山崎監督の軍国主義とホモソーシャルなナルシズムを批判する シネマンドレイク氏のゴジラ-1.0評

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 『SPACE BATTLESHIP ヤマト』から三年後の2013年に山崎貴監督が発表した『永遠の0』は、映画の舞台こそ太平洋戦争に移したものの、『さらば――』を再びなぞるような特攻の話だった。この映画には『さらば――』とは無関係な原作小説があるのだが、原作では主人公が特攻しても敵艦に損傷を与えられなかったことや、主人公の遺骸が葬られたことまで描写されているのに対し、映画『永遠の0』は主人公が敵艦にまさに突っ込まんとするところまでしか描いていない。

リンク movieandtv.blog85.fc2.com 『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男』 山崎貴監督のここが違う (前回「『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』のそこは違う」から読む) 失礼ながら、山崎貴監督はあまりアニメをご覧になっていなかったのではないか。 『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』の「解説」を読んで、そんな疑問を抱かざるを得なかった。 先日の記事に書いたように、牧村康正・山田哲久共著『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』はヤマトファン必読の書だ。もともと面白い... 4 users 34

 山崎監督の出世作『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズは、1958年から1964年にかけての庶民の暮らしを描いていた。1964年生まれの山崎貴監督は(ましてや共同脚本の古沢良太氏は1973年生まれなので)知らない時代だから、映画で描かれるすべては想像でしかないだろう。しかし、この時代の庶民の悲喜こもごもを描いて多くの観客を感動させたこのシリーズに、敗戦を引きずって"鬱屈"している描写など露ほどもありはしない。
 が、当の山崎監督は、本当はこの時代の日本人は敗戦のために鬱屈していたのだと考えていたのだろうか。山崎監督はいつからそんな考えを抱くようになったのだろうか。『ALWAYS 三丁目の夕日』の制作中すでに、本当の日本人は鬱屈していたのにと考えながら撮っていたのだろうか。

ナドレック @nadreck7

『アルキメデスの大戦』鑑賞。ゼロ戦に関する映画を撮りながら、太平洋戦争の映画においてゼロ戦は二番手の存在、戦艦大和こそ圧倒的な太平洋戦争のアイコンと云う山崎監督が撮った大和の映画。山崎監督と戦艦大和については先日の記事で触れていたので、再掲します。 movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-661…

2019-08-12 09:09:10

 総じてこの時代の日本国民は、敗戦の鬱屈だのなんだのにこだわっている場合じゃなかったと思う。
 もちろん戦争のことは忘れてはいない。沖縄が米国の支配を脱して日本に復帰できたのは日本国の独立に遅れること約20年の1972年だし、同年には残留日本兵の横井庄一氏が帰国、1974年には小野田寛郎氏も帰国して日本中が大騒ぎしたこともあった。戦争の爪痕は今よりずっと生々しかった。

ナドレック @nadreck7

『ルパン三世 THE FIRST』鑑賞。これはひどい。『永遠の0』に続く「俺のおじいちゃんは偉いぞ」シリーズ。ナチスを適役に設定しながら、「血は嘘をつかない」なんてナチスばりの台詞をルパンに云わせるとは。2014年の実写版が、今にして傑作に思えます。

2020-01-02 18:25:42
ナドレック @nadreck7

山崎貴氏はルパン三世の監督に最も似つかわしくない人物で、取りうる方法はただ一つと思っていたら、案の定その方法を取ったもののそれが下手では話にならない。 面白い映画を撮れる監督なんだから、姑息なことをしないで『リターナー2』とかに挑んでほしいです。

2020-01-02 18:25:42

私がとても気になるのは、山崎貴監督が"戦争"とは書かずに「"敗戦"による鬱屈」と書いていることだ。
 「戦争にならないように」「戦争を避けよう」と云われて反対する人はいないだろうが、「敗戦にならないように」「敗戦を避けよう」と書くと意味がずいぶん違ってしまう。まるで、「負けないようにしっかり戦争しよう」と云っているようにも受け取れるだろう。
 "戦争"と"敗戦"とはうっかり書き間違える言葉ではない。その使い分けには、明確な意志があるはずだ。

 山崎監督は戦艦大和について次のように書いている。
 「大きな期待を背負いながらもなんら戦果を挙げられず、最後にたくさんの犠牲者を出して沈んでしまった艦(ふね)です」
 「大和の怨念と果たせなかった夢への願望」
 「『本来なら、大和はもっと皆の助けになれる艦だった』という日本人の思い」

 ここでいう「大きな期待」とは何だろうか?「果たせなかった夢」とは?「皆の助け」とは?

ナドレック @nadreck7

どうもTwitterを見ていると、山崎監督は『STAND BY ME ドラえもん』や『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』で評判を落としているようですが、私は『STAND BY―』は悪くないと思うし(泣いた)、『ユア・ストーリー』を多くの人が怒るのは判るものの方法論としてはアリだと思います。それより問題なのは

2022-11-04 00:34:31
ナドレック @nadreck7

『ルパン三世 THE FIRST』とか『アルキメデスの大戦』とか。いろんな意味での残念さが、入り込んでしまったように思います。 長野出身の山崎監督が、長野と関東の文化の差を埋めきれなかったこととか、しらけ世代とバブル世代の間あたりの深く考えていない感じとか。 同世代のタランティーノなら略

2022-11-04 00:34:32

それは少しでも多くの敵艦艇を沈め、敵戦闘機を撃墜することであり、無人化・自動化が進んでいなかったこの時代の戦争においては少しでも多くのアメリカ人を殺すことに等しい。「果たせなかった夢」もまた、戦果を上げること、すなわちたくさんのアメリカ人を殺すことであったろう。「皆の助け」というのも、日本人が生き残りやすくなるように、アメリカ人をたくさん殺すことであったはずだ。「大和の怨念」とは、充分な数のアメリカ人を殺せずに死んだあの世の乗組員たちが怨んでいるということだろう。
 とどのつまり、山崎監督が述べているのは、たくさんの敵国人を殺して生還できればよかったのに、ということである。

山崎監督の戦争映画『永遠の0』(2013年)は、日米の戦闘の描写がたくさんあるのにアメリカ人はまったく出てこない映画だった。厳密にいえばチラリと横顔が見えたりするのだが、アメリカ人を人間として扱う描写は皆無で、彼らや彼らが乗る艦艇はただただ特攻の的でしかなかった。
 近年、これほど一面的、一方的な戦争映画は珍しいと思う。日本人の主人公やその家族、その同僚、そして彼らの生活が丹念に描かれれば描かれるほど、私はアメリカ人も同じなのに――単なる的のような艦の上にも多くの人間がいて、彼らの帰りを待つ家族がいて、それぞれの生活があるはずなのに、なぜこの映画はそこにまったく触れようとしないのだろうと思ったものだ。

負け戦に反対することは、次は勝とうと決意することに繋がっていく。戦争そのものへの反対ではないのだから、とうぜん「勝てば良かったんだ」という発想になってしまう。このことを私は以前の記事「『永遠の0』vs『アメリカン・スナイパー』 三つの危うさ」で指摘したのだが、山崎貴監督が執筆した本書の「解説」を読んで、『永遠の0』に感じたことがますます強まった。

リンク movieandtv.blog85.fc2.com 『永遠の0』vs『アメリカン・スナイパー』 三つの危うさ クリント・イーストウッド監督の傑作『アメリカン・スナイパー』の記事に、梅茶さんからコメントをいただいた。 返事のコメントが長文になるのはいつものことだが、あまりにも長いので別の記事にした。 以下は、梅茶さんのコメントへの返信として書いたものである。【梅茶さんのコメント】---タイトル:自己犠牲の捉え方…ナドレックさん、いつも楽しく読ませてもらっています。この映画が戦争映画として大ヒットしていることは... 9 users 57

だから「"敗戦"による鬱屈」なのだろうか。
 "敗戦"したから鬱屈するのだろうか。
 勝っていれば清々しかったのか。

山崎監督はこの言葉を、負けた日本人にだって幸せになる権利はあるんだとか、勝ったからってアメリカ人はいい気になるなよとか、鬱屈した気持ちで受け止めたのだろうか。

 山崎貴監督は、『宇宙戦艦ヤマト』発表当時の日本人は敗戦による鬱屈の延長上にあったとか、大和の怨念と果たせなかった夢への願望があったと書いた上で、それが『宇宙戦艦ヤマト』に宿っていると主張する。だからこそ、『宇宙戦艦ヤマト』は面白くなったのだと。「面白くなった」とは、「共感できるものになった」とか「魅力的になった」という意味と同じだろう。
 困ってしまった。
 そう受け止められるのは、『宇宙戦艦ヤマト』を作った人たちが一番避けたかったことだから!

ナドレック @nadreck7

単行本を持っているのですが、文庫化に際して加筆修正されたとあればまた買ってしまう。ファンの悲しい性ですね。で、文庫版で追加されたことの一つに、山崎貴監督の解説があるのですが、どうも書いてることがおかしい…。『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』 amzn.to/2RzG61D

2019-01-06 16:41:08
Isamu Katsuyama @toro2007

@nadreck7 単行本は読みました。文庫版はまだですがか解説がおかしいのですか?

2019-01-06 18:34:10
ナドレック @nadreck7

@toro2007 読んでいて、ところどころ首を捻る箇所があるのです。監督はあまり熱心なアニメファンではなかったのかもしれません。本文の内容もちゃんと汲み取れてないような……。

2019-01-06 18:44:52

もしも地方在住だったために第1テレビシリーズを繰り返し見る機会に恵まれていなかったのなら、今からでもじっくり見て欲しい。沖田艦長の言葉を胸に刻んで欲しい。

 願わくば、『宇宙戦艦ヤマト』を愛する気持ちがあるのなら、ヤマトを太平洋戦争のアイコンとしての戦艦大和と結びつけるような言動は慎んでいただきたい。
 『宇宙戦艦ヤマト』の一ファンからのお願いだ

リンク Mastodon CINEMANDRAKE(シネマンドレイク) (@cinemandrake@mastodon.social) アニメ『PLUTO』感想 『鉄腕アトム』の中でも特異なエピソードとしてファンの間で語り草となっている「地上最大のロボット」を浦沢直樹が独自に脚色してリメイクした漫画がアニメ化。ロボット・フェティシズムやテクノ・オリエンタリズムありきではなく、しっかり「ロボットの人権」を通して、全生命の倫理を問う物語として確立。やはり手塚治虫のメッセージは今の時代にこそ必要です。 👇 ネタバレあり https://cinemandrake.com/pluto-anime
潮と提督🇯🇵🇺🇦🇹🇼🇺🇲🇬🇧🏇 @teitokutoushio

@cinemandrake #LGBT #LGBTQ #イスラム教 #LGBTはイスラム教に反する #イスラム教徒はLGBTを許さない 私は断言するが、日本で🇯🇵いずれ必ずイスラム教徒と(笑)LGBT賛成派で(笑)トラブルが発生するだろう💣💥さて勝者はどちらかな(笑)

2023-11-10 07:42:10