近藤功司@kondoukoushi氏が語る電子書籍と印刷の歴史

近藤功司氏が紙の書籍と電子書籍について、歴史的経緯を交えて語っています。
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近藤功司 @kondoukoushi

いま電子書籍と呼ばれているものは、書籍みたいな新しい何かであって、書籍ではないよね。kindleの功績は、本と同じ文章を、あたらしいデバイス上で読むことを実現した点にあるけど、その反面、書籍と同じ足枷を、あたらしいデバイスにもたらしてしまった。

2011-12-22 07:12:56
近藤功司 @kondoukoushi

一方で、PDFファイルや拡張マークアップされたテキストファイルを、タブレットやPCで読むことには、無限の可能性が満ち溢れている。電子書籍という言葉に惑わされて、進化のスピードが落ちたり、可能性が限定されないようにお願いしたい。

2011-12-22 07:16:26
近藤功司 @kondoukoushi

家庭用ビデオが普及しても映画館が無くならなかったみたいに、電子書籍と称するデバイスやコンテンツが大ヒットしても、物理的に存在する従来本が無くなるとは思えない。和綴じの本が無くなったみたいに、変化は起きるだろう。だが、紙がいよいよ無くなるなら・・・それはすごいことだね。

2011-12-22 07:21:27
近藤功司 @kondoukoushi

でも、みんなが電子書籍にいくなら、ぼくは糊を溶き、紙をすいて、山で出版社を やるかもしれないw 硫酸銀を紙に塗り、酢酸の香りをかぎながら・・・ね。そういいう人もいるはずだ。

2011-12-22 07:25:23
近藤功司 @kondoukoushi

一方で、作家という言葉で表わされる人たちに、新しい電子デバイスを作りたいという衝動が芽生えるだろう。

2011-12-22 07:27:21
近藤功司 @kondoukoushi

ネットワークの凄いところは、「こんなとんでもないことを考えている人が、世界のどこかにいるんだ」という衝撃をくれた点にあった。地球上をくまなく探せば、いかなる思想も、データも見つけられるんじゃないか・・・という衝動に駆られる。それがネットワーク。

2011-12-22 07:29:44
近藤功司 @kondoukoushi

空間に強い電子ネットワークだが、だがしかし、時間に対する耐性はまだまったく未知数だ。和綴じの本で500年保存されているものはざらにある。じゃあ300年後にテキストファイルは読めるのだろうか。

2011-12-22 07:31:34
近藤功司 @kondoukoushi

500年前の紙の本が、ゆえあって保管されている価値の高いものだとするなら、テキストファイルだって、PDFだって、しかるべき権威とともに500年後に読むことができると思う。アメリカの独立宣言みたいに、博物館に飾られるかもしれない。

2011-12-22 07:33:17
近藤功司 @kondoukoushi

紙の本の凄いところは、いかなる人為的な操作もなしに、ただ単に、そこにあって、尚500年ぐらいの保存に耐える点にあると思う。

2011-12-22 07:34:27
近藤功司 @kondoukoushi

500年は大げさにしても、個人の経験で、たった30年前の古本が押入れから発見され、かくも偉大な思想がここに眠っていたかと嘆息することは多い。つまり、電子は空間を支配するが、紙は時間を支配しているのだ。

2011-12-22 07:36:09
近藤功司 @kondoukoushi

紙の書籍が、いかなる政治的な、学術的な判断にも左右されず、100年の単位で時間を超えるという性質を、電子書籍が身につけるとしたら、それにはどういう仕組みを用意したらいいか、いまから考えるのもいいかもしれない。

2011-12-22 07:38:41
ネク @neku_scenario

@kondoukoushi 読めるでしょうね。重要なのは媒体では無く、オリジナルデータが劣化しないかどうか。それさえ残っていれば再現は原理的にはできます。古代エジプトの文字が解読出来るという事実を考えれば、媒体が重要でないのは容易に想像が付くでしょう。

2011-12-22 07:39:18
近藤功司 @kondoukoushi

焚書に耐え、歴史の修正に耐える電子書籍があるという想像をするのは、現在とても難しいように思える。

2011-12-22 07:39:46
近藤功司 @kondoukoushi

@neku_scenario 記号と意味こそが書籍の価値であるという立場からはそうですね。ヒエログリフが正しく解読されているという思想を確かに思えるならば、正しくそのとおりです。時代はそこへ向かっています。

2011-12-22 07:41:52
近藤功司 @kondoukoushi

ひとつの漢字は複数の文字から出来ている。それと同じように、ひとつのページは複数の文字から出来ている。電子書籍はページを自由自在に再構成できるが、そこには41文字×20文字でこのページは構成されるべきといった議論は入ってこないのか・・・といった疑問が残っている。

2011-12-22 07:45:22
近藤功司 @kondoukoushi

Wordが松や書院を駆逐したあたりで、仮想ボディ+正体べた」が「中ゴシックBBB」あたりに大敗北して、あの静謐は崩されているわけが・・・、それを無視してあえて言えば、現在の書籍は表音文字に大侵略されて、いまだ反抗の兆しもみえない状況だと思う。

2011-12-22 07:49:05
ネク @neku_scenario

@kondoukoushi そのステイトメントは偽です。「如何なる人為的操作も無しに」と仰っていますが、例えばSmith,R,O,シカゴ大学,1970の論文をご存知ですか。25度、RH50%を基準としての種々の温湿度下でも紙の耐久性は、インターバルの最小値が14年ですよ。

2011-12-22 07:53:13
近藤功司 @kondoukoushi

500年耐える本の話をするとき、印刷されて保存されたオリジナル本が、複製されてはいけないという呪縛にとらわれてはいけません。本は書写され、受け継がれ、価値が上がってきたものです。@neku_scenario さんのコメントはとてもありがたいです。

2011-12-22 07:57:24
近藤功司 @kondoukoushi

源氏物語の原書(オリジナル版)がいまあるでしょうか? もちろんありません。和綴じの本の大半は書写したものです。紙の寿命は酸性紙だととても短いですが、洋紙に印刷した本を、コピーしてはいけないという視点で本の定義を狭めるのもまた、ひとつのステートメントでしょう。

2011-12-22 08:01:27
近藤功司 @kondoukoushi

書き間違い・・・大半はちがうな・・・木版が多いから。でも木版の版木は100年どころか保存がよければ1000年の保管を狙えそうです。書写については、その前の話ですね。

2011-12-22 08:03:34
近藤功司 @kondoukoushi

至って個人的な経験だけど、ぼくのかけがえのない親友が、風の谷のナウシカのファン(崇拝者?)で、オークションだかなにかで、ナウシカの刷版を競り落としてきたことがありました(額装されてた・・・w)。で、近藤さんこれって価値があるものですか? と聞かれてちょっと困ったんだけど・・・。

2011-12-22 08:06:25
近藤功司 @kondoukoushi

「風の谷のナウシカ」の徳間版のコミックが、いま本棚でどういう状態かを見ると、刷版が額装されて存在するということは、すごく大切なことなのかもしれないと思うようになりました。たぶん、紙より持ちこたえる・・・。そして、将来誰かに「発見される」かもしれない。

2011-12-22 08:09:44
近藤功司 @kondoukoushi

グーテンベルグが活字を発明したというのは偉大な発明で、ドイツに出張したときに、いやだという冒企のスタッフ(特に名を伏す)を早起きさせて、銅像を見に行ったりしたものだけど、実はそのあと、印刷が活字に一新されたかというと、そうでもないらしい・・・。

2011-12-22 08:14:23
近藤功司 @kondoukoushi

活字の発想は東洋にもあって、日本でも早い段階から活字は知られていたけど、困ったことに版木の支配を脅かすには至らなかった・・・。それは、なぜかというと、活字は印刷した後、バラされてしまうので、増刷が難しかったからだ。

2011-12-22 08:15:49
近藤功司 @kondoukoushi

というか、原版の出版後、もう一度それを印刷しようという意欲がわかなかったわけだ。

2011-12-22 08:16:27