もののけ姫のテーマとは何か？

ヤン・ヒューリック @1xuVLqH3kQ

もののけ姫の本当のテーマって、実は「生きろ」っていうキャッチコピーで見えなくなってるところがあるけど、勧善懲悪の否定と、生きることは善でもあり悪でもあるっていうところなんだよな。

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生きるという行為を絶賛しているように思える「キャッチコピー」だけど、実際本編を見るととてもじゃないけどそんなネアカで底抜けな話ではないのが分かる。 何しろ、冒頭から怨みの塊になったタタリ神とアシタカのバトルが始まるわけで。

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ここでアシタカは自分の許嫁たちを殺そうとしたタタリ神を倒すも呪いを受けてしまう。 その結果、彼は村を出ていかざるを得なくなり、旅立つことになる。 将来エミシの一族の長ともなれる器量の持ち主だったにもかかわらずだ。

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この呪いは次第に彼をどんどん蝕んでタタリ神にしてしまう。はるか西方に行けば呪いを解けるかもしれないということで旅立つも、かなり理不尽な目に遭っている。 女たちを救い、村を救ったのにこんな目に遭うのだから、それだけでタタリ神になってもおかしくない。

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で、うっかり里に出たら地侍同士の小競り合いに巻き込まれ、逃げようとしても追撃されてやむなく二人殺す羽目になる。 アシタカはこれを後悔したけど、一方でこのやり取りの結果彼はジコ坊を助けていた。

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助けられたジコ坊は彼に受けた恩を返すために、米の購入を手助けしたり、貴重な味噌まで提供し、アシタカは二人殺めたがその結果として自分は助かったことを伝えている。 実は、この辺りでもののけ姫のテーマが出てくるのである。

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アシタカは確かに二人も殺めてしまった。これは悪なんだけど、同時にジコ坊を助けている。すなわち善なんだよ。 人殺しが人助けになってしまっているわけだ。

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つまり、生きるという行為は何かしらの犠牲があり、同時に誰かを助けた結果、誰かを殺してる可能性、もしくはその逆が存在しているわけである。 つまり、生と死、両方含めてあらゆる生き物は罪深さと共に、善行を行っているっていう。

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例えば、タタラ場のエボシ御前は山犬たちから見れば侵略者だし、土地の破壊者でもある。 だが、エボシ達は木を切り、山を削って砂鉄を取ることで、米などを手に入れることが出来てこの集落の中では安全に生活できるっていう環境を作っている。

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エボシは病魔に取りつかれた者達も見捨てずに、自ら腐った肉を洗い、布まで変え、彼らに手に職を与えて生活できるようにしている。 普通に彼女は名君なのだ。

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山犬の主であるモロにしても、本来は人間好きであり、サンを助け、アシタカも生活させるなど、基本的に善キャラなのだが、タタラ場の連中からすれば自分たちを殺そうとする悪魔みたいな存在。 だが、これは両者が生きようとするとその生活が互いに脅かされるから、対立しあってしまうわけである。

ヤン・ヒューリック @1xuVLqH3kQ

もののけ姫には明確な悪党って基本的に存在しなくて、立場を変えたり、ただ生きるために相手を殺したり戦ったりして、それが憎しみになっていくっていうところを描いている。 だが、その生きるためっていう本能のままに行くと、破滅するわけである。

ヤン・ヒューリック @1xuVLqH3kQ

それがラストでシシ神の首を吹っ飛ばしたところで、首を失った体が暴走して命を全て吸い取り、森も破壊し、タタラ場も破壊してしまう。 生きるということだけに注力した結果、全てが崩壊してしまったわけだ。

ヤン・ヒューリック @1xuVLqH3kQ

だが、生きてりゃどうにかなるし、過ちを悔いることもできるし改善もできる。 死ねばそのままなわけで。だからこそ、あのキャッチコピーの生きろが光るわけである。

ヤン・ヒューリック @1xuVLqH3kQ

生きることは綺麗ごとではない。 だけど、何かしらを生み出せるし、よりよい形にすることだってできる。 だけどその一方で他者の命を奪ったり、迷惑かけていることも理解しないっていう負の部分忘れるなよっていうのがあの作品の根幹なんだよね。