「ドイツっ子達のオエー🤮に関する話、学校編」まとめ

ドイツ教職メガネ @BosanZ8221

ドイツっ子達のオエー🤮に関する話、学校編①: 長文じゃないと伝わらない話なので詳細に書きます。 ある時、休憩時間終わりに女の子がシクシク泣いていて、慰められていた。遠くに座っている子達が不自然にニヤニヤしていて、すぐさま「あ、こいつらだな」と思った。 慰めている子達曰く、泣いている子は、休憩中にハム入りのサンドイッチを食べていて、菜食主義の子達が、寄ってきて「オェー！🤮　どんな風に動物達が殺されてんのか知らないんだぁ！！！」を繰り返したとのこと。 数学の予定を大幅に変更、授業の初めに食育タイム。 👓「さて、○○が泣いてますが、誰が関係してるの？」 🧑‍🦱「先生、自業自得です。てかなんで泣いてるのかわからない。オーバーリアクションです。」 👓「なんで？」 🧑‍🦱「だって、肉食べてる人たちは、間違ってるから。動物たちが屠殺場で無惨に殺されているの知らないだけ」 👓「ほう。クラス全員そう思いますか？」 👩‍🦰「いや、でもオーバーリアクションは、彼らの方です。めっちゃ干渉してるし、自分が食べてる時にオェーとかされたくないです」 🧑‍🦱「いや、でも肉を！」 👓「ちょっと、待ちなさい。手を挙げずに割り込まない。彼女の発言からあなたに確認の質問します。あなたは、食べてる時にオエーと言われてもいいの？」 🧑‍🦱「肉を食べてるのが悪いので、そういうことをされても仕方ないです」 👓「いや、あなたは質問に答えてない。あなたが好きなものを美味しく食べている時に、人からオエーと言われたいのかという質問です。」 🧑‍🦱「・・・えー・・・それはいやです」 👓「さて、じゃあ違う伝え方があったのでは？誰かいいアイディアはありますか？」 👱「食べてない時に、議論するとか？食べてる時に言われるといやだよね」 👓「そうだね、それならまだオープンだね。まずは、オエーに関して彼女に謝罪をしなさい。あなたも含めてみんなオェーとされるのは嫌でしょう」 謝罪完了。 👓「さて、ここから議論しましょう。あなたはさっき『肉を食べる人は間違っている』と言ってましたが、なぜそう思うのですか？」 →②に続く。そのうちポストします。

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パート2 ドイツっ子達のオエー🤮に関する話、学校編② 👓「さて、何故、肉を食べる人は間違っているの？」 🧑‍🦱「だって、動物かわいそうでしょ？豚とか牛とか鶏とか。切られて死んで、体バラバラにされて、食べられて。自分が同じ目にあうこと考えたら無理。してはいけないことです」 👓「なるほど。つまり、肉を食べることはそのかわいそうな動物達の犠牲の上に成り立っていると」 🧑‍🦱「そうです！不必要なことだよ！間違いです」 👓「あなたは菜食主義？」 🧑‍🦱「はい」 👓「そう。ありがとう教えてくれて。肉を食べることには犠牲があり、農作物などを食べる事には犠牲がない？」 🧑‍🦱「そうです」 👓「クラスの皆はどう思う？彼の意見に賛成ですか？ちょっと時間を取るので、隣人同士で話してみて下さい。」 10分後。 「さて、意見交換しましょう。」 クラスの大体3分の2が、「彼の言う通り派」。残りの3分の1が反対派となった。反対派劣勢である。 「動物を殺せるなんてなんてひどい！」「痛みを君たちは感じないのか」などと攻撃される。 「でも肉はうまい」とか「私達の勝手でしょ」というような論点で反対派が苦しくなる中、そろそろ俺も重い腰を上げて論点増やさねばならないかと思っていた所、手を挙げたのは反対派の農家の娘だった。 →うーん、詳細に書こうとすると長くなる。今日はここまで、③に続きます。

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パート3 ドイツっ子達のオエー🤮に関する話、学校編③: こういった議論が勃発した場合、教師として一番気をつけねばならないことは、あくまでファシリテーターとして振る舞い、自分の意見を押し付けないこと。 しくじると後ほど保護者との激しい議論に発展することもある。少々緊張気味に、状況を伺っていたところだった。 挙手をしたのは、普段活発に発言する農家の娘。でも珍しく議論に参加してこなかった。 👱‍♀️「えーと、、、うち農作物育ててるけど、めっちゃたくさんの虫とかがそれで死んでると思います。犠牲はないとは言えないと思います」 肉食批判の子達の一部から嘲笑に近い笑いが起こる。 🧑🏻‍🦰「だって害虫(Schädling)とかじゃん」 👩‍🦱「先生！そんなことまで言ってたら何も食べられません。議論になりません。」 👓「落ち着いてー。そうなの？皆さんに聞くけど、例えば、害虫という『命』とあなた方がかわいそうだと言ってる食用の動物達の『命』に違いはありますか？少し話合ってみてください」 5分後。 👓「意見交換しましょう。」 👩‍🦱「彼女が言ってるのは害虫の話なので、しょうがないことだと思います」 👓「君たちは、俺の質問きちんと聞いていた？俺は、『命』に違いがあるかって聞いたの。2分あげるからもう一度話し合って、それに答えてください」 2分後 🧑🏻‍🦰「えーと、違いがあると思います。」 👓「なるほど。どうして？」 🧑🏻‍🦰「害をなす命と、害をなさない命があると思うからです。」 👓「そういう風に考えるんだね。他のみんなはどうですか？」 👱‍♀️「違うと思います！私は命であることに変わらないと思います！」 ここからは生徒達の頭パンクして、議論が数分堂々巡り。 👓「さて、皆さん、とてもいい議論のポイントまでたどり着いたね。今あなた達の意見の違いが見えてきてるよね。でもね、そろそろね、数学もやらないといけないの。だからここで一度ストップして、このテーマは宿題にしましょう。明日までに、この「命の違い」について考えてきてください。特に害虫に関してですが、害虫は「誰に」害を及ぼすかを考えてきてください。」 →④に続く

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パート4 ドイツっ子達のオエー🤮に関する話、学校編④ なんか細かく書いてシリーズ化してしまっているけど、この調子で行きます。余計な冗談とかも入ってカオスだけど基本ノーカットで。生徒達との先の見えない議論ってそんなもの。 👓「さて、今日も少し時間取りましょう。皆さん考えてきましたか？」 🧑‍🦱「色々考えたけど変わりませんでした。害する命と害さない命があります」 👱‍♀️「それはおかしな区別です！！！」 👓「ふむ、昨日と同じ議論の渋滞になる前に、質問させて？害さない命とは、例えば益虫とかのこと？」 🧑🏻‍🦰「そうです」 👓「なるほど。誰か、害虫が誰を害してるか考えましたか？」 🧑🏻‍🦰「えーとよく意味がわからなかったんだけど、自然に害があるんじゃ？作物を荒らしたりしますし。害虫って呼ばれてるし」 👓「なるほど、そういう捉え方をするんだね。君の言い方だと、農業は自然に入るね。皆もそれで良いですか？」 長い沈黙から1人挙手。 👩‍🦰「いや、農業って自然じゃなくないですか？だって、手を加えて畑を作るし。」 👓「なるほど、農業は人工的なものだと？誰か反論ありますか？」 長い沈黙、反論なし。 👓「じゃあ、話を進めましょう。農業は自然に属さない。つまり害虫は自然を害してるわけではないとしたら、害虫は誰を困らせるの？あるいは益虫は誰を喜ばせますか？」 🧑🏼「うち家庭菜園やってるけど、てんとう虫増えるとお母さんめっちゃ喜んでるよね。害虫食べてくれるって」 👓「なるほど、あなた達は嬉しいだろうね。あと、因みにてんとう虫がきて「ヤベェな」って思うのは誰だろうね」 👩「うちのお隣さんは多分ムカつくと思う。私たちのこと嫌いだから」 ドッと皆爆笑。 👓「今度、俺、嫌いな隣人の庭でてんとう虫集めるかな。あ、警察呼ばれるかw」 さらに爆笑。 👓「さて冗談はさておき、てんとう虫がきたら困るのは本来誰ですか？」 👩‍🦱「、、、害虫？」 👓「そうだね。害虫は困る気がするよね。食べられるわけだから」 🧑‍🦱「でも、大事な作物食べられたら困るからしょうがないことです！」 👓「しょうがないことかどうかは今話してません。もう少し待ちなさい。でも、大事な点でもあるね。もう害虫で誰が困って、益虫で誰が喜ぶか出てきましたね。もっと言うと誰が「益虫」(Nutzling) と「害虫」(Schädlinge) の名付け親ですか？」 何人かの子達が、挙手せずにボソボソっと言った。 「誰？まだ全然わからん」 「俺たち？」 「？？？」 「人間？」 ⑤に続く。

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パート５、最終章。 ドイツっ子達のオエー🤮に関する話、学校編⑤: 中１のクラスでのオエー🤮から始まった、食育論争。元々の授業予定放棄してでも、こういうことをやる価値はあると思ってる。 人間の都合で、「害虫」と「益虫」という名付けがあるというところまでたどり着いた。でも正直、俺の緊張度は高まってきたところだった。肉食反対派のリーダーっぽい子、頭の回転が早くて、どういう方向に議論が進むかを感じ取っていた気がする。 👓「さて、人間が虫という「命」を、害虫と益虫にわけている、ということで良いですか？」 納得の沈黙ではなく、色々な考えを腹の中で煮ているような感じ。下唇を噛んでこちらを睨んでいる子もいる。 👓「言いたいことは色々あるだろうけど。では、害虫と人間が呼んでいる虫の命を犠牲にすること、そこから農作物を得ることについてどう思うか、隣人と意見交換してみて。」 10分後 👱‍♀️「昨日も言ったけど、虫も他の動物も同じ命だと思います。でも、それなしでご飯も食べられないと思います。」 👓「つまり、ご飯を食べることは犠牲と結びついてると。皆さんも、そう思いますか？」 🧑‍🦱「いや、命を犠牲にしてるってのはわかったけど、でもやっぱり、肉食用の動物を殺すのとは違うと思います！」 👓「どうして？」 🧑‍🦱「だって、虫もまあちょっとかわいそうだけど、虫が死んじゃうの見るより、動物死ぬの見る方がつらいです。だから僕は、やっぱり肉を食べません」 👓「なるほどね。教えてくれてありがとう。ちなみに聞きたいんだけど、誰かが、この意見交換の中で、あなたの考えが間違ってて、お肉を食べなさいって言ったの？」 🧑‍🦱「言ってません」 👓「そう。誰かがあなたの意見やあなたの感覚を否定する権利ある？もしそういう事を言う人がいたら、あなたはどう思う？皆にもききます。皆はどう思いますか？」 🧑‍🦱「それは干渉です。言わないほうがいいです。そんな権利ないです」 🧑🏼「えー、普通に話すのは良いんじゃないの？」 👩‍🦱「でも、バカにしたりとかはダメだよね」 👓「まとめしょう。基本干渉しない。でもバカにせずに、オープンに話すのはオーケーという事？」 バカにしたりとかはダメだよねという話が出たところから、オエー🤮をした子(🧑‍🦱)が明らかにソワソワしてきていた。たぶん特大おまいうブーメランを投げたことに気づいていたのかもしれない。「もうそろそろ終わりにしよう？」という感じに。でも、ここははっきりとさせないといけないところ。最後にもう一つ質問。 👓「さて、今回、一番最初に、ハムを食べていた○○が、数名にバカにされてこの議論になったわけですが、議論がここまで進んで、みんなどう思いますか？」 数名が、オエー🤮の子とその取り巻きを眺める。オエー🤮の子は、下唇噛んで、顔が赤くなった。そして、 「先生、トイレ行きたいです」と言って、出て行った。（←トイレは教師行かせないといけない決まり） 耐えきれなかったのだろうか。 正直、俺は、彼が納得することが目的じゃないと思う。もう謝罪自体もしてたしね。彼はでもこの議論の中で、また彼の意識を明確化し、さらにたぶん恥ずかしい思いもした。あとは彼の課題。 「みんな違ってみんないい」なんて綺麗事もいらないけど、幼稚な反応じゃなくて、きちんと議論をする能力を育んでいってほしいものですよねん。 あー長くなりました。もしかしたら後日談もそのうちあるかもね。全部読んでくれた皆さんありがとうございました😊🙏