佐々木司氏による、中世欧州都市(後期)の解説

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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

軍事・歴史・地理等の分野で呟きます。中世ヨーロッパネタ多め。1番好きなのは、多分東ローマ帝国。1週間に1~2回くらい、歴史解説的なポストをしています。 浮上度:通常動力潜水艦 文章の綺麗さ:野獣先輩

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■中世ヨーロッパの都市(西欧の後期頃~) イングランドの都市ヨーク(人口約1万人)を例にご紹介。 A.カストラ 古代ローマの軍団駐屯地である。ヨーロッパの都市はこのカストラから発展した場合も多く、ヨークはそれにあたる。しかし、荒廃して遺構は一部に留まっている。(1/8) pic.twitter.com/UWJTBME8vK

2024-03-18 03:59:21
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B.城砦 諸侯の居城から都市に発展する場合もある。ヨークの場合は防衛のために都市の端に建てられて、改築が繰り返されたモット&ベイリーの慣れの果て。この規模の都市の城壁を破れる数の軍勢相手には心もとない。期待される役割は兵士の居住、そして市民の反乱への備えだろう… (2/8)

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C.大聖堂 司教座がおかれた大聖堂。教会・修道院は荘園の寄進を受けて、領主として大規模化する場合も多い。その場合は教会・修道院を中心に町ができあがり都市へと成長することもある。(3/8)

2024-03-18 03:59:22
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D.城壁 都市を囲む胸壁と塔を備えた石壁の城壁。小規模な町の場合はまずは作成に工数がかからない丸太で作られた壁で囲まれ、都市が成長するにつれて年輪のように外側に新たに城壁が建てられて拡大していく。(4/8)

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D.城門 都市への入り口である。夜になると閉じられる場合が多い。賊の類達のみならず、狼の群れのような野生動物も大層恐れられた。戦時は攻防の焦点となるため射線を集中させるようになっていたり、石や油が降り注ぐ穴ムルトリーエルが設けられていたりと、悪意の満ちた仕掛けが満載。(5/8)

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F.広場 おおよそ都市の中心にある建物のない開けた土地。平時には商人が市を開き、祝日は祭事が行われる都市で賑やかな場所。戦時の際には兵を集めて出陣式が行われる。もしも突如として民が無秩序に広場に集まってきたら注意が必要だ。それは反乱を目論んでいるのかもしれないのだから…(6/8)

2024-03-18 03:59:23
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G.河川港 河川交通は重要な交通手段である。喫水が浅い川船であっても、馬車や駄積よりも大量の人・物を運搬することができる。川を防衛に用いるために城壁を川沿いにするか、交通を重視して都市を川を挟んで拡大するかは状況による。(7/8)

2024-03-18 03:59:23
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

ヨークの場合は河川の合流点の活用と水堀を築いて、巧みに防御と交易路に利用している。(8/8)

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