デッド！ デダー・ザン・デッド！ ＃２

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆カラテの高まりを感じる◆

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【あらすじ】 フジキド・ケンジがアガメムノンを倒し、月が砕けてから、さほど時を経ていない頃。 ヤモト・コキは危険なドラッグ製造ニンジャの隠れ家を突き止め、踏み込んだ。しかし目当てのニンジャは既に死んでおり、そこにはカンオケが残されていた。中にはゾンビ―ニンジャ「ジェノサイド」が！

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【デッド！ デダー・ザン・デッド！】特別連載　#2 pic.twitter.com/aicyvh2ph8

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「お前……ヤモト……ああ……そうだった」ジェノサイドはヤモトを助け起こす。「そういう名前だった。桜色で……オリガミだ。そうだな」「そう」「俺は……ジェノサイド……ああそうだ。俺はジェノサイド」「うん」ヤモトは埃を払った。「ありがとう。助かった」　1

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「助かった？そりゃ何よりだ」「でも、どうして……ここに」ヤモトはジゴクめいた事務所を見渡し、尋ねた。「何もわからねェ」ジェノサイドは肩をすくめた。「すまねえが、ここがどこで、今がいつなのかもわからねえ。今は何年だ？俺は……」「そりゃそうだ！」第三の声！　2

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思いがけぬ声はバフォメット像の方向からだった。二人が見ると、そこではラストリゾートの生首が息を吹き返し（ナムアミダブツ！）、彼らに侮蔑的嘲笑目線を向けているではないか！「お前はめちゃくちゃ役に立ったぜェー！ジェノサイド＝サンンーッ！アババババーッ！」コワイ！　3

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「お前のニンジャソウルはなァ……ゼツメツ・ニンジャは……ハハハハハ……いわばゾンビー特異点……かつてリー先生が執着していたのも尤もよのォー！」「生きている！？」ヤモトは息を呑んだ。そして決然とカタナを握りなおした。生首が咳き込んだ。「無駄だ！なぜって、俺は……もう死ぬよ……」4

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「ヤクザのゾンビー……今のスカルヘッド……お前のせいなのか？」 「ハハハハハ！　いいぜ、どうせ俺は死ぬ！　教えてやる！」 棺桶の幾つかが今もガタガタと揺れている。 「答えはイエス！　俺のクスリだ！　アノヨの裏側までブッ飛べるッて寸法だよ。俺はただのケミカル・マニアックで……ニンジャらしいニンジャだ……テメェらクズどもが苦しんで右往左往するのが最高だっただけさ！ "ピュア・オハギ" もそう！　"インフィニット・クエスト"もそう！　で、今回の"リザレクター・アソビ" もそうだ！　アヒヒヒ、散々狂わしてやった！　楽しかったなあ。いい人生だった。俺は話にノッただけ……あいつが喜ぶドラッグをデザインしてやっただけ……！」 「うるせえ生首だ。黙らせるか」ジェノサイドがヤモトを見た。 ヤモトは首を振った。 「幾つか確かめたい」　5

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ラストリゾートは掠れ息を吐いた。「お前ヤモト・コキだよなあ。ザマ見ろ……しつこく追いかけまわて来やがって……鬱陶しかったぜ……だけどお前は結局、俺を手にかける事はできなかったな……ザマ見ろ……俺はもう……死……」生首の眼球がぐるりと裏返り、汚い汁をバフォメット像の膝元に吐いた。6

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彼の断末魔を合図とするかのように、複数の棺桶の蓋が勢いよく開いた。ヤモトとジェノサイドは背中合わせに立ち、備えた。開いた棺桶は――２、３、４、５つ。墓場の霧めいた濃密なガスが立ち込め、事務所の視界を悪化させる。一体、また一体と、棺桶の中のものが進み出た。　7

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驚愕するには遅い。もはやヤモトはサンズの川を越えつつある。「どうすンだ」「ここを出る」５つのゾンビーがすべてニンジャならば、多勢に無勢。「賛成だ、面倒くせえ。だが、ちと難儀するかもしれねえぞ」ジェノサイドは手を開閉した。裂けた袖の中から、鎖付きの円形バズソーが床に落ちた。 8

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ガス越しに５体の影がゆらゆらと動き、二人を囲む。ヤモトより小柄なものもいれば、ジェノサイドより大柄なものもいる。彼らになんらかの敵意がある事は間違いなかった。「アバー……」霧の中でゾンビーの一体がうめき声をあげた。「イヤーッ！」ヤモトは跳んだ！バフォメット像の方向へ！ 9

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一方のジェノサイドは両手のバズソーの鎖を大きく振り回した！「イヤーッ！」バヂュン！バヂュン！衝突音と湿った飛沫音が重なる中、ヤモトはラストリゾートの生首を掴んだ。既にジェノサイドは出口めがけ走り出している。血路は開けた。十分だ。ヤモトは生首を持ったまま彼の後を追う……！　10

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「ヤベエ……絶対ヤベエよ」電柱の陰、一人、脂汗を流しながらデスドクロ・ヤクザクラン事務所の砕けたガラスショウジ戸を注視するのは、先ほど逃げ去ったチルドレンの一人だった。彼一人が現場に戻って来た。好奇心が用心に勝ってしまったのだ。決然たる桜色の光が少年の脳裏に焼き付いていた。　12

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「ヤベエけど……ヤベエ……超ヤベエ……」興奮と恐怖に顔を真っ赤に染めて、少年は見守り続けた……KRAAASH！ガラスショウジ戸が内側からの衝撃で更に砕け、ガラスが撒き散らされた。そして二つの影が飛び出した！「「イヤーッ！」」「アイエエエエエ！？」目撃即悲鳴失禁転倒！ 　13

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事務所から跳び出し、「バカケバブ」自販機を蹴り上がり、雑居ビルの屋上へ跳ぶ二人！ズタズタのカソックコートを着た恐るべき怪人と、先ほどの若い女だ。桜色のマフラーは光そのもののように輝き、軌跡を虚空に焼き付けた。女の手には……ナムアミダブツ！　たしかに生首が！「アイエエエエエ！」 14

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それで終わりではなかった！「アバーッ！」彼らの後を追って、もう一つの影が飛び出してきた！ズタボロのマントを纏った奇怪な影だった。やはり向かいのバカケバブ自販機を蹴り、壁を蹴って、同じ方向に飛び消えた。「アイエエエエ！」目撃即悲鳴再失禁転倒！　15

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二人と追跡者がニンジャである事は疑いがない。その上で、只者ではなかった。キングピン等の暴力的ニンジャに日頃接している彼のような者でも、不吉なニンジャアトモスフィアを前に、失禁をこらえきれなかった。だがそれで終わりではなかった！「アイエエエエエエ！？」目撃即悲鳴再々失禁転倒！ 16

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更に事務所の中からぞろぞろと現れた者達！「何だオイオイ」「行っちまいやンの」「フフフ……名前何だっけ？アイツ」「ジェットペイン＝サンだ」「フフフフフ」気安い調子で会話する者達の冒涜的異形を目の当たりにすると、少年の正気は破壊され、ケミカルサイケデリック死霊妄想の中で気絶した。 17

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配電ワイヤーの上を走りながら、二人のニンジャは手短な会話を交わした。「まず、今は2040年」ヤモトは言った。「いつから寝ていたの？」「ああ。そもそもそれを知らねえ」ジェノサイドは答えた。 「確か昔は、アマクダリがどうとか……」「わかった。じゃあ２年ぐらい寝てたのかも」「そうか。もうすこし話を聞く必要がありそうだな。だが……」彼らは巨大なフクスケを屋上に戴くビルに着地し、追手を振り返った。追跡して来ている敵がいる事はわかっていた。迎え撃つ必要があった。 「奴をブチのめしてからだ」　19

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ヤモトとジェノサイドは身構えた。追手はビル群より高く飛びあがって身を捻ると、頭を前に、足を後ろにして、足裏からジェットを噴射。スケルトン選手めいた姿勢をとり、一瞬にして彼らのビルに至った。KRAAASH！追手は巨大フクスケを貫通粉砕し、天空を旋回すると、そのまま空中でホバリングした。20

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穴だらけのマントが風にはためく。姿は骨格。腐肉すらない。関節部をシリコン補強された骨そのものだ。ニンジャ頭巾とメンポが頭を覆い、凶悪な緑の目を光らせる。膝下は鋼鉄のジェットエンジンに改造されていた。その噴射で浮いているのだ。何たる悪夢的光景か！「ドーモ。ジェットペインです」 21