創作:ユキノウタシリーズ

真春前提・春歌+レン小噺。かわいくて、いとしくて、にくらしい。※ユキノウタシリーズ…真春前提のマサ←レン+真春の娘・雪歌の話。※聖川雪歌(ヒジリカワ セツカ)…真斗と春歌の娘。外見・中身共に父親とそっくり。しかしレン曰く声と眼差しは母親似。年齢は小噺によって様々。
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ワトは歩く城 @watokadu

【ユキノウタ・レン+春歌】レディが無事出産したとおチビちゃんが教えてくれた。妊娠したと聞いたのがつい最近だったような気がしながらも、レディのご機嫌伺いに病院へ見舞った。「…小さいね」ベビーベッドで健やかに眠っている存在は人間と言うより猿の赤ん坊に似ていたけど不思議と愛嬌があって→

2011-12-31 00:22:44
ワトは歩く城 @watokadu

→可愛らしかった。「どっちに似てるかな」「聖川のご両親は真斗くんの小さい頃にそっくりだと仰っていました」「おや、そいつは残念だ。レディ似なら将来とびっきりの美人になっただろうに」「もう、神宮寺さんったら」オレの隣りで微笑むレディはまるで絵画の中の聖母のようで→

2011-12-31 00:23:07
ワトは歩く城 @watokadu

→少しやつれている様子が逆に美しく感じる。これが母親というものなのか。この人が聖川が惚れた女性なのだと強く実感する。心の軋みにも慣れたものだ。「抱いてみますか?」「え?」オレの返答を待たずレディは眠る赤ん坊を一度自分の腕に抱きオレに差し出してきた。断るのも憚られて恐る恐る抱いて→

2011-12-31 00:23:24
ワトは歩く城 @watokadu

→みる。「…重いね」「真斗くんも同じ事を言っていましたよ」レディは邪気なく微笑う。オレはそれに苦笑だけを返し、腕の中の存在を見つめた。聖川とレディの血を分けた子。その身体はぬくぬくと暖く、それが命の証で、オレにその全て預けてくるあいつの子供。…いとおしくて、そして憎らしかった。

2011-12-31 00:23:40