茂木健一郎さん連続ツイート2011年12月18日

「髪の毛を自分で切ったあの日に何かが始まった」
0
茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、さっきコンビニに向かって歩きながら、よぎったことについて。

2011-12-18 07:23:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(1)子どもの頃、床屋さんにいくのが面倒だった。だから、ついつい長くなってしまう。行くと思いきり切ってもらうので、長いときと短いときの差が大きかった。「そろそろ行かなくちゃ」と思いながら、ぐずぐずしている。えいやっといくと、ボンタンあめをくれた。

2011-12-18 07:25:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(2)大学のときは、何を血迷ったか「美容院」に数回行ったことがある。最初は御殿下グランドの横にあった店。髪の毛を切るときに、ちょいちょいと少しずつまとめるので、そのテクノロジーに「おおっ!」と感動した。

2011-12-18 07:27:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(3)あの頃思っていたのは、「自分では髪の毛を切ってはいけないのだ」ということだった。だから、一切切ったことがなかった。髪の毛を切る、というのはプロに任せるべきことで、自分でやると、「虎刈り」という恐ろしい結果になる。そんな思い込みの中に、ぼくはいた。

2011-12-18 07:28:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(3)あの頃思っていたのは、「自分では髪の毛を切ってはいけないのだ」ということだった。だから、一切切ったことがなかった。髪の毛を切る、というのはプロに任せるべきことで、自分でやると、「虎刈り」という恐ろしい結果になる。そんな思い込みの中に、ぼくはいた。

2011-12-18 07:28:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(4)それが、イギリスに留学中、最後にキプロス島出身の兄弟がやっている床屋に行って、一時間ずっとキプロス島の話をしていた。次に行くときに、またキプロス島の話をするのは面倒だな、と思った。それで、「じゃあ、やっちゃうか」と人生で初めての決断をした。

2011-12-18 07:29:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(5)今でも覚えている。下宿のソファのある部屋で、ハサミをもち、「じゃあ、切るぞ」と思った。これでオレは虎刈りになるんだな、と思った。まあ、いいか、とも思った。とにかく、ぼくはハサミで自分の髪を切ってしまった。以来、ずっと自分の髪は自分で切っている。

2011-12-18 07:30:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(6)近頃は慣れたもので、そろそろ長くなってきたな、と思うと、コンビニの袋とハサミをもって風呂場にいく。そして、後ろの方もあたりをつけて切ってしまう。チョキチョキチョキと、2、3分で終了。あとはシャワーで髪の毛を洗って、ぼくのセルフ床屋は終わりである。

2011-12-18 07:32:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(7)子どもの頃から、髪の毛を自分で切ってはいけない、と思っていたのが、「じゃあ、やっちゃうか」とハサミを持って立ったあの下宿の午後。今でも時々思い出す。人生では、やってはいけない、と勝手に思い込んでいることがたくさんあって、その思い込みさえ外せば、一気に自由になる。

2011-12-18 07:33:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(8)大学に行かないと学問ができない、という思い込み。どこかの組織に「所属」しなければならない、という思い込み。肩書きがないといけない、という思い込み。いろいろな思い込みが、髪の毛を自分で切ってしまう、ということと同じように、身体性にかかわることのように思う。

2011-12-18 07:35:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

かじ(9)身体感覚に関わり、もし活動が乱れれば体外離脱体験を起こすのはtemporoparietal junction (TPJ)だが、同じ領域がmoral judgment (倫理的判断)にもかかわっている。自分の身体をどう扱うかが人生の重大事であるゆえんである。

2011-12-18 07:37:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「髪の毛を自分で切ったあの日に何かが始まった」の連続ツイートでした。

2011-12-18 07:37:54