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デッド! デダー・ザン・デッド! 全セクション版

自分用に作成 ニンジャスレイヤーの公式アカウントはX Premiumの機能をエピソードの連載時にも使用しているが、初期の時点ではTogetterがそれに対応しておらず、140字を超えるポストを全文読むにはXに飛ぶ必要があるなどの不便が生じていた 現在はTogetterが改善されているため、該当のポストをまとめ直すことで読みやすくなるのではないかと考え、試験的にまとめてみた
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フブキ君!」リー先生が命じた。フォーティーナインはすぐに対応した。今にも崩れかかっていたラボ祭壇の亀裂から、いとわしい巨大な触手がのたうち出た。それはどうやら、崖の崩落を防ぐ大樹の根めいて、空洞要塞を力任せに支えたようだった。断続的な鳴動は止まなかった。かりそめの支えだ。 8

2023-10-25 22:17:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リー先生は叫んだ。「ヤモト君!ニンジャソウルがカギだ!この地においてシ・ニンジャのソウルは……ヤモト君?」ヤモトはトランス状態!そしてジェノサイドとエルドリッチはなお争い続ける。鈎手と爪と牙。ネクロカラテの応酬……互いを掻きむしり、引き裂き、食らい合うジゴクめいた状況であった。9

2023-10-25 22:21:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アッ!まずい」リー先生が玉座から腰を浮かせた。「やめたまえそれ以上は!オヒガンと特異ねじれ位置にあるこの地で君達が争えばポジティブとネガティブの衝突作用がゾンボンタム・メカニクス(※ゾンビ量子力学)上の対消滅現象の引き金を引いてしまう!そうなれば物理定義世界に破滅的な……」10

2023-10-25 22:26:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「AAARGH!」」喰らい合う二者!「ヤメローッ!」ブルーブラッドが争いの中に飛び込み、引き裂かれ弾かれた!「グワーッ!」――「お前たち!」叫んだのは、ヤモトだった。「そこまでだ!」彼女はナンバンとカロウシの刃を下向け、床に突き刺した。KBAMKBAM!ラボ祭壇の全てのUNIXが連鎖爆発した。 11

2023-10-25 22:32:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」爆発にあおられたリー先生を、フォーティーナインの半霊体バストが超自然的に受け止めた。「アーン!先生!」「我々は今、事象の目撃者となる」リー先生は呻いた。……地面の二刀が、電極じみて桜色の火花を散らす。光った。稲妻が。火花は蝶と化して舞い、頭上を埋め尽くした。 12

2023-10-25 22:38:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

桜の稲妻が電子機器を伝い、争うジェノサイドとエルドリッチに届いた。「「グワーッ!」」KRAASH!二者は弾かれ、対角の壁に背中から叩きつけられた。「シ・ニンジャ・クランのマスター、ヤモト・コキが命ずる!」ヤモトは叫んだ。「イクサを止めよ!」「「グワーッ!」」二者は頭を押さえた! 13

2023-10-25 22:42:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤモト=サン。待て」ジェノサイドは片手を掲げた。「これは俺らの問題だ」「ふ…ざけンじゃねェー」エルドリッチは抗弁した。「俺のソウルをコイツから奪い返して何が悪いッてンだァー」「イヤーッ!」「「アバーッ!」」ジェノサイドとエルドリッチは感電し、痙攣した。頭上の蝶が舞い狂った。14

2023-10-25 22:45:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「くだらない争いはアタイが許さない。ゼツメツ・ニンジャのソウルの所有権?どうでもいい。ジェノサイド=サンはジェノサイド=サン。エルドリッチ=サンはエルドリッチ=サン。アタイはヤモト・コキ。わかったか!」「……了解……だ」「畜生めェー……」もはや抗う力は彼らに残っていなかった。15

2023-10-25 22:50:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ア…ア……嗚呼」「ヒイッ……」ブルーブラッドとフォーティーナインも畏怖に打たれていた。彼ら……フジミ・ニンジャとヨミ・ニンジャの憑依者達にも、ヤモトが見ている光景が見えていた。浮遊石。桜の花。オヒガンの地平。自転する黄金の立方体……キンカク・テンプル!「聞け!お前たちも!」16

2023-10-25 22:54:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KA-BOOM!上空に観測者が居れば、山頂のトリイから桜色の炎が天に伸びる光景を見ただろう!そしてその瞬間、遠き地に在る強大なニンジャ達……ボトク・ジツのサクリリージ、ユーレイ・ワタリのウィロウズウィープといったシのクランの憑依者達も、強烈な啓示に強く打たれた。荘厳な瞬間であった。 17

2023-10-25 23:00:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

見張り櫓が壊され、斜めに傾いで、無惨に崩れた。「まだ来るのかよ」イグナイトは額の血を拭い、振り返った。「ここはようやく色々うまく回りだしたッてのに……一体全体何なんだ、クソゾンビーども……!」「イクサに集中せよ、イグナイト=サン!」サツバツナイトは一歩踏み出した。 19

2023-10-25 23:07:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ゾンビーの先陣に強烈なポン・パンチを叩き込む!「アバーッ!」ゾンビーはキリモミ回転しながら吹き飛び、後続を巻き添えにバラバラになった。ナムアミダブツ!「イヤーッ!」「アババババーッ!」イグナイトは追い打ちのカトンを繰り出し、一網打尽に焼き払った。ナムアミダブツ!20

2023-10-25 23:11:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

協和自治区「ウシゴーム」。国家消滅後、ヤクザや暗黒メガコーポの暴力が跋扈する混乱期のネオサイタマに興ったヘイヴンだ。イグナイトは当初からこの地の人々に力を貸していたニンジャであり、サツバツナイト……フジキド・ケンジもまた、今この時はこの地に滞在し、カラテを奮っていた。 21

2023-10-25 23:18:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BRATATATA!武装市民が残存ゾンビーを機銃掃射した。「銃弾も資源も、これじゃ、いつまでもつか……」若い武装市民がぼやいた。疲労の色が濃い。当然だ。フジキドは言葉を探す。ショットガンで武装した中年女性は青年の背中をドンと叩いた。「死んだ時に考えな!ゾンビーにだけはなるもんかね」 22

2023-10-25 23:22:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

青年は苦笑した。イグナイトも笑顔になった。彼女は己の頬を、叱咤するように力強く張った。「よォし!ちょっくらアタシがブチのめしてやッから!」イグナイトは両手にカトンを込め、金網バリケードの中から自ら打って出るべく歩き出した。「……付き合おう」サツバツナイトが横に並んだ。 23

2023-10-25 23:26:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……その時だ。頭上の曇天を桜色の波が走り、散っていった。すると奇妙な事に、金網バリケードの向こう、今にも更なる殺到ゾンビ・ウェーブで雪崩れ込もうとしていたゾンビー達は、糸が切れたようにかりそめの命を失い、砂と崩れたのである。次に風が吹き抜け、雲を払い、塵芥を洗い流していった。 24

2023-10-25 23:30:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

以後、ゾンビーが再び起き上がることはなかった。フジキドとイグナイトは、武装市民たちは、呆気にとられ、互いに訝しげに顔を見合わせた。やがて……誰からともなく、歓声と、鬨の声が沸き起こった。 25

2023-10-25 23:33:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これにてテウチだ!シのクランの者達よ!アタイの元に集まるべからず!各自それぞれの道を生きよ!アンタ達は、アンタ達だ!」「ハーッ!」ブルーブラッドは反射的に跪いた。すぐに我に返り、ばつ悪くリー先生を窺った。リー先生は爛々と目を輝かせ、この超自然事象の観測に全神経を捧げていた。 27

2023-10-25 23:38:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンーッ!?」直後、リー先生は絶望的事実に直面した。UNIX磁気データは桜の雷に焼かれ、決定的瞬間のログも失われていた。リー先生は残念のあまり笑い顔になり、頭を抱えた。「ンンンーッ!」「……」ヤモトは深い息を吐いた。イクサは終わった。緊張の糸が切れた彼女を、ジェノサイドが支えた。 28

2023-10-25 23:43:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「生きてやがったか、先生」ジェノサイドはリー先生を睨んだ。「俺にはどうでもいいが」「……」リー先生はノーコメント。破損データのパンチシートを握りしめ、首を振る。ヤモトはラボ祭壇の直上、噴火口を下から見上げた。ジェノサイドに頷き、エルドリッチを見た。エルドリッチは頭を掻いた。 29

2023-10-25 23:48:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「帰りたいんだけど、どうしよう」ヤモトはブルーブラッドに尋ねた。彼は慌てた。「あ、ああ……君は早く出ていくべきだ。ここはINWのラボとして確保しますね先生?」「好きにしたまえ」リー先生は弱々しく呟いた。レバーを引くと、祭壇の一角の床が四角く持ち上がり、ゆっくりと上昇を始めた。 30

2023-10-25 23:53:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヤモトは上昇するパネルに飛び乗った。ジェノサイドと、エルドリッチも。彼らは互いに睨み合ったが、抑えていた。ヤモトはブルーブラッドに向かって手を振った。ブルーブラッドはアルカイックな笑みを浮かべ、やや芝居がかったオジギで応えた。 31

2023-10-25 23:56:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リー先生はフォーティーナインの半霊体胸に身を預け、呟いた。「全ての事象を事前予測し観測するなどナンセンス。ならば、今まさに起こった驚嘆すべき出来事を意識に留め、以て、糧とする他あるまい。シンギュラリティ真実への到達にはまだ遠いねェー」彼の言葉は寂しげで、なぜか満足げでもあった。32

2023-10-26 00:00:15
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