もののけ姫におけるアシタカとジコ坊のやり取り

ヤン・ヒューリック @1xuVLqH3kQ

もののけ姫での序盤におけるアシタカとジコ坊のやり取り、自分はあれが一番実は大好きである。 というのも、実はあのあたりでこの話の根幹部分をこっそりと表現しているからなんですな。

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アシタカはタタリ神を退治して、呪いを受け、村を出る羽目になったわけだが、そこで地侍同士の小競り合いに巻き込まれてしまう。 実はあのシーンで、アシタカは結構怒りが出ていたのが分かる。

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というのも、アシタカの呪いを受けた右腕が力を発動しているからである。 この呪い、アシタカが怒ったりすると痣が濃くなり広がっていく代わりに超人的な力を発現する。 里に出ないようにしていたアシタカが襲われそうになって、逃げたのに追撃されたからで。

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そこでアシタカは地侍相手に怒りをぶつけてしまったわけだが、そこで呪いの力が発動してしまう。 で、鬼神のような戦いをした後で腕を見たら痣が濃くなっているのが分かった。 つまり、自分が怒ったりして力を使うたびに、自分はだんだんタタリ神のようになってしまうのを実感したわけである。

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ヒイ様にやがて呪いは全身に回っていくことを伝えられたが、その恐ろしさをアシタカはやっと実感してしまったわけで。 そこで、ジコ坊に「里に出たのは間違いだった。二人も殺めてしまった」と悔いていることを口にする。 タタリ神相手にはそういう気持ち持ってなかったのにね。

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恨んだり怒ったりすると、それこそ呪いが進んでタタリ神になるから、アシタカは自分の感情を抑制するようになっていく。 元々、アシタカは心が強いし、殺生を好まない人物だから、運命を受け入れつつあったわけである。

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で、ジコ坊はそんなアシタカの殺生で助けてもらった。 だからこそ、恩を返すためにアシタカが出した砂金の大粒の価値を伝えたり、そういうのを簡単に見せない方がいいとアドバイスしているわけで。

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で、ここから例の食事シーンになるわけだが、アシタカからジコ坊はタタリ神になった猪の話まで聞いている。 実はこのシーンって、アシタカがジコ坊相手に色々と話をしていて心を開いているのが分かる場面でもある。 多分アシタカは身の上と呪いとかもジコ坊に話してるかもしれない。

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そしてアシタカは二人殺したことを後悔していたが、ジコ坊は「そのおかげで拙僧は助かった。人はいずれ死ぬ、遅いか早いかだけだ」と坊主らしく説教するわけで。これも、さらりと言ってるけど、アシタカは悪くないという形で恩返ししているんだよね。アシタカに響く形にして。

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ここで、アシタカも少しほっとして、タタリ神から出てきたつぶてを見せ、ジコ坊からシシ神の森の話を聞いてそこに向かうことを決断する。 呪いを解くための活路を見出したわけである。

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ここに関しては岡田斗司夫氏が解説動画で、呪いという力を持ったアシタカをシシ神の森に行かせることで、犬神たちに対抗させるためっていうことを言っていた。 ただ、本気でそれをさせるんだったら、直接一緒に行かせる方がいいので、行くか行かないかは本人に任せてるんだよな。

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早朝になってジコ坊に挨拶することなく、アシタカはシシ神の森がある西へと旅立つが、ジコ坊は「やはり行くか」って呟いている。 正直、呪いを解く以外にも仏門に入るとか、そういう方法もあるわけで、アシタカは呪いに耐え忍ぶのではなく、解くための道を選んだわけである。 だからここのやり取り重要

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このやり取りの中で、アシタカは村を救ったのに呪いを受けて出ていかざるを得ないっていう理不尽を受けてかなり絶望したくなる状況だった。 だからこそ、その絶望的な中で一縷の望みにかけようと思ったっていうところが分かる。

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ジコ坊に出会わなければ、シシ神の森の話が聞けないし、たどり着けたかすら怪しい上に、たどり着いたとしても呪いが進みまくってタタリ神一歩寸前だったかもしれない。 そういう意味では、アシタカにとってジコ坊は大恩人でもある。だから、あの序盤で実はアシタカの運命は好転しているんだよな。