スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス #2

公式note https://diehardtales.com/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バン!リンホが勢いよく黒板にワ・シを叩きつけた音で、モニコは白昼夢から我に返った。「復讐」のショドーを押さえつけながら、リンホがモニコを見て、快活に笑った。一点の曇りもない、勝ち気な笑顔だった。「だよな!」「……!」モニコは頬を上気させ、狼狽した。 21

2024-02-29 23:20:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ザッケンナコラー!」「グワーッ!」「スッゾオラー!」「アバーッ!」「チャルワレッケオラー!」「アババーッ!」「……」「……」ハウリンウルフ・ヤクザクランのグレーターヤクザ、ドドブナは、天井から吊るされた手下ヤクザを執拗に金属バットで打擲していた。 23

2024-02-29 23:29:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

工場の床に血溜まりが流れ広がる。吊るされたヤクザは既に絶命していた。もともと襲撃によって手酷く負傷していたところ、この懲罰で止めを刺された格好だ。ドドブナの裸の背中にはマグロツェッペリンにまたがるバニーオイランが刺青されている。それをジャージ姿の手下二名が沈痛な顔で見ている。 24

2024-02-29 23:32:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「死んでんじゃねえぞコラ」ドドブナは吊るされた死体を押し、振り子めいて勢いをつけてから、顔面にフルスイングした。KRAASH!手下二名はビクリと身体を震わせた。「ッたく……いい運動したわ」バットを下ろしたドドブナに、一人がタバコを咥えさせ、一人が着火した。ドドブナは煙を吐いた。 25

2024-02-29 23:36:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何が女子高生だコラ……こちとらヤクザだぜ。ブッたるみやがって」ドドブナは呪文めいて呟き、二人を睨んだ。「で?お前らはヤクザか?ア?」「ハイ!」「絶対にヤクザです!」「だよな?ヤクザは女子高生よりも?」「ハイ!」「絶対に強いです!」「だよな?じゃあ、このカスは?」 26

2024-02-29 23:38:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤクザではありません!」「でした!」競い合うように二人が叫んだ。ドドブナは不穏なアトモスフィアと共に彼らを睨んだ。「じゃあ何だコラ。ヤクザ未満の偽ヤクザに盃してやった俺は、偽オニイサンってのか?ア?」手下二人は顔を見合わせ、慌てて否定した。「いいえ!」「絶対違います!」27

2024-02-29 23:43:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ドゲザしろ」ドドブナは言い放った。「え?」「え……?」「ドゲザしろ。ここで」手下二名は素早くドゲザし、血溜まりに顔を浸した。それを見ながら、ドドブナは奥歯を噛み締めた。そう、女子高生に上等されるなど言語道断のヤクザ不覚悟。上役であるドドブナはオヤブンに責任を問われる。 28

2024-02-29 23:46:48
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ハウリンウルフ・ヤクザクランのオヤブンは生まれたばかりの孫を可愛がり、クランをグレーターヤクザの誰かに継承しようと考えている。クラン内のヤクザ同士で足の引っ張り合いが起ころうとしている。ゆえにヤクザIRCに情報共有する事は禁物、この段階までで堰き止め、禍根を断つ必要があった。 29

2024-02-29 23:52:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

問題は、女子高生の正体が現時点では不明であるという点だ。ハウリンウルフが睨みをきかせる地域に、いくつハイスクールがあるというのか。敵は制服で襲ってくるわけでもなく、鮮明な監視映像が入手できているわけでもない。実際の強さも、どうなのか。護衛の手配は要るのか。面倒ばかりだ。30

2024-02-29 23:56:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クソが……!」ドドブナはドゲザする手下の後頭部を見ながら、煮えた。ハウリンウルフ・ヤクザクランは古参のヤクザクラン。日本政府があった時代はもっと「デカいツラ」が出来ていた。いち早く重サイバネ強化に手を染め、暴力で勢力を拡大してきた。 31

2024-03-01 00:00:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……それも今は昔である。月は割れ、磁気嵐は消え、企業闘争のゴタゴタのなかで、彼らの優位は失われていった。特にあの「エメツ」だ。得体のしれぬ新テクノロジーにクランは乗り遅れた。それが今思えば決定的な分水嶺だった。ドゲザする手下達もジャージの下はサイバネ装甲持ちだ。「情けねえ!」32

2024-03-01 00:03:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうだよなァーッ!」女の声が工場内に反響し、ドドブナのぼやきに答えた。女子高生の声が!「なッ!?」ドドブナは金属バットを構え、積まれたコンテナやドラム缶、ベルトコンベアを見渡す。「アッコラ!?」「スッゾ!?」手下達もドゲザ解除し、血まみれの顔で警戒する。 33

2024-03-01 00:07:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「デテコイオラー!」「チャメスゾ!」威嚇!さらに工場入口を見張っていた二名が走ってきた。「ドシタンス!」「オニイサンドシタンス!」「探せ探せ!中に居ンぞ!」ドドブナが素早く指示を下したそのとき、ゴロゴロと音を鳴らしながら、ピンクの星が描かれたドラム缶が転がってきた。 34

2024-03-01 00:10:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ヤクザ達がチャカ・ガンで狙う。ドドブナは慌てた。「ザッケンナコラー!ドラム缶撃ったら爆発すンぞ!罠だコラ!近くだ!探せ!」「ハイヨロコンデー!」「ドコッコラー!」ヤクザ達は素早く散開した。ドドブナは……BLAMN。脳天を撃ち抜かれた。 35

2024-03-01 00:14:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゆっくりと仰向けに倒れるドドブナは、うつろな目で、ドラム缶の中から這い出すリンホを見ていた。リンホが、転がるドラム缶の中から、撃ったのだ。「よいしょ……よいしょ」這い出したリンホは立ち上がり、ドドブナの死体に唾を吐いた。「爆発しねェよバーカ!」 36

2024-03-01 00:17:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オニイサン!」「オニイサンドシタンス!」「アッコラー!?」「スッゾオラー!」怒号!罵声!手下達が駆け戻ってくる。緑のレインコート姿のリンホは、片手に銃、片手にカタナを持ち、歯を剥いて笑った。「よォし、やってやンよ!」 37

2024-03-01 00:21:15