高橋源一郎さんの「世界一素敵な学校」

サドベリー・バリー校のHP(生徒のインタビューの動画有り) http://www.sudval.com/ ボストン交響楽団オーボエ奏者 若尾圭介氏のblogから http://wkboston.exblog.jp/7695124/
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高橋源一郎 @takagengen

学校23・現在のような「義務(強制)教育」が一般化したのは、産業革命以降の200年にもみたない期間にすぎない。それまで、「教育」はあったとしても、一部の特権階級のために「知識」を「教授」するものでしかなかっのだ。

2012-01-17 00:42:41
高橋源一郎 @takagengen

学校24・産業革命以降、「義務(強制)教育」が生まれたのは、工場で働く、「機械のコマ」が必要だったからだ。それに必要なのは、きわめて不自然な「自動人間」になるためのスキルだった。そのために、どうしても必要なことがあった。それは、子どもたちの「自由な精神」を破壊することだった。

2012-01-17 00:44:20
高橋源一郎 @takagengen

学校25・「一カ所にじっと座っていたい、並んでいたい、言われた通りのことをいつもしていたいと、思い込ませなけれはなりません。駆けっこをするなど、もう許されません。もはや自由はないのです。したいことをしてはならない。好奇心の導くままに学ぶなんて、許されない。ただいだ厳しい規律を…」

2012-01-17 00:46:17
高橋源一郎 @takagengen

学校26・「…受け入れていればいい。誰もが同じことを、いつも必ずしている。適応しなけれは、罰せられるのです」。だから、ある人は、ぼくたちが子どもを通わせている学校のことを、こう呼んだのである。「昼間子ども強制収容所」。

2012-01-17 00:47:54
高橋源一郎 @takagengen

学校27・この学校の根底にあるのは、「人間には自己教育への鮮烈な欲求がある」という考え方だ。人間には、おとなになりたい、必要なことをどうしても知りたい、という本能が埋め込まれている。「教育」とは、本来、誰もが持っているはずの、そんな「自己教育」の本能が発動するのを助けることだ。

2012-01-17 00:50:41
高橋源一郎 @takagengen

学校28・けれども、現実の「学校」は、ぼくたちが本来もっている「自己教育」の本能を忘れさせ、ただ、知識が詰め込まれるのを、口を開けて待つことしか知らない、か弱いニワトリにしてしまったのである。

2012-01-17 00:52:46
高橋源一郎 @takagengen

学校29・子どもたちを「おとな」として遇すること。子どもたちに「自分の主人は自分なんだ」と気づかせること。子どもたちに「自分の人生を自分の意志で歩ませること」。だから、この学校では、「自己責任」は、もっとも美しく、峻厳なことばでもある。だが、この学校の真の秘密は、他にある。

2012-01-17 00:54:54
高橋源一郎 @takagengen

学校30・この学校でもっとも驚くべきことは、実は、いままでに書いた「教育」の「内容」ではない。この学校の「統治」のシステムだ。この学校では、すべてが、校則も、予算も、学校運営も、「教師」の採用・解雇まで「全校集会」で決められる。そこでは、おとなも子どもも同じ1票の権利があるのだ。

2012-01-17 00:57:08
高橋源一郎 @takagengen

学校31・4歳の子どもも「校長」も同じ1票。それ故、学校スタッフではなく、子どもたちの意志がもっとも優先される。この学校の「教育」を支えているのは、この、ルソー的といってもいいかもしれない、ラディカルな民主主義の考え方だ。

2012-01-17 00:58:37
高橋源一郎 @takagengen

学校32・「権力や権威がもたらす恐怖--これこそが、わたしたちがこの学校から一掃しようとしたものなのです。…わたしたちは決めたのです。生徒であれ教師であれ、親であろうと訪問者であろうと、だれ一人として、人間の権威を恐れなくてすむような学校を作ろう、と。そうすれは多分…」

2012-01-17 01:01:23
高橋源一郎 @takagengen

学校33・「…年齢の違いや性差、地位、知識、出自の違いなどお構いなく、だれもが相手の目をストレートに見ることができる、と考えたのです。…アメリカは、統治のあらゆる形態がデモクラティックな国です。そういう国にあって、学校をデモクラティックに運営していくことは理に適ったこと、と…」

2012-01-17 01:03:27
高橋源一郎 @takagengen

学校34・「…わたしたちは考えました。最小の町から連邦政府レベルまで、あらゆる機構がデモクラティックなコンとロールを受けるようデザインされてきたのです。学校がなぜそうであってはならないのか、とわたしたちは自分自身に問いかけました。そして考えれば考えるほど、学校もまた…」

2012-01-17 01:05:32
高橋源一郎 @takagengen

学校35・「…そうでなければならない、と思うようになったのです。デモクラティックな学校コミュニティーの大人たちは、自分たちが享受する市民的基準と同じものを、学校生活にも適用できるはずです。子どもたちもまた、民主主義の生活を構成する諸原理、諸実践の中で育てられるべきでしょう…」

2012-01-17 01:07:43
高橋源一郎 @takagengen

学校36・「…そうすることによって、子どもたちは、成人に達する以前に、責任ある社会的市民性なるものを自然に身につけることができるのです。なにしろ、そういう生活を、学校コミュニティーのなかで、毎日経験するわけですから」

2012-01-17 01:09:26
高橋源一郎 @takagengen

学校37・目指されていたのは、「学校」ではなかった。人間が、その可能性をもっとも発揮できると信じられる、民主主義てき共同体だった。そして、その中に、その必然として、子どもたちの「学校」が、世界でもっとも素敵な、と呼ばれる学校が生まれたのだ。

2012-01-17 01:11:03
高橋源一郎 @takagengen

学校38・だから、民主主義の「核心」は、「教育」なのだ。子どもたちに、どんな「教育」を与えるかが、その共同体の民主主義の成熟度を示すことになるのかもしれない。いや、「教育」の「核心」は、、実は民主主義にある、といっても同じことなのかもしれないけれど。

2012-01-17 01:13:02
高橋源一郎 @takagengen

学校39・すべてを解決する魔法の解決策などないのかもしれない。けれども、ぼくには、子どもたちのために考える義務があるように思ったのだ。以上です。一度では語り尽くせない問題でした。聞いてくださって、ありがとう。

2012-01-17 01:15:41