『シスター&シニック!』(第14集)

いつもお読みいただきありがとうございます。 『シスター&シニック!』はツイッターで展開された連作です。このまとめが第14集になりました。 続きを読む
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Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 僕はベッドから跳ねた。眠気はどこか遠くに飛びさった。呼吸が荒い。「どうしたの、お兄ちゃん?」薄暗い部屋の中に妹がいた。「あれ?」「怖い夢でもみたの?」「覚えていない」と僕は答えた。「そう、じゃあ、もう一度言ってあげるね」すると妹は僕の耳元で「お兄ちゃん、大好き」

2011-12-15 21:05:38
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が黄色いリボンで髪をまとめて僕の部屋に入ってきた。そして横目で、ちらっ、ちらっ、と僕を見る。「何?」と僕は聞いた。「ほら、お兄ちゃん。言わなくちゃわからない? 『私の体に帰ってきていいよ』」「木綿のハンカチーフをください」「どういう意味?」「涙を拭きたいんだ」

2007-07-22 00:47:12
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「犯人はこの部屋のなかにいます」妹がそう言うと、どーん、という効果音が僕の部屋に響いた。「私の心を奪った犯人、それは」「お前だよ」僕は妹に告げた。「心は奪えない。与えたいという思いがそこにあるだけだ」妹は膝を崩して、床にへたりこんだ。僕は何も言わずに部屋を出た。

2011-12-17 20:30:23
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が第九の合唱、そのメロディをハミングしながら僕の部屋に入ってきた。「どうした、えらく気分がいいじゃないか?」「そう? きっと、お兄ちゃんの部屋に来たからだよ。私にとって『お兄ちゃん=歓喜』だからね!」僕は除夜の鐘に祈った。「お兄ちゃん。私の思いは、数を越える」

2011-12-18 21:07:43
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん! 教えてあげる!」「教えてあげる? そう、ありがとう」「ごめん、お兄ちゃん。調子に乗った。けど、私は思うの。お兄ちゃんは私に負けてもいい」「つまり?」「押し倒されろ」「僕は兄妹という関係を大切にしてるつもりだ」「お兄ちゃん」「負けるわけにいかない」

2011-12-19 20:57:31
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が携帯電話で誰かと話している。僕は、僕の部屋を出た。リビングで牛乳を飲んでから部屋に戻ると、妹は電話を終えていた。「ごめんね、部屋を追い出して」「いいよ」「どうだった?」「どうって?」「お兄ちゃんではない誰かと話す私を見て、嫉妬した?」「祝福した」「いじわる」

2011-12-20 20:47:20
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。『寒いからアイスを食べるんだ理論』を知っていますか」「わからなくもない。けれど、何を言いたいの?」「もしも『寒いからアイスを食べたい』のだとしたら、『妹だからあえて食べたい』という考えもあり得る。食べていいよ」「いっしょにアイスを食べよう」「うん」

2011-12-21 20:01:56
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。お兄ちゃんはサンタクロースに何をお願いする?」「そうだね、平穏な毎日が欲しい」「重いよ、お兄ちゃん」「お前はサンタに何をお願いするんだ?」「お兄ちゃん」「え?」「私は、<全裸のお兄ちゃん+靴下>が欲しい」「だから僕は平穏な毎日が欲しいと言ったんだ」

2011-12-22 21:43:12
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 明かりを消した部屋。テーブルの上にロウソクの炎。妹は炎を見ていた。僕もテーブルの前に座り、炎を見る。途端、妹がロウソクの炎を吹き飛ばした。暗闇がひろがる。妹の近寄る気配。僕は立ち上がり、部屋の明かりをつけた。「おしい」妹が指を鳴らした。僕はロウソクを片づけた。

2011-12-23 20:53:07
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 家に帰ると、妹が部屋で待ち構えていた。深夜。そろそろサンタクロースが動き出す頃だろうか。妹は何かを待っているようだった。僕はケーキの箱を持ち上げた。妹はうなずいた。僕たちは一緒にケーキを食べた。妹は僕の唇を食べようとした。僕は妹を抑えこみ、部屋の外に追い出した。

2011-12-24 20:47:42
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「メリークリスマスだよ、お兄ちゃん。さて、お兄ちゃんはいつまでサンタクロースの存在を信じていたのかな? けれど、お兄ちゃん。サンタクロースを信じる心を忘れないで。さぁ、私が『お兄ちゃんのサンタクロース』になって、『私』というプレゼントをあげよう」「結構です」

2011-12-25 20:56:55
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は床に座り、コーヒーを飲みながら雑誌を読んでいた。僕は妹を放っておいて、ベッドの上で漫画を読んだ。コーヒーの香り、紙の音、妹の体温。妹はベッドで僕と漫画を読んでいる。「待って。僕の隣にお前はいつ移動した!」「お兄ちゃん。私はいつでもお兄ちゃんの隣にいるんだよ」

2011-12-26 21:14:27
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。カイロに興味はないかな? 心や体をあたためるカイロを。さぁ、どうする?」「やめとけ。熱力学第二法則により、その行為はいつか意味がなくなるから」「ん、どういうこと?」「お前を抱きしめる気はない」「お兄ちゃんはどうして本を読むの?」僕は妹に体を貸した。

2011-12-27 23:04:08
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹とマフラーを巻いて街を歩いた。街は海。ちょっとした買い物に来ただけの僕たちは、嵐に巻き込まれそうになっていた。僕は妹に自分のマフラーの端を渡した。「首輪のかわりに」「お兄ちゃん、いえ、ご主人様」妹の頬を引っ張って嵐へと漕ぎ出す。「あったかい」「そりゃよかった」

2011-12-28 21:32:56
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は窓を開けた。夜の空気が窓から部屋へと侵入する。僕は寒さに震えた。「窓を閉めて」「お兄ちゃん。この部屋は換気したほうがいい。この部屋にはお兄ちゃんと私の思い出が詰まっている。その思い出にも新しい空気が要るんだ」そうして妹は僕の毛布に潜り込んだ。僕は眠った。

2011-12-29 22:33:49
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕のベッドで眠っていた。起こすのが忍びない。寝る場所をどうしようか。と、妹が目を覚ました。「お兄ちゃん。一緒に寝よう」「だめ。ほら、自分のベッドに行きなさい」「お兄ちゃんのベッドがいい」「ほら、起きろ」妹はあきらめて僕の部屋を出た。僕は自分のベッドに入った。

2011-12-30 23:36:00
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。『年越しそばゲーム』をしよう!」「何を言ってるんだ?」「ルールは簡単。おそばの麺を一本用意します。その麺の両端を二人で口にくわえます。二人で麺を食べます」「食べ物で遊ぶんじゃない」「それはそうとお兄ちゃん。一緒に年越しそばを食べよう」「今行くよ」

2011-12-31 21:27:21
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がセーラー服を着ている。「どう? 驚いたかな、お兄ちゃん」「うん、驚いた」「今からこれでデートしようよ」「はっ! 笑わせる。デートとは反社会的な活動だ。公的な制服を着て行うものではない」「それはともかくお兄ちゃん。初詣行こう?」妹は私服に着替えて玄関に立った。

2012-01-01 20:32:05
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕の部屋で靴下を履いていた。「お兄ちゃん。もしよかったら私が靴下を履くのを手伝ってもいいよ」「手伝わん」「いいんだよ、お兄ちゃん。私たち、ふたりとも大きくなったけれど、時には昔みたいにしたいよね。だから私の靴下を履かせて」僕は昔の妹に背中を向けて部屋を出た。

2012-01-02 22:02:24
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹と初詣に行った時の話。「あ!」妹が人ごみの中、僕にだけ聞こえる声で叫んだ。「お兄ちゃん、ごめん。私、着物じゃない。『うぅ。帯がきつくて気分が悪い。ねぇ、近く(ホテル)で休憩しない?』というシチュエーションが!」僕は誰にも見られないようにして妹に手の甲を当てた。

2012-01-03 21:18:32
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 私は劣情を催した。必ず、かの素直でない兄を押し倒さねばならぬと決意した。私には禁忌などわからぬ。私は、彼の妹である。兄を想「そこでストぉーップ」「あ、お兄ちゃん」「何、今の?」「新年の抱負だよ! さぁ、お兄ちゃん。結婚式場まで一緒に走ろう!」「ひとりで走ってろ」

2012-01-04 21:18:17
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん! 私、お正月にお兄ちゃんと過ごしたお陰で幸せ太りをしたかもしれない! 責任をとって、私と運動してよ!」「これから散歩でもしようとしていたところだ。来るか?」「うん」「だから、服を脱ぐな」「わかってる」そうして僕たちは冬の風に吹かれる街を歩いた。

2012-01-05 20:50:06
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 部屋のなかに妹がいないことを確認した。そして、ドアや窓の鍵を閉める。これで部屋には僕ひとりのはず。「違うよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんはひとりじゃない。いつでも私がそばにいるよ!」「お前、どこから入ってきた」「お兄ちゃんが開けたドアから」「怖いから出てって」「やだ」

2012-01-06 20:51:06
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がセーラー服を持って部屋に現れた。僕は逃げ出したが、妹にまわりこまれて逃げ切れなかった!「人は変身に憧れる。そして、人は制服に着替えることで変身できる。さぁ、お兄ちゃん。私たちのためにセーラー服を着るのです!」妹を倒した。僕はセーラー服を手に入れた。どうする?

2012-01-07 20:40:36
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は時計を眺めていた。僕は部屋のベッドで寝転がりながらその様子を見た。それから何分経っただろう。妹は「ぷはっ」と時計から目を離して僕を睨んだ。「お兄ちゃん! どうして『何をしてるんだ?』と聞いてくれないの!? 放置プレイは苦手なの!」僕は妹の背中に蹴りを入れた。

2012-01-08 21:03:34