『シスター&シニック!』(第17集)

いつもお読みいただきありがとうございます。 『シスター&シニック!』の第17集です。 「妹が兄を押し倒す物語」を、どうぞお楽しみ下さい。
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Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕のワイシャツを着ていた。僕のシャツは妹のからだに犯されている。「違うよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんのシャツに私のからだが」「言うな。シャツは洗濯して返してくれ」「妹はからだを洗ってお兄ちゃんに返すね」「お前は僕の物じゃない」「モノにしていいよ」「勘弁してくれ」

2012-03-10 21:11:21
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹は僕を偏愛していた。「違うよ、お兄ちゃん。現在形だよ。私を過去の女扱いしないで」「過去も現在も、そしてこれからも僕はお前を女扱いなどしない」「女の子だよ。ほら、私のからだに触って確かめてみて」「ごめん。言いすぎた」「誠意はお兄ちゃんのからだで示して」「断る」

2012-03-11 21:52:10
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹がロングスカートをつまんで僕にちょこんと挨拶をした。僕はその光景に見とれることを己に禁じた。何か思惑があるに決まっている。「思惑? そんなの単純だよ。お兄ちゃんに抱かれたい。それだけだ」妹は飛びかかって僕を押し倒した。気づくと妹のスカートが僕のからだを隠した。

2012-03-12 20:48:48
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel ホワイトディ。ベッドで目を覚ますが、からだが動かない。包装紙とリボンでラッピングされている。どうして気づかなかった。そのとき妹が部屋に入ってきた。「お兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんがホワイトディのプレゼントなの」「いや、クッキーだ」妹と僕はクッキーを食べた。

2012-03-13 22:05:20
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 携帯電話の受話口が断末魔を発する。しばらく僕はその悲鳴を聞いていた。「お兄ちゃん」妹が僕に声をかけた。「電話終わった?」「ああ、終わったよ」「よかった。私、さみしくて泣きそうだったよ」「会話のあいだずっと僕を後ろから抱きしめていたのは誰だ」「あなたの妹です」

2012-03-14 21:33:20
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel いつものように僕は妹に押し倒された。しかし「いつものように」とは述べたけれど、このことは十分異常だ、とあらためて思う。「でも、きっといつか当たり前になるんだ」と、僕の思考を読んだのか、妹はそう言った。「さみしいね、お兄ちゃん。だから新しいプレイをしよう」「断る」

2012-03-15 21:25:05
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が部屋に来た。そして言う。「お兄ちゃん、夜食を食べよう」僕は断った。夜も遅いので眠りたかった。すると、妹はいったん部屋を出た。そして、少しして戻ってきた時には、その手にラーメンを持っていた。「いただきます」妹は部屋でラーメンを食べ始めた。僕の腹が空腹を訴えた。

2012-03-16 22:05:02
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が部屋に入ってきた。「どうしたのかな、お兄ちゃん。人肌の恋しい季節かな。しかたない、私の肌を貸してあげる」そのとき僕の携帯電話が鳴った。誰でもいいと思い、僕はその呼び出しに応じた。『もしもし、お兄ちゃんですか』見ると、目の前で妹が携帯電話で誰かと話をしていた。

2012-03-17 21:34:13
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が銃を片手に部屋に入ってきた。「フリーズ(止まりなさい)、お兄ちゃん」との妹の声に、僕は「何をしたいんだ」と返した。妹のごっこ遊びに付き合うつもりはない。すると妹は銃をぶっぱなし、「ぱぁん!」と弾ける音がした。からだが一瞬硬直した。その隙に妹は僕を抱きしめた。

2012-03-18 21:29:13
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕の部屋の床で眠っていた。あまりにも気持ち良さそうに眠っているので、起こすのは忍びない。馬鹿は風邪をひかない。だから、大丈夫だろう。「そうだよ、お兄ちゃん。私はお兄ちゃんに馬鹿になっているんだ」驚いたけれど、それは寝言だった。「起きろ」僕の声が部屋に響いた。

2012-03-19 21:10:09
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「おかえりなさい、お兄ちゃん。さっそくだけど、ご飯にする? それともお風呂? もちろん、私のからだの用意もできているよ。そうだね、あと、お兄ちゃんはお風呂で私を食べてもいいし、なんなら私がお風呂でお兄ちゃんを食べてもいいよね。さぁ、どうしよっかぁ」「食事をとる」

2012-03-20 21:38:08
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。本ばかり読んでいてはいけない。人のぬくもりを忘れてはいけない。人のぬくもりこそ、あなたを現実につなぎとめるための鍵なのですよ。さぁ、お兄ちゃん。私に触れて。私とつながって」「本を読んでいる。静かにして」「お兄ちゃんの冷たさが私を現実につなぎとめる」

2012-03-21 23:24:52
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が珍しく活字の本を読んでいるので、僕は彼女に話しかけるのをやめた。「そんな、お兄ちゃん。話しかけてもいいよ。そして、もしも良かったら、本を読んでいる私を見つめて楽しんでもいいよ」「お前を見ているよりも、本の背表紙を見ている方が楽しい」「私は背表紙に負けるの?」

2012-03-22 22:16:06
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。お兄ちゃんの心臓をください」「だめだ。僕のものでないものをお前にあげるわけにはいかないよ」「じゃあ、誰のものだというの」「ちょっと待って。心当たりが多すぎる。誰のものだかわからない」「誰のものでもないのなら、あなたのこころを私にください」「断わる」

2012-03-23 20:12:35
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。今日は私が特別にお兄ちゃんの弱点を教えてあげよう」「悪役っぽい台詞だ」「悪役で結構。さて、お兄ちゃんの弱点は妹だよ。兄は妹に弱い。常識だね」「だったら越えてやるさ、兄という名の呪いをな」「おお、お兄ちゃんが、ちょっと漫画の主人公っぽい」「ほっとけ」

2012-03-24 22:04:29
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕の腹に耳を当てた。僕は「何をしている」と妹に聞いた。「お兄ちゃんのお腹の音を聞こうとしたの」「やめてくれ」僕がそう言うと、妹は「あ、蹴った」と奇妙なことを言い出した。「何のことだ」「お兄ちゃんと私の愛の結晶だよ。動いている」僕は自分の足で妹を蹴った。

2012-03-25 20:37:34
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。私、おかしいの。お兄ちゃんを見ていると胸が苦しくなる。ほら、私の胸に手を置いて、鼓動を感じて」「お前、己の振る舞いについて胸に手を当てて考えろ」「わかった、恥ずかしいけれど、お兄ちゃんの言う通りにする」「いや、感じるのではなく、考えろと言っている」

2012-03-26 21:46:47
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が黙って僕のベッドに潜り込んできた。僕は「でていけ」と言おうかと思った。そのときだった。妹の肩が震えているのに気づいたのは。「笑っているのか」と僕は聞いた。デリカシーのない発言に妹は笑った。「お兄ちゃんの隣なら笑えるよ」「ああ、そうか」そうして僕たちは眠った。

2012-03-27 23:17:15
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃんに質問してもいいかな」「性的な質問でなければどうぞ」「性的でない質問なんてありえる?」「ありえるよ」「じゃあ、お兄ちゃんが私に性的でない質問をしてみてよ」「そもそもお前は何を質問したかったの」「やめて、お兄ちゃん」「やめろ。勝手に性的な解釈をするな」

2012-03-28 20:33:47
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が白衣を着て僕の部屋にあらわれた。「お兄ちゃん。上半身裸になって」「僕はもう妹とお医者さんごっこをする歳じゃない」「さみしいな。いつ、お兄ちゃんはお医者さんごっこを卒業したのだろう。じゃあ、お兄ちゃん。お医者さんプレイをしよう」「断る」妹は白衣を涙で濡らせた。

2012-03-29 22:31:14
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「お兄ちゃん。どこにキスマークをつけてほしい?」「僕にキスマークをつける前提で話を進めないでほしい」「じゃあ、お兄ちゃんは私のからだのどこにキスマークをつける?」「つけない」「そうだね。印なんてつけなくても、私はお兄ちゃんのものだよ」「お前は誰のものでもないよ」

2012-03-30 20:47:10
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕を見ている。僕は妹を見返した。「どうしたの、お兄ちゃん」「どうして僕を見る」「ほら。花より団子よりお兄ちゃんのからだではないですか」「勝手に僕のからだを酒の肴にするんじゃない」「ああ、お兄ちゃんのからだを見ていたら酔っちゃった」「やめろ。僕まで酔いそうだ」

2012-03-31 22:28:28
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 妹が僕の耳に吐息を吹きかけた。僕は背筋を凍らせる。「何をする」「ああ、嬉しい。動揺するお兄ちゃん、可愛いよ」妹の笑顔に僕は腹を熱くした。下腹部に血流が集中して、破裂しそうに――「途中から僕のモノローグに口を挟むな」「それで、実際どうなの?」僕は部屋を飛び出した。

2012-04-01 21:25:32
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「危ないな。私はもしかしたら『お兄ちゃん中毒』かもしれない。けれどね、お兄ちゃん。私、お兄ちゃんの目の毒な身体だったら皿まで喰らいたいよ。私がお兄ちゃんの身体を骨まで余さず料理しよう。だから、まずは、その唇を私に突き出すことから始めようか」「まずはその口を慎め」

2012-04-02 22:36:38
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 本を読んでいると、ふと、妹を思い浮かべることがある。忌々しいものだ。僕ひとりのための時間にまで、あの妹は踏み込んでくるのだ。「あ、お兄ちゃん。今、私のからだのことを思っていたでしょう。光栄です」実際に妹が僕の読書の邪魔をしだした。僕は本を閉じて、ため息をついた。

2012-04-03 21:42:00