『シスター&シニック!』(第15集)

いつもおよみいただきありがとうございます。 『シスター&シニック!』の第15集です。 「妹」と「兄」の掛け合いをお楽しみ下さい。
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Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は部屋でマフラーを首に巻いていた。僕はできるだけ妹の服装には口を出さないようにつとめてきた。けれど、そろそろ限界だ。「どこで全身に巻くマフラーなんて買った?」妹の全身はマフラーの生地に覆われて、ぐるぐる巻きだった。「興奮するでしょ、お兄ちゃん」僕は部屋を出た。

2012-01-11 21:01:09
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹はハサミを持って僕の部屋を訪れた。「お兄ちゃん。切っていいかな?」僕は思わず身構る。「お前の手は、僕の体に届かない!」妹は、きょとん、とした。「どうしたの?」「え?」「お兄ちゃんの大好きな私の髪をカットしてもいいかな、って聞いたんだけど」僕は妹の髪を見つめた。

2012-01-12 22:24:18
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がいつにもなく長風呂だった。僕だって早く熱湯に浸かりたいというのに、何をしているのだ、あの妹は。待っていると、部屋に風呂上りの妹が入ってきた。「さぁ、お兄ちゃん、いっしょにお風呂にはいろう!」僕はひとりで風呂に入った。部屋に帰ると、妹が僕のベッドのなかにいた。

2012-01-13 21:33:01
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がベッドから起き上がった僕を見ている。いや、観ている。蛇に睨まれた蛙のようになった僕の体。お願いだから動いてください。「お兄ちゃん」妹が僕に手を差し延べた。僕は一瞬のためらいの後に妹の手をつかんだ。ベッドから離れた僕は妹と一緒に部屋を出た。

2012-01-14 20:57:10
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が手を差し出したので、僕は思わずそれを握り返そうとした。「どうしたの、お兄ちゃん?」「その手は何?」「あなたを愛する女の手です」「やめて。なんだかその手が不気味になる」「わかった。今は『あなたの妹の手』ということで勘弁する」「それはどうも」僕は妹の手を握った。

2012-01-15 20:58:10
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 部屋の内からドアを開くと、外に構えを取った妹がいた。「お兄っ、ちゃーん!」僕は腹に強烈な打撃を食らった。そして、妹は僕を床に押し倒した。「あれ? お兄ちゃん、起きて」「う、ううっ。ガクッ」「お兄ちゃん! こうなったら目覚めのキスで」「おはよう」「お兄ちゃん!?」

2012-01-16 20:03:07
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は僕といっしょに鏡の前に立った。「確認しましょう。ひとつずつね。まず、お兄ちゃんは男性です」「イエス」「対して、妹の私は女性です」「イエス」「そして、男性と女性はひとつになります」「ノー。ならない」「本当にそうなのかな? 私たちの体で試してみない?」「断る」

2012-01-17 20:17:30
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が慌てて僕の部屋に飛び込んできた。「どうした?」「お兄ちゃん! 緊急事態の発生だよ! 手を貸して!」妹は僕の隣に寄ってきて、僕の片手を両手で握った。「何してるの?」「あー、お兄ちゃんの手、あったかーい」妹の手は冷たかった。仕方ない。あと5秒だけ貸してやる。

2012-01-18 20:23:37
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が風呂に入っていた。僕はその光景を想像した。風呂に入る前に、妹は僕に言った。「お兄ちゃん。私の入浴姿を想像してもいいよ」「しない」妹が風呂に入ったあと、僕は本を読んでいた。その時、いつの間にか僕は妹の入浴姿を想像していた。僕は首を振った。妹が部屋にやってきた。

2012-01-19 20:54:01
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が腹の音を鳴らした。「あ! お兄ちゃん、今の聞こえた? やった。これで恥ずかしい体験を一緒に共有できた。嬉しい!」「ここは、腹の音を聞かれて恥ずかしがる妹の可愛らしさを愛でるシーンじゃないのか?」「お兄ちゃんが私のこと、『可愛い妹』って言った!」「聞き違いだ」

2012-01-20 21:27:53
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が血まみれになって、僕の部屋を訪れた。片手には包丁が握られている。僕が何も言わないのを見て、妹が笑った。「お兄ちゃん。驚いた?」「まぁ」風呂で血のりを落とした妹は、僕の部屋に改めて現れた。「怖かった?」と妹が聞く。僕は何も言わない。妹は僕に元気な笑顔を見せた。

2012-01-21 20:51:04
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は僕の部屋の窓をガラリと開けた。「お兄ちゃん。新月が近い。私たちの体は新月になるたびに、新しく生まれ変わるのかもしれない。私、さみしい。お兄ちゃん。消え行く私の体を抱いて!」僕は妹の隣に立ち、開いていた窓を閉めた。

2012-01-22 21:17:09
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が部屋の中で、鼻歌を歌い出した。機嫌がいいのだろうか。どちらにしろ、僕はその歌を聞き流す。目の前の本に集中した。僕は本を相手どり、そのうち、本と、一体に――「ねぇ、やめてくれない? 僕の背中にくっつくのは」「お兄ちゃんは私と一体になる」僕は鼻で笑うことにした。

2012-01-23 20:04:49
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は裸で部屋にあらわれた(正確には、裸に近い下着姿)。信じられない思いで、僕は聞いた。「どうして裸なの」「お兄ちゃん。私は今、服を着ている。私を愛する人には見えない服を。なるほど、お兄ちゃんは私を愛している!」「さっさと服を着て」妹は満足そうに持参した服を着た。

2012-01-24 20:52:34
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は僕の首を舐めた。「お兄ちゃん。正確には喉仏、<アダムズアップル>を私は舐めたんだよ!」「喉仏をどうして舐めた」「<知恵の実>を取り出すために」「取り出してどうする」「お兄ちゃんを楽園に帰すの」「無理だ」「じゃあ、いまここに楽園をつくろう」妹は僕の首を舐めた。

2012-01-25 21:23:31
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕のワイシャツを着こなした。似合うから困る。僕は手を伸ばそうとして、留めた。「このワイシャツ。お兄ちゃんの匂いがする」「やるよ」「え?」「あげる」「ありがとう。じゃあ、代わりに私のブラウスを――」「断る」結局、妹の匂いを染みつけて僕のワイシャツは返ってきた。

2012-01-26 20:47:06
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は机に手のひらを乗せた。「お兄ちゃん。私たちが兄と妹、つまり<兄妹>だと誰が決めたの。私はその人に会いたい」「不満を訴えるのか」「違うよ、お兄ちゃん。笑ってやるの。『あなたが何を思おうとも、私は兄を女として愛する』ってね」「誰かさんは悲しむな」「おあいこだよ」

2012-01-27 21:16:49
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が枕を持って、僕の部屋にあらわれた。何か危険だと思った僕は、両手をあげて頭をガードした。「どうしたの、お兄ちゃん?」僕は腕を下げて、「何でもない」、と言った。「ほら、早く寝るよ」言って、妹は僕のベッドに枕を置いた。僕は自分の枕を取り上げて、妹の体に投げつけた。

2012-01-28 20:36:09
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は頭から壁に突き刺さった。僕が妹の足を掴み、自身の体を中心にしてぐるぐると回転した後、妹の足を手放したからだった。仕方がなかった。妹が僕にべたべたとつきまとったのだから。「つかまえた、お兄ちゃん」気づくと、何もなかったかのように、妹が僕のとなりで笑っていた。

2012-01-29 21:23:43
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が眠っていた。ベッドに眠る僕を覆った毛布の上で。困った、動けない。僕はベッドと妹のあいだにはさまれていた。どうしようか、と思案する。妹を起こすか、起こさないか。「おい、そんなところで寝て、風邪をひくから起きろ」目覚めた妹は僕の上に乗っかった。困った、動けない。

2012-01-30 23:43:37
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃんをくれ、お兄ちゃんを! 代わりに私をくれてやる! お兄ちゃんをくれ!」「その交換は成り立たない」「それは、『兄の価値は、妹の価値より酷く劣る』という自虐? そんなことない!」「違う。体は誰とも交換しないと言っている」「魔法遣い志願なの?」「違う!!」

2012-01-31 22:00:46
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がはさみを手にして僕の部屋にあらわれた。「お兄ちゃん。私を好きだと言ってくれないのなら、お兄ちゃんを●して私も○ぬ!」「いや、お前は死なないよ。『お兄ちゃんは生きてる、私の胸のなかに』とか考えて生き延びるよ」「そうかもしれない」そうして妹は部屋から出ていった。

2012-02-01 20:10:32
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がふと、つぶやいた。「必殺技があったらお兄ちゃんを倒すことができるかもしれない」小学生男子のようなことを言うので、何とかしてやりたくなってきた。「ほう、やってみろ」すると妹は立ち上がる。「よーし、お兄ちゃん、あそこを巨大化させて」「この場合、悪役はお前だよな」

2012-02-02 20:40:32
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹の唇がバナナに触れた。バナナを少しずつ食べていく様子は行儀良く見える。ただ、どうしてわざわざ僕の部屋で食べるんだ。「あ、お兄ちゃん。私がバナナを食べているのを見て、エッチな想像をしたでしょ」僕は妹の手からバナナを奪い、それを食べた。「間接キスだね」「うるさい」

2012-02-03 21:27:46
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は僕の部屋で石になった。何も言わず、何も行わずに、テーブルの前のクッションに座っていた。僕はふざけて後ろから妹に触れた。髪に触れた。頬に触れた。耳に触れた。それから正面に回って妹の鼻を摘んだ。すると妹は突然からだを動かして、唇で僕の頬に触れた。僕は石になった。

2012-02-04 20:35:22