FE聖戦・ヨハン考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

…特に、中でもその点、ドズル家のイザーク統治は…前に述べた通り、シャナン王子という大物を取り逃がし、今や恐るべき剣士に成長した彼の率いる反乱軍に各地を撹乱され、弾圧・圧政とそれによる反抗の激化という悪循環。ヨハンがかつて思い描いた理想を実現するような場所は #FE考察

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彼が成人し、第二王子として一軍を率いる立場に立った時には、最早どこにも存在しないことは明らかだったに違いない。…いや、嫡男でこそないとはいえ国の中枢にある以上、その前からすでに、現地の状況が華々しい文明国グランベルによる未開民の啓蒙統治などとはかけ離れていることは #FE考察

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知るところであったと考えるべきであろう。…では、青臭い理想など忘れ、国家の権威と秩序の為と割り切って、己が身に流れる聖戦士の血という名の資質を頼みに、ただひたすら武の道を極め、力卓抜たる存在としての「英雄」を目指すことに、情熱の行き場を求めるか…？ #FE考察

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…彼にとっては不幸なことに、すでにその道には強大すぎる先達がいた…兄、ブリアン公子である。ブリアンは大陸にもごく限られた数人しかその座に到達したものはない、最強の騎士「マスターナイト」。そしてネールの直系、神斧スワンチカの後継者。血統でも才能でも大差を付けられている。　#FE考察

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思えば「聖戦」における聖戦士直系家系の次子とは非常に残酷な立場である…　唯でさえ世襲王族・貴族の次男など、長男の代替品として、主となる生半可な希望を背負わされ、権利に見合わず、使命には足らぬ半端な責任を預けられる存在…それがさらに「神器使用の可不可」という形で #FE考察

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覆せぬ天性の才能の差として具現化されてしまうのである。決して兄にはかなわぬことを知りつつ、それでも立場としては、万が一の替わりとしての能力を身につけることを責務として負わざるを得ない。振る舞いも、公子らしさからの逸脱がないことを求められる。 #FE考察

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それに対し、三男ともなれば責務も期待も相当に薄まるもの。弟ヨハルヴァはごく素直に単純に、真っ直ぐな正義感そのままに、グランベル及びドズル家の現状に不満を示すことができたのだろう。…それ故に益々、ヨハンの正義感は、騎士道への、英雄への憧れは、行き場を無くさざるを得ない #FE考察

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…そして、任地イザークに対する思い。…明らかに統治に失敗し、今もまた更なる失敗を重ねつつある土地。グランベル本国出身のドズル公国人一般にとっても、この任地がハズレと見做されていたことは想像に難くない。更には文化風習気候風土も大きく異なり、本国との物理的距離も遠いのだ #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

ただでさえ華麗な英雄譚への憧れを胸に抱いた青年ヨハンのこと。グランベル中央の文化的に洗練された優美さこそが彼の嗜好であったろう。イザークという土地は、剥き出しの大地と風からなる、まさに正反対の土地。…そんな環境で、彼が己を保つ為に選んだ道… #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

それが、自身がまるで戯曲の中の騎士になったかの如く振る舞うこと、我々が初めて目にしたセリフに見られたような、芝居がかった口上だったのではないだろうか。己が言行所作を以て、物語世界に没入すること、いや、現実を虚構のイマジネーションで飲み込む事で、彼は自分の心を守ったのだ #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

至高の座を手にしたヴェルトマー、それと誼を深め時流に乗るフリージと比べ、斜陽の気配を漂わせつつあるドズル、その家中に於ける傍流としての、辺境での現地民弾圧という全く気の進まぬ任務…せめて語る言葉や出で立ちばかりは、物語の中の正義の騎士道を貫く主人公のように。 #FE考察

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そうして現実との間に一枚の壁を築き、己の中心にある真っ直ぐな魂にかかる苦痛を緩衝しつつ、それでも静かに歪んで行かざるを得なかったヨハンの心…　しかし、荒涼として見えたイザークの大地に、そんな彼の心の救世主となるものが、砂礫の中の宝石のような存在が埋もれていたのです。 #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

ヨハンの複雑に屈折した心を鮮烈に撃ち抜き、靄を吹き飛ばしたもの、それが、それこそが、草原を駈ける純粋に研ぎ澄まされた美しき一振りの刀、凛として可憐なる少女剣士、ラクチェ（ラドネイ）だったのです。…すみません私の文体もだいぶヨハンに引っ張られ気味のようです #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

ところで、ラクチェ（に文字数の都合で以降統一）に逢う前のヨハンの好みの女性のタイプは、ラクチェとは全く正反対のタイプだったに違いない、と私は考えています。その根拠は…「ラクチェを讃えるヨハンの言葉が、まるで見当外れだから」です！ #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

だって…あなた…ちょっと、ねえ…「ラクチェ… きみの言葉は小鳥のさえずり きみのひとみは、星のまたたき」………いやいやいやいや！！！いや確かにね、ラクチェは可憐な美少女だとは思いますよ私も確かに…でもね、小鳥のさえずりとか星のまたたきとか、いやいやいやいや #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

ラクチェは、ティルナノグの隠れ里が大人たちの留守中に発見・攻撃されそうになったときに「ちょうどいいから逆にこっちが討って出て敵の城を奪ってしまおう」みたいなこという娘ですよ！？それが小鳥のささやき？小鳥？ #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

星のまたたき…や、流星剣でばっさりやられた時に星がみえちゃいましたってのならわかるけれども。 #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

そりゃあとても魅力的な少女だとは思いますよ私も。でも蝶よ花よってタイプではないわけですよラクチェは。彼女を美辞麗句で褒め称えるなら、研ぎ澄まされた刃の美しいその切っ先に似たそなたの横顔とか、そんな感じのがあってるでしょう。 #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

ヨハンが何でラクチェに対して小鳥のささやきとか星のきらめきとかいう言葉を使ったのか…私の勝手な推察というか妄想ですが、多分、彼、他に女性をほめる言葉、知らなかったんですよ、きっと。　#FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

多分、彼、物語の中の女性しか知らなかったんですよ。チャラ男に見えてホントはすごい奥手だったんですよ多分。　#FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

というか、女性って古式ゆかしき物語に出てきそうな、おしとやかではかなげで守ってあげなきゃいけないような存在だと、そういうものだと思い込んでたんだと思うんです。…だからこそ、全く正反対なタイプのラクチェに逢って、衝撃で心撃ち抜かれちゃったんじゃないかと思うんですよね。 #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

まあ、そんなわけで、辺境で不遇をかこって複雑に屈折し、正義の騎士の幻想に依っていた迷えるヨハン青年は、どこまでも真っ直ぐで迷いなく、強い眼差しと剣筋を持つ草原の少女に出逢い、己の目指すべき理想への道を見いだし、愛と正義の騎士ヨハンに生まれ変わったのです！ #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

ところで、私も今回の考察の資料探ししてて初めて知ったんですが、開戦当初は中立状態のヨハンの部下にレスターで話しかけることができるんすね。で、台詞が「はぁ、ヨハン様にもまいるなよな 女にはからきし弱いのに オレ達にはめちゃくちゃきびしいんだぜ」…これは意外。 #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

軍の指揮官としてのヨハンは、どうやら厳格な人物のようです。しかも、それでいて、部下の心は掴んでるんですよね。何しろ「我らはこれから、愛と正義とラクチェのために戦うのだ！」ですんなり部下たちがついてきちゃうわけですから。普通だったら「大将が乱心したぞ！」で終わりですよ。 #FE考察

C.K.アキヲ @CK_akiwo

まあ、それにしても唐突に思えるこの命令に部下たちが即応できたのは、あらかじめヨハンと彼の部下たちの間に、何がしかの意図を通じる部分があったのではと思います。それは「この辺境での不遇を抜け出すためには、いつか乾坤一擲の大勝負に討って出るしかない」というような想い。 #FE考察