五十音で詩りとり
@am_gappa その美しい碧はまるで宝石のようで。光の乱反射に少し目の前が眩む。ゆらゆらと、波の歌が聞こえる。水平線の向こうから微かに聞こえてくるは、懐かしきあなたの声【え】
2012-01-05 04:08:10@RRRRRinN 燕尾服を脱ぎ捨てて パーティーを抜け出す 靴が汚れるのも構わずに 歌声の方へ駆け寄った。あぁ、どこにいるのだろうか 【か】
2012-01-05 04:11:23@am_gappa 【か】カナリアのように清雅な歌声に導かれ、迷い迷う。両足が泥まみれになろうと、棘に刺され血が流れようと、探し続ける。ほんの少し、声が近づいてきた。【た】
2012-01-05 04:20:04@RRRRRinN 【た】頼みの道しるべ お願いだ、逃げないでくれ 森を抜けた先には浜辺 静かな青 blue blue blue もう少し あともう少し 【し】
2012-01-05 04:37:28@am_gappa 【し】静かな笑顔で波が頷く。逃げたりしないよ。ここにいるから。だからさあ、ここにおいで。わたしを呼ぶその声は希望の光。輝く人魚の甘い罠。【な】
2012-01-05 04:43:43@RRRRRinN 【な】ない、ない、鍵がない 僕と君を引き合わせるための鍵がどこにも見つからない。 君はそこにいるんだね 満月よ、お願いだ魔法をおくれ 人魚の甘い罠を溶かす 魔法をおくれ 【れ】
2012-01-06 02:00:57@am_gappa 【れ】恋歌が響く今宵、音を消した真っ黒な海がわたしを包み込む。鍵を与えよう。魔法を与えよう。その代わり君の両足をわたしにちょうだい。海の中にあの人はいないんだから。【ら】
2012-01-06 02:16:02@RRRRRinN 【ら】羅列されてゆく願い 対価はそう安くない どうしてこうも噛み合わないのか 僕の思い人は君で 君の思い人は僕ではない この足をくれてやったところで 君は彼のところにいくのだろう? それなら僕は、僕は…【は】
2012-01-08 01:58:58@am_gappa 【は】遥か昔の話。足を手にした人魚は声を奪われる。わたしが与える鍵はわたしの声。この声を貴方にあげよう。そしてわたしが逃げないように、わたしを呼びなさい。わたしを繋ぎとめなさい。【い】
2012-01-08 02:11:10@RRRRRinN 【い】いらへ、と君の声が誘う 漂う磯の臭いがぐっと濃く感じられた 夏の満月の夜に 君に僕をあげようか 報われない一方通行な献身 ずれてくる思考 あぁ、どうか君に幸あれ 僕の声を潮風にのせて どうか君に届きますように 【に】
2012-01-08 02:17:37@am_gappa 【に】俄か雨に紛れた貴方の声に耳を傾ける。少しずつ大きくなる雨の音。声が、聞こえない。貴方が、聞こえない。ねえ、貴方はどこなの。この雨が止んだらも一度、聞かせてくれませんか。わたしを呼ぶ貴方の声を。【お】
2012-01-08 03:08:06@RRRRRinN 【お】嗚咽まじりの人魚の声は波に消えて届かない 人間を捨てた彼は人魚になることはなく ぶくぶく 泡となって呑まれてく 感じたのは安堵 これで僕は あなたの幸せを最期に願っていられるよ ぶくぶく おやすみ、またどこかで出会いましょう 【う】
2012-01-08 03:19:47@am_gappa 【う】海の外はどんな世界?歩くのは楽しいの?何もかもが不思議だけど、何もかもがこわいの。こわがりのわたしのために貴方が来てくれたのね。ぶくぶく、泡になって。今夜は泡に包まれて眠るわ。ぶくぶく、ぶくぶく。一緒に開きましょう。夢の扉を。そこはきっと、楽園。【ん】
2012-01-08 03:59:03