ワインの舌と日本の酒

芝田晩成の「酒道 よろず三昧」から。 昭和31年文芸春秋10月号「アメリカの舌と日本の酒」を読んだ著者の反論が、今日の日本酒の海外展開の障壁に相通じる。
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natsuki kikuya @natsukipim

@dragonstar_k でもりゅうせいさんが仰るように、愛と熱なんでしょうね。必ず。紹介した本の著者も、この章の末に「リオンさんのような立派なサケの理解者が、世界中に、只一人でもあるということを知った筆者は、涙のにじむ程嬉しかった」と書いています。

2012-01-24 13:42:42
natsuki kikuya @natsukipim

@dragonstar_k その通りと思います。しかしワイン文化にあまりに精通している西洋に、それ以外の方法論が現在ないのも現実です。日本人が肌でわかる、私たちの文化と習慣からくる価値観というのは、思った以上に翻訳が難しいものだと日々頭を悩ませています。

2012-01-24 13:38:13
日本ワインのソムリエ&酒ディプロマ®︎in和酒バル二喬🍷仙台🍶の店主 @dragonstar_k

@natsukipim 勿論、現状どの方法論にも答えはないのだろうけども、日本酒を愛する人達が、それぞれに情熱を持ち、仲間を集い、大きな動きを起こしていけば、きっとその大きな波は水平線まで隅々に広がっていくと信じています。まずはナツキちゃんのように結果を出せるよう頑張ります!!

2012-01-24 13:22:25
日本ワインのソムリエ&酒ディプロマ®︎in和酒バル二喬🍷仙台🍶の店主 @dragonstar_k

@natsukipim ふむふむ、かと言って日本酒を体系化する⇒ワイン的視点で捉える⇒難しくする⇒昇華させる事が、ワインのように、全世界の人々に愛される飲料となる、という訳でもないでしょう。

2012-01-24 13:18:07
natsuki kikuya @natsukipim

日本人と稲作文化、米との関係性をもう少し調べてみよう。

2012-01-24 13:12:44
natsuki kikuya @natsukipim

そんな事を言っていると自身を「日本酒ソムリエ」と呼ぶこと自体に違和感を憶えずにはいられないのだが。そこを越えないと、日本酒を整然と体系化することも、日本酒にテロワールを感じることも、世界に対してワインがしてきたように、日本酒をきちんと咀嚼してもらうことも出来ないだろう。

2012-01-24 13:08:20
natsuki kikuya @natsukipim

そこには筆者なりの理論も用意されていて、「サケは、アルコール分が十五〜十六パーセントで他の酒類中の中庸にあり、酸度(コハク酸)も、糖分も、中庸に位置する。それにアミノ酸を加えて、五味が渾然と融和して、サケの醍醐味をつくるのだから、サケの肴は、何でも良く合う」と言ってのける。

2012-01-24 12:57:15
natsuki kikuya @natsukipim

酒が違うのにあり合わせで肴を用意するのは無神経すぎるとのリオン氏の指摘には、「元来、米のメシ位、おかずを選択しないものは少なかろう。これと同じように、サケも、肴には選択制がない。極端に言うと、筆者は、醤油だけでも結構酒が旨く飲める」と返す。そう、そうやって酒は飲まれてきたんだ。

2012-01-24 12:51:54
natsuki kikuya @natsukipim

それに対してリオン氏は「葡萄酒などは、白、赤、産地で異なり、また同じ産地でも千差万別である」とワインを取り合げて対比させる。「サケの話が始まると」大抵の日本の酒呑みは、銘柄を沢山あげ、また、産地を云々する。けれども、それを味わっただけで酒の名を当てる人に、出会ったことがない」

2012-01-24 12:46:06
natsuki kikuya @natsukipim

普通に読んだら「日本人や日本文化を理解していない欧米人の駄文」として受け取れるようなものだけれど、ここに海外における日本酒のトランスレーションの仕方の難しさをみる。

2012-01-24 12:18:30
natsuki kikuya @natsukipim

サケは、日本人にとっては米のメシのようなものだ、と著者は言う。日本人は三つの時から三度三度米のメシを飽きずに食べ、取り分けて旨いともまずいとも考えない。新米や寿司米のうまさを知っていても、米のメシは空気のようなものであって、命の親程大切なものだが、それが大して気にならないのである

2012-01-24 12:36:42
natsuki kikuya @natsukipim

是に対して、著者は「自然を肴に、悠々陶然として自適し、自然の中に溶け込むのが真の日本人の酒の飲み方だ」と反論する。「無神経だ、鈍感だ、ではなく余計な気はつかわないのだ。何の警告もしないのだ。サケと自己と自然がピッタリ一体となっているのだ」

2012-01-24 12:31:29
natsuki kikuya @natsukipim

リオン氏は続く。「水と湯、米とご飯、魚と肴を区別する程微妙を極めている日本人が、こと、サケとなると、温度の高低も、肴の有無やその種類も、また飲む場所にしても、その銘柄や特徴をあまり気にしないというのは、まことにおかしい。」

2012-01-24 12:25:45
natsuki kikuya @natsukipim

「日本人の感覚の鋭敏なことには定評があり、自然に対する観察の繊細さ、感受性の豊かさは実に驚くばかりで敬服の他ない。…サケは、俳句やキモノのように日本を象徴するものとさえいえるのに、サケについて一般の感心は甚だ薄い。大抵の日本人は、サケと言えば、どれもこれも同じに考えているのでは」

2012-01-24 12:22:47
natsuki kikuya @natsukipim

芝田晩成の「酒道 よろず三昧」に戻る。昭和31年に発行された文芸春秋の10月号に、米国大使館員のリオン・ピーカン氏が「アメリカの舌と日本の酒」と題して「日本人の酒に対する感覚は無神経に近い程鈍感である」と警告をし、醸造関係者や日本中の酒好きの中で物議をかもし出したそうだ。

2012-01-24 12:15:47