ある陰陽師と僕の物語

(T-T) @Kyota_WJ

京都の鴨川には、川縁にカップルが等間隔に座るという話があるが、実際には等間隔ではないことが確認されている。では、距離を空けて座る理由は何か。 #twnovel さる陰陽師が言うには、別れた者たちの呪が残っており、それの特に濃いところを無意識のうちに避けているのだろう、とのことだ。

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イヌの社会的知性が、時にヒトの乳幼児並の水準を示すのは、ヒトと共生することで飛躍的に進化した結果だという説がある。 #twnovel 天狗は滅びていない。京都のさる陰陽師は言う。天狗は人社会に出入りするうちに、人と共生するように鼻が短く退化した。麒麟の首や象の鼻と反対だ、と。

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京都の鴨川では、時々、大雨のためにオオサンショウウオが上流から流されてくる。そんな１匹を偶然みつけたので、保護団体に知らせた。数日後、枯流茶辺久なる人物から有名店のちりめん山椒が届いた。 #twnovel さる陰陽師は言う。枯流茶辺久は山椒魚達が何十年か前から使っている名だ、と。

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飼主とペットが似るとは昔から聞く話だが、実際にイヌとその飼主の外見について調べた結果、どちらかといえば似ており、飼主が自分に似た感じのイヌを最初から選択していることが示された。 #twnovel さる陰陽師は言う。最初に家族という呪をかけるからだ。家族は似ているものだろう、と。

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蝋燭は、残念無念といった類の呪をかけて燃やすとよい。さる陰陽師は言った。 #twnovel 果たされなかった想いが昇華され、新たな想いに生まれ変わる。誕生日の蝋燭とは再生の呪にふさわしいが、誕生日ではなくても、この機会に想いを生まれ変わらせてはいかが。 #candlenight

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台風とは、要は地球規模の気の流れの表れだと、さる陰陽師は言う。最近、世界中の祈祷師の類が集って、近年乱れがちな気の釣合いを整える行事が催されたらしい。 #twnovel 集まった者達の教義や宗旨はばらばらだったそうで、整えていたのか乱していたのか分からん、と、さる陰陽師は笑った。

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"とりっくおあとりーとぉ"「おう怖い。ほらよ」さる陰陽師は万聖節にも参加する。宗旨に反しないのかと問うと、「陰陽師にあるのは自然の理のみ。神も悪魔もその理の内」とのこと。 #twnovel ところで、ここに子どもが来るのは、五芒星の入った水干姿が万聖節の仮装と思われてるからでは？

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旧知のさる陰陽師が、誕生日を祝ってくれるという。僕なんてもう祝ってもらう歳じゃない、と言うと、こんなことを言われた。 #twnovel 人はいつ死ぬか分からない。一年、無事に歳を重ねたことこそ目出度い。また来年も共に誕生日を祝えることを願って、寿ぎという呪を私はかけたいのだよ。

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さる陰陽師は言う。「鬼は姿を変えて現代に溶け込んでいるが、鬼か否か簡単に見分ける方法がある」へー、どんな？「来年の話をするのだ。たとえば、…来年こそ、私は結婚する」…ぶっ。 #twnovel 「今の話で笑うとは、おまえ、鬼だな」い、いや、僕と同じことを思っていたことに驚いたんだ。

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「何を言っている？たとえば、と言ったのだ」えっ。本当に来年には結婚する、って意味じゃないの!?「おまえの結婚予定こそ初耳だ。誰とだ？」いやっ、やっぱりなしっていうか、その、…あな、た、と。「…アナッタット？外国人か」 #twnovel そんなこと言ってとぼけても、耳が赤いよ。

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「…今？自宅。…今日？…あー、明日じゃだめ？…あ、よかった。…いや、ちょっと都合がな。…うん、方忌み。…うん、じゃ明日な」陰陽師の仕事の話じゃないのに、方忌みを気にするのか？ #twnovel 「陰陽師の本質は職業や資格ではない。陰陽道に則る者こそが陰陽師だからな」

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あれ？休み？「いや」あ…残念。京都の飲食店は競争の厳しさ故か、潰れる店も少なくない。さて、夜中は店が限られる。どうしよう。ん？店の奥が仄明るい？…人の気配も？ #twnovel 「鬼の宴だろう。現代の都で宴が開ける店は少ないからな。気づいたと悟られる前に離れないと、肴にされるぞ」

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「半陰陽って知ってる？」…両性具有とかの？「うん。簡単に言えば、私はそれなんだ」…!?…驚いた。 #twnovel 手術で外見は女性にされたが、育つにつれて女と男の混在が表れてきたため、親が体面を気にして、11歳で養子に出されたとのこと。「それが陰陽師に興味をもった理由」ふーん？

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陰陽師、安倍晴明の母は狐、というお話があるだろ。狐でもあるが狐ではなく、人でもあるが人ではなく。それは、半陰陽で、女になりきれないために親に受け容れられず、男になりきれないために自分を受け容れられない私と、似ているような気がして。だから、晴明公になろう、と。 #twnovel

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半陰陽に生まれ、女として育てられたが、女と男が混在する様相を表したため、素封家の親が家の将来を危惧して、養子に出された。 #twnovel 「陰陽師は陰陽を操る者だから、陰陽師になれば、厄介な自分も制御できるかと思ったんだ。制御は無理だったけど、自分を受容できるようにはなったね」

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プロポーズの返事を渋っていたのは、半陰陽で、子どもを産めない可能性もあるから。女性にしか見えないけど、服装は中性的だし、口調は時々男っぽい。でも、僕は、そんな彼女を好きになったのだ。「僕は今のままのあなたがいい。あなたと生きていきたい」 #twnovel 彼女の涙を、初めて見た。

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京都は自然が豊かだ。鴨川には目高を始めとする小魚や、虫達、鴨や鷺に鴎までいるし、山際では住宅地でも狸がうろつく。友人は猪に遭遇したと言っていた。 #twnovel 京都のさる陰陽師が言う。陰陽師には自然が欠かせない。そして、権力者も欠かせない。共に手近で揃うから、京にいる、と。

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早朝、八条ケ池の畔に札を埋める。次は北へ鉄道を乗り継ぎ、貴船川の畔に。今度は南に鉄道を乗り継ぎ、さる寺の境内に。続いてJRを乗り継ぎ、桂川の畔に。急いで東に向かい、大文字さんに。最後は暗くなった街を長岡京に戻る。こうして京の平穏は守られる… #twnovel と、一人思っている。

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正月の準備をする姿を見て、ふと思った。「陰陽師なのに、旧暦に合わせなくていいものなのか？」 #twnovel 彼女は言う。暦に、絶対的な適切さがあるわけではない。生きている時代の暦、言葉、道に沿うことが、最も自然なのだ。陰陽道は、人の間にある。旧暦では、現代人の多くには通じぬよ。

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"彼を呪い殺したい" たまに、こういう相談がある。「…呪殺には、あなたもひと月、迷いなく念じ続ける必要があります。迷うと、それまで呪った分が、主にあなたに返ってきます。その危険を冒す価値があるか…」 #twnovel 今のところ、依頼する人はいない。彼女が良い年を迎えますように。

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「心のデトックスしております」？帰宅したら、不思議な張紙が。何を始めたの？ #twnovel 我が陰陽師殿は言う。「心の毒出し。いつものカウンセリングなんだけど、広告出してみた。毒を吐くって、言わば呪詛だから、それを紙人形で引き受けて」祓う？「依頼者次第」彼女は微笑んだ。怖いぞ。

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弍寧坂、参寧坂。古都の観光地である積水通の、その２つの坂で転ぶと、それぞれ２年以内、３年以内に、一方ならぬ確率で亡くなる。運良く亡くならなくとも、寿命が２年、３年縮まる。 #twnovel さる陰陽師は言う。通の元の名は「生気吸い通」。その呪が、いまだ消えていないのだろう、と。

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節分。陰陽師を生業とする妻は、酒や肴を持って山に出かける。 #twnovel 妻曰く、追い払われた鬼達は、京では山へ行くしかない。そして、鬼とてなりたくて鬼になったとは限らない。そういった鬼を慰めに山へ行くとのこと。同行を希望すると、腹踊りを一晩続ける覚悟はあるかと問われた…。

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１日１回以上相手の視界に入ること。並行して、相手の好きなものに関係する物を用意し、毎日寝る前に、それを相手に渡す場面を想像しながら呪を唱える。これらを１週間以上。最後には、同じ呪を唱えてからそれを渡す。 #twnovel これ、何？「恋愛成就の術。依頼が多い時期だから説明用にね」

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渡す場面の想像は、渡すときの場所や言葉等、できるだけ具体的に考えて。呪は「オン・アボキャシッデイ・アク」でしょうか。渡す前に唱える呪は相手に聞こえないように注意する必要がありそうですね。 http://j.mp/ah7nkc #twnovel #twhihyo