忍者龍剣伝クロニクル

全34回+番外編
5
よしざわひでお @yoshi_clonoa

テクモで『マイティボンジャック』 『忍者龍剣伝』等のディレクター、ナムコで『風のクロノア』や『ミスタードリラー』等のプロデューサーを務める。2016年4月、バンダイナムコスタジオを退職、フリーに転進。現在東京工芸大学教授 著書に『ゲームプランナー集中講座』新刊は『「気持ちいい」から考えるゲームアイデア講座』好評発売中。

よしざわひでお @yoshi_clonoa

新刊『「気持ちいい」から考えるゲームアイデア講座』は本日発売! 一部書店では一週間前から店頭に並んでたようですが、今日が発売日です! 「忍者龍剣伝」や「風のクロノア」「ジェミニウイング」など、その発想の過程についても書きました。 よろしくお願いします。 amazon.co.jp/dp/4297126192 pic.twitter.com/LK0FCdAclx

2022-02-16 13:25:36
拡大
よしざわひでお @yoshi_clonoa

「忍者龍剣伝」35周年を記念して本日から「忍者龍剣伝クロニクル」をやってみようと思います。 #忍者龍剣伝 #NinjaGaiden pic.twitter.com/YvvpGIDo2u

2023-12-10 10:01:18
拡大
よしざわひでお @yoshi_clonoa

わたしがテクモに入社して3年が過ぎていました。 テクモの社長は一代でテクモを中堅ゲーム会社に成長させたワンマン社長で、急に何かを思い付いては社員に指示するのですが、それは即決定事項となるのです。

2023-12-10 10:01:43
よしざわひでお @yoshi_clonoa

販売部から開発部に異動になってから初めてディレクションした「マイティボンジャック」が成功したことでわたしは社長から信頼されていました。 だから事あるごとに社長から課題を投げかけられるのでした。 そんなある日、また社長に呼ばれたのです。

2023-12-10 10:02:01
よしざわひでお @yoshi_clonoa

「今、アメリカで忍者がブームなんだよ。だから忍者のゲームを作れ! いいか、タタタタタタァーーーというゲームを作るんだぞ」

2023-12-10 10:02:18
よしざわひでお @yoshi_clonoa

その瞬間頭をよぎったのは壁を蹴って登っていく忍者の姿でした。 それはまさにタタタタタタァーーーという感じのテンポの映像でした。 そしてすぐにアメリカから忍者雑誌を取り寄せたのです。 つづく

2023-12-10 10:02:45
よしざわひでお @yoshi_clonoa

それを読むと、どうもアメリカ人にとって忍者は魔法使いとカンフーを合わせたようなイメージだということがわかりました。 なぜなら忍者グッズに手裏剣とか鎖鎌とかと並んでヌンチャクとかもあるんです。

2023-12-11 19:22:07
よしざわひでお @yoshi_clonoa

そうして雑誌を眺めているうちに、頭の中に夜のビル街を駆け抜ける忍者の映像が浮かび、ビルとビルの間を壁を蹴って屋上まで登っていく姿がイメージされました。

2023-12-11 19:22:34
よしざわひでお @yoshi_clonoa

そこでまずは壁蹴りジャンプを試作しました。その時の仕様は「忍者くん」のように壁に張り付いている状態で反対側に十字ボタンを入れながらジャンプボタンを押すという操作を繰り返し行なうものでした。

2023-12-11 19:22:50
よしざわひでお @yoshi_clonoa

しかしできてきたバージョンは、プログラマの勘違いでジャンプして壁に張り付いた後、ジャンプボタンを押したままだと十字ボタンを左右に入れるだけで続けて壁を蹴ってジャンプするようになっていました。

2023-12-11 19:23:10
よしざわひでお @yoshi_clonoa

でもそれがとても快適だったのです。十字ボタンを左右交互に素早く入れるだけでスピーディに壁蹴りジャンプができるのです。そしてそれはまさに求めていたタタタタタタァーというテンポだったので、そのまま採用にしました。 つづく

2023-12-11 19:23:44
よしざわひでお @yoshi_clonoa

プログラマの創ってきた壁蹴りジャンプは仕様とは違いましたが快適だったので採用となりました。 #忍者龍剣伝 #NinjaGaiden pic.twitter.com/GSDLQM01IW

2023-12-12 08:45:51
拡大
よしざわひでお @yoshi_clonoa

この壁蹴りジャンプがこのゲームの特徴的なテンポになるので、この操作を活かしたマップを考えようと思いました。それはアップダウンの激しいマップ構成になりました。

2023-12-12 08:46:28
よしざわひでお @yoshi_clonoa

ゲームのデータの作りなどは、当時必死に遊んでいた「悪魔城ドラキュラ」を参考にしていたのですが、スピードやテンポが違い、アップダウンのマップを入れると全く違った遊びになりました。

2023-12-12 08:46:40
よしざわひでお @yoshi_clonoa

忍者は当然忍術を使って敵を倒す仕様になるので、忍術パワーを消費して技を使うようにしました。 主人公は通常攻撃としては、剣で目の前の敵を斬る接近戦なので、パワーアップアイテムはその死角をカバーするものがいいなと思いました。

2023-12-12 08:46:59
よしざわひでお @yoshi_clonoa

手裏剣は真っ直ぐ前に飛び、離れた所に攻撃できる。 炎波の術は斜め上前方に広がって攻撃できる。 風車手裏剣は放つと自機に向けて追尾するのでジャンプでうまく避けると前後にずっと振り子のように攻撃できる。

2023-12-12 08:47:24
よしざわひでお @yoshi_clonoa

これで死角は真上と真下になるので、回転斬りといって、ジャンプ中に使うと無敵で何度もヒットする技を追加しました。 つづく

2023-12-12 08:48:15
よしざわひでお @yoshi_clonoa

パワーアップのバランスの基本的な考え方は「一長一短」です。 それぞれに使い勝手が違うものを用意して、それに合わせた面構成にしていきました。 #忍者龍剣伝 #NinjaGaiden pic.twitter.com/cAfxjRIqsE

2023-12-14 10:01:18
拡大
よしざわひでお @yoshi_clonoa

このゲームの設計思想は「止まらずに流れるようにプレイできること」でした。最初に社長に言われた「タタタタタタァーーー」というゲームというのは私にはすごく分かりよかったんです。

2023-12-14 10:01:41
よしざわひでお @yoshi_clonoa

つまり止まらずに流れるように駆け抜けるテンポのゲームです。 だからアイテムの配置も、必要な場所に必要なアイテムを配置しました。

2023-12-14 10:01:53
よしざわひでお @yoshi_clonoa

例えば斜め上から攻撃してくる敵を配置したら、その直前に炎波の術を置くとか風車手裏剣を出した後に前後から敵が攻撃してくるように配置するとか。

2023-12-14 10:02:04
よしざわひでお @yoshi_clonoa

でもそのせいでアイテムを使わないで剣だけで闘おうとすると恐ろしく難しいゲームになってしまいました。 (よゐこの有野さんが苦戦しているのをゲームセンターCXで見ましたけど、アイテム全然使わないんだもんなぁ~って思ってました) つづく

2023-12-14 10:02:53
1 ・・ 10 次へ