- clearwoods
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「意味がないことなんてないよ」そう言って維緒は泣いた。弱虫な僕は逃げ出して、あの日の欠片を広いにいく。真っ白な海岸線には宵闇が満ちて、真ん丸な月と仄かな星々が、水平線から沸き出して。「……意味なんか、ないよ」僕はどこまでも臆病者で。「なくなってしまったものに、意味なんかないよ」
2011-11-30 00:38:46死んだら星になるなんてお伽噺も信じていないのに、死んだ星の行方なんてどこを探せばいい?灰の欠片も土塊も、返事がないなら同じこと、「礎なんて、」綺麗なことばかり言って。「意味なんかなかったのに」「……全く、君はまだ物質主義から抜け出せていないのかい」苦笑する声に振り向けば、そこに、
2011-11-30 00:38:39樹澄へのお題:ばかみたいに欲張りになってた/「ばーか。そろそろ気付け!」/意味がないことなんて、無いよ http://t.co/d6chmyQr
2011-11-30 00:38:54「子を成せぬ組み合わせなんて不毛極まりないと思うけれどね」素っ気ない声で言ってサダクは彼の腹に顔を埋めた癖毛を撫でる、ウサミミ少年は細い腰にかじりつく腕に一際力を込めた。「願うだけなら許されたっていいだろう」少年が呻くのにサダクは答えない、摂理に従属する身の、それが限界ではある。
2011-12-17 12:36:05樹澄へのお題:変換はお手の物です/「願うだけならありでしょう?」/どこからか借りてきたスマートさ http://t.co/d6chmyQr
2011-12-17 12:36:15「なぁサダク。あくどいとエグいと老獪とえげつないだったらどれがいい」問われてサダクは眉をひそめた。「心外だな。私は効率的な敵勢力の制圧方法を考えているだけだよ」「だから言ってんだよ」ウサミミ少年はあくまで真顔。「……その四択なら『老獪』にしておくよ」サダクは小さくため息をついた。
2011-12-17 23:43:44「指先が冷たくなるのは、誰かに暖めてもらうためなのだそうだよ」「下らない」サダクは冷たい指先に息を吐きかける。「ただの血行不良だろう」両手で包み込まれてなお、色のない指先は温もる気配を見せない。「手が冷たいのは、心が温かい人だとも言うね」憂う者はふわふわと嬉しそうに笑う。
2011-12-22 21:24:29「自画自賛に聞こえるよ」呆れてサダクは顔を上げる。憂う者の指はやはり冷たく白いまま。いくら暖めても温もりは宿らない。「君の指もつめたいね」憂う者は笑って、サダクの手をそっと首筋に当てる、人の姿を模していてもそこには脈拍も体温もなく、やはり二人の手はいつまでも冷たいままなのだ。
2011-12-22 21:24:23「こたつから出てくれないか」サダクが睨むと憂う者はますますこたつに潜る。「嫌だ」尻尾をしっかりこたつに巻いて、テコでも動かない構えだ。「君がこたつから出ないとこたつが動かせないだろう」サダクは苛立ったように、「掃除機がかけられないんだ」端で聞いていた大和ががくりと床にくずおれた。
2011-12-26 18:29:13セプテントリオン、世界の管理者が振るう絶対の剣の一つ、かつて人に、峰津院の一族に知恵の実を与えその命運を狂わせた、人ならざる化け物が――「それが、こたつがどうだの大掃除がどうだのみかんや餅がどうだのと……」嘆く大和にウサミミ少年は肩を竦める。「年末だからな」「そういう問題か!?」
2011-12-26 18:29:07いかに大和が叫ぼうと、目の前の現実が変わるでもない、サダクはしびれを切らしたか、こたつむりになった憂う者を掃除機でしばいている。「いいだろ別に少し所帯染みたくらい」ウサミミ少年が、サダク、みかん取って、と声を掛けると、君もこたつから出るんだと、一言と共に顔面にみかんが飛んできた。
2011-12-26 18:28:58「……下ろしてくれないかな?」おずおずと憂う者が声を掛ける。「嫌だよ。好きなだけこたつに当たっていればいいだろう。そこで」つんとサダクはそっぽを向いた。涙目になった憂う者は、こたつごと自分とサダクのしっぽにぐるぐる巻きにされ、天井近くの高さで宙吊りにされている。
2011-12-27 20:49:25「私は掃除がしたい。君はこたつから退きたくない。これがいい妥協案だと思うけれどね」「しかし、これでは寒いよ、もう一人の私……」憂う者が嘆くのに、サダクはため息を一つ吐いて。「……元旦には必ずこたつから出ると約束するなら下ろしてもいい」言われて憂う者はきょとんと首を傾げる。
2011-12-27 20:49:12「輝く者たちと初詣に行くんだろう?」サダクはしっぽの先で憂う者の頭を撫でる。「寒いから嫌だなどと駄々を捏ねたら承知しないよ」撫でられて憂う者はくすぐったそうに笑った。
2011-12-27 20:49:06お掃除攻防戦・幕。ウサミミさんは満足するまでみかんくったらちゃんとお掃除に参戦しました。局長は帰りました。頭痛とめまいと胃痛だそうです大変ですね。大地さんはいませんでしたが掃除用具の買い出しに行ってました。
2011-12-27 20:53:43「どうやって入ったんだよお前ら」ウサミミ少年は呆れながら靴を脱ぐ。「鍵渡してねーぞ」玄関からドア一枚先に見えるリビングでは大和とサダクがこたつにあたっていた。仇敵がいるというのに珍しい、サダクはすっかり寝ているようで、天板に伏したまま動かない、頭にはみかんが2つほど積まれていた。
2011-12-30 23:23:12「ジプスの力であればこれくらいはな」「さらっと公私混同職権濫用すんな」ツッコミを入れてからウサミミ少年は台所へ立つ。「紅茶しかないぞ、それでいいな?」「他人の家に来てまで文句は言わないさ」大和は答えて、向かいで眠るサダクをじっと見つめた、懐に呑んでいたナイフは、今は彼の胸にある。
2011-12-30 23:23:04樹澄へのお題:オートロックすら効果無し/(ようやく会える)/ナイフを持ってることはひみつ http://t.co/d6chmyQr ヤンデレを書けと言われている気がして
2011-12-30 23:09:47