大きく勝つのが目的になる「勝者のゲーム」と、失敗を防ぐことが目的になる「敗者のゲーム」とがある

で、病院の業界において、教科書に書かれる治療の大部分は敗者のゲームになっているのに、それを書く偉い先生方は勝者のゲームを勝ち抜いた人だから、不具合が起きる
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medtoolz @medtoolz

大きく勝つのが目的になる「勝者のゲーム」と、失敗を防ぐことが目的になる「敗者のゲーム」とがある。で、病院の業界において、教科書に書かれる治療の大部分は敗者のゲームになっているのに、それを書く偉い先生方は勝者のゲームを勝ち抜いた人だから、不具合が起きる

2011-12-12 13:19:04
medtoolz @medtoolz

いわゆる的な疾患、治療が確立している病気、少なくとも教科書には、暫定的な治療手段が記載された疾患において、もはや自己流のやりかたは許されない。それが成功する確率よりも、教科書を外れたことを過失として問われるリスクのほうがはるかに大きくなってしまう

2011-12-12 13:20:44
medtoolz @medtoolz

教科書において正解のない疾患、まだ疾患名すらついていない、何となくだるいとか、すっきりしないとか、そうした領域は、まだまだ勝者のゲームである可能性が高くなる。致死的な転機につながる疾患さえ除外できれば。

2011-12-12 13:21:50
medtoolz @medtoolz

まだ「病気でない」領域、教科書に載っていない症状については、上手くいけば大成功、上手くいかなくても、「これ」という正解がないのなら、それを過失として問うのは難しい。工夫で何かをやりたい人は、こういう領域を探して進まないと詰む

2011-12-12 13:23:01
medtoolz @medtoolz

敗者のゲームに大成功への手段が存在しない以上、損失を最小限にできるやりかたが求められる。公的組織にフリーライドして、リスクは回避される。あるいは組織としてリスクに対処できる体力のない場所は潰される。

2011-12-12 13:25:14
medtoolz @medtoolz

練馬の大きな施設が撤退する問題は、日大クラスの巨大組織ですら、あの場所が生み出す、あの施設が引き受けているリスクの総和にもはや耐えられないということなんだと思う。リスクへの対処において、「無駄を省く」という選択肢は存在しない。

2011-12-12 13:26:19
medtoolz @medtoolz

「効率よく同じ成果を上げる」という戦術は、勝者のゲームにおいてのみ許される。汲々、特に小児科の夜間外来の拡充が求められているあの場所で、効率よく何かを行える組織があるわけもなく、「もっと大きな日大」でないと、経営引き継ぐの無理だと思う

2011-12-12 13:27:21
medtoolz @medtoolz

で、日大よりも大きな医療組織って、東大ぐらいしかないんじゃないかと思う。日赤にしても済生会にしても、全国組織というよりは、独立した病院が集まってるような形式だし。

2011-12-12 13:29:00
medtoolz @medtoolz

いまたぶん、びっくりするほど大きな病院が、案外個人とか、せいぜい数人の「頑固なリーダー」の頑張りというか、「惰性」で持ってる状況が多いのだと思う。上の人たちが、「こうでなくてはいけない」という前向きでなく、「そういうもんだ」という過去の流れで業務変えないから、見た目持ってるような

2011-12-12 13:30:33
medtoolz @medtoolz

現場レベルではもう逃げに入っていて、医師を束ねる大学医局の側には、その施設の悪評ばかりが伝わって、当の院長はといえば、やる気を全開にするわけでもなく、地元のヒーロー扱いされてるわけでもなく、漠然と何となく忙しい状態で、現場を支える

2011-12-12 13:31:52
medtoolz @medtoolz

よく言えばそれは、謙虚なリーダーが粛々と組織を束ね、地元医療を支えている構図なのだけれど、悪い言いかたすれば、ポリシー無く決断できないリーダーが、すでに瓦解した組織にしがみついているとも見える。リーダーが変わると、下手するとみんないなくなる

2011-12-12 13:33:25
medtoolz @medtoolz

脳梗塞に対する血栓溶解療法は、あれを本格的に導入したり、あるいはテレビで治療の効果が喧伝されたりすると、日本中の脳外科医の息の根が止まるんじゃないかと思う。あれをやれるだけの確信が持てない施設が、脳梗塞疑い患者さんの救急搬入を断るだろうから

2011-12-12 13:55:00
medtoolz @medtoolz

治療の効果が期待できる/期待できないという議論とは全く別のところで、血栓溶解療法は、暫定的に「これ」というやりかたが久しく変わらなかった、敗者のゲームとしてルールの確立した場所に、リスク前提の成功という、勝者のゲームにおいてのみ許される治療を持ち込んでいる

2011-12-12 13:56:41
medtoolz @medtoolz

そもそもがもう、失敗に向けた経路を踏まないよう、踏まないようなやりかたが王道になっている場所に、それを使うことによるリスクが明らかに見込まれる治療を持ち込んでしまうと、リスクを引き受けられる能力のよほど高い施設以外、その疾患の治療からは手を引くことになる

2011-12-12 13:58:01
medtoolz @medtoolz

患者さんの数に比べて、治療者の数が十分に多い領域ならば、新しい治療を提案することで地域の患者さんを総取りすることは、戦略として十分にありなのだけれど、血栓溶解療法の担い手たる脳神経外科医は、もう絶滅危惧種もいいところのような気がする

2011-12-12 13:59:09
medtoolz @medtoolz

損耗率が無茶苦茶に高い、過酷な鳩レースみたいな場所に、「今年から新潟のトキも参加させることになりました」なんて宣伝するようなもので、中の人は実際に、あの流れをどう思ってるんだろう?

2011-12-12 14:00:20