかったのは、いつでしたか」 先代「そうねえ。……かれこれ十年は前じゃない? 老け込むはずよね」 紫「そんなに……」 とつぶやく紫

2020-05-03 19:35:57
ハチ🐾 @hachisu716

紫「ずいぶん御無沙汰をして、申し訳ありませんでした」 先代「やだ、謝ることじゃないわ。久しぶりに来てくれて嬉しいのよ。顔を見せてくれてありがとう。お茶でも飲んでいって」 立ち上がろうとする先代さんを制して、紫が立つ。 紫「わたしがお淹れしますわ」

2020-05-03 19:39:21
ハチ🐾 @hachisu716

わたしの代はずいぶん長く居座ってしまったから、紫には世話をかけて申し訳ないわねえ。 いえ、そんなことは。大事なくつとめていただいて助かりましたわ。 とかなんとか言いながら一緒にお茶淹れて飲んで緊張気味に先代と話してる紫かわいくない?? 先代の前だと少女になっちゃう紫さん。

2020-05-03 19:42:45
ハチ🐾 @hachisu716

先代がおばあちゃんになってもずっと恋してる紫という可愛いとこが見たい。

2020-05-03 19:46:48
ハチ🐾 @hachisu716

おばあちゃんになってるってことは霊夢とだいぶ年齢差あって、いつ退いたんだよっておかしなことになるなって思ったのは内緒だ

2020-05-03 19:48:48
ハチ🐾 @hachisu716

十年会ってないなら今の霊夢が14、5歳くらいだったとしても、当時ベイビーやん、なんで友達多いとか現在の様子わかるのって思ったけど、紫には会ってないけど霊夢の様子は見に行ってたりしてたってことでいける気がした!(辻褄をあわせるのに必死) 紫は十年ヘタれてて会いに行けなかった

2020-05-03 20:10:01
ハチ🐾 @hachisu716

ところで紫は先代巫女に恋してるという妄想を思い出したので出勤時はずっとそれを考えていたんですけど、 なんで地味でパッとしなくて、他の妖怪たちに名前で覚えてもらえなかったくらい印象の薄い先代を、あの大妖怪が好きになるのか……?って考えたとき、 パッとしないからかもなあって。

2022-02-02 14:28:06
ハチ🐾 @hachisu716

むしろ常識と非常識を結界によって逆転させて、外の非常識を常識に、常識を非常識に変えることで隔離した世界において、きわめて常識的な先代というのは、実は異様なのでは。

2022-02-02 14:29:38
ハチ🐾 @hachisu716

あのアクが濃い幻想郷メンツの中でも、 博麗の巫女という、人間サイドにおいては一番濃い務めを担っているはずの先代が普通って、実はめっちゃ強力な「普通」なのでは。

2022-02-02 14:32:33
ハチ🐾 @hachisu716

と考えたとき、 まあ普通であり、並大抵であることが幻想郷においては実は非常に強い個性、というか、 紫からしたら目立って見えてもいいのかな、という気持ちがありまして。 でもまあ普通なので問題なく役目を果たしてる間はさほど気にしてなかったかもだけど、

2022-02-02 14:34:59
ハチ🐾 @hachisu716

問題なく務めていても、さして妖怪や人間と特別仲良くもせず山奥の神社で淡々と暮らしているから、 心を壊さないかとか、問題ないからこそ気になって、フォロー面で様子を見に行く頻度は先代のほうが高かったかも? とか思ったりして。

2022-02-02 14:38:07
ハチ🐾 @hachisu716

で訪ねて行くと、ついでにお茶とか淹れてくれるから飲んで、他愛もない話をしてるうちに、 あまりに普通で、あまりに何も起こらない、当たり障りのない、凪のような時間が過ぎていって。 ああ、この人の時間は凪なのだ、と思い当たった紫。

2022-02-02 14:41:24
ハチ🐾 @hachisu716

きわめて普通に……つまらないともいえるくらい普通に、ただ少女として過ごす時間は、きっと彼女の経験には、実はないもので。 ああ、普通だ。 普通だな……。 って思いながら、ただ博麗の巫女と静かにお茶を飲んで、思い出せないくらい当たり障りのない会話をしてる、だけ。

2022-02-02 15:13:39
ハチ🐾 @hachisu716

でも先代もちょっとだけ可愛いところあって、あるとき、 先代「ねえ。あなたの髪」 紫「はい?」 お茶のおかわりを持ってこようとしたときに後ろを通った先代が、話しかける。 先代「ずっと思っていたんだけど。……すごく綺麗ねえ。太陽の映った、朝の川みたいで」 紫「……そうかしら」

2022-02-02 15:18:51
ハチ🐾 @hachisu716

珍しく、ちょっとそわそわする先代。 先代「ちょっとだけ、触らせてみてもらえないかしら。ほんとにちょっとだけ……」 意外だな、と思いながらも特に問題もないので返事する紫。 紫「別に。構わないけれど」 先代「本当? じゃあ、ちょっと。ちょっとだけ……」

2022-02-02 15:23:17
ハチ🐾 @hachisu716

指先を合わせて、嬉しそうに笑う先代(この時点では先代ではないけど)。 紫がどうぞとばかりに膝に手をおいて、少し頭を下げるので、 先代がその後ろで畳に膝をついて、膝上の服のシワを伸ばすような、ちょっとだけ居住まいを正すようなしぐさをしながら、紫の髪にそっと指を差し込む。

2022-02-02 15:27:43
ハチ🐾 @hachisu716

先代「わ、サラサラ。本当に綺麗な髪ねえ……絹の糸みたいで」 ごくごく普通の褒め方をする普通の先代。 紫「そうかしらね」 先代「綺麗よ。素敵ねえ。こんな髪なら、どんな結い方も似合うでしょうね。あなた背が高いし、とても姿勢が綺麗だから」 珍しくはずんだ声を出す先代。

2022-02-02 15:32:03