Kyota_WJの twnovelほぼ全集（201～300）

(T-T) @Kyota_WJ

ある本の価値を知ろうとして、粗筋や解説だけを読むのは間違いだ。本の価値とは読書体験にあり、読まなければその本の自分にとっての価値は知れない。…僕の価値も、付き合ってみなければ分かりません。まずはお食事から、お付き合いしていただけませんか？ #koifumi #twnovel

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16になる娘と私は仲がよい。理由の一つは、妻を早くに亡くしたためだろう。私達は二人きりの家族だ。 #twnovel 娘が父の匂いを嫌うのは、同じMHC遺伝子を持つためと聞く。私の娘は、私の匂いを嫌わない。そのことは、娘が私の実の娘ではないという事実を突きつけてくるようで、つらい。

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作家業は24時間営業になりやすい。何かあるたびに、これは使える、などと考える。自分の恋愛すら、作家の目で眺める自分がいる。ただ、人生は推敲できない。こんな平凡な結末は読者うけしない、と、ありふれた失恋をして思う。飯の種にもならないなんて、悲しいだけだよね。 #twnovel

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長距離航行の残された問題は、精神的ケアだった。人は同じ刺激の繰返しには飽きてしまう。そこで話相手に、突然変異と学習による人格調節機能を持ったAIを用意した。さらに、Twitter小説を地球から送信することに。常に誰かが、手軽に楽しめる多様な娯楽を提供してくれる。 #twnovel

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太陽系外探査に出かけた男女２人乗りの１隻が、突然、呼びかけに応答しなくなり、反転して太陽系まで帰ってきた。船は自動操縦モードで、船員の姿はなく、「幸せにしてます。探さないで下さい」という書置きがあった。自称「宇宙探偵」が大量に生まれた契機となった事件である。 #twnovel

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太陽系外探査員夫婦の不幸な事件は、妻の仮眠中に始まった。妻が寝言で昔の男友達の名前を呟いたのだ。貞節の証拠を求める夫のために話はこじれ、夫は妻を絞殺してしまった。現世の幸せを失ったと思った夫は、遺書を船に届けさせることにして、自分は妻の骸とともに船外へ旅立った。 #twnovel

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太陽系外航行に出た男の１人が、遭遇した生命体と相思相愛になり、結婚した。この人類初の結婚を法務省が認めた理由は、検討委員会が次のように考えたためという噂だ。 #twnovel あんな人嫌いで性格の悪いやつと結婚したいという物好きが現れたのだから、めでたいではないか。宇宙は広いな。

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あの子を視界の中央に入れつつも、今日も僕は逡巡する。あの人は本当に僕の運命の人だろうか。その様子を見かねてか、兄が言った。「照準を合わせた時点で、恋は最初の一方を踏み出してるんだ。射止めることを恐れるなよ」そうなのか。さすが「先斗のスナイパー」と呼ばれた兄だ。 #twnovel

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結婚して今は落ち着いている兄だが、一時期は「先斗のスナイパー」と呼ばれたほど（誰に？）、もてたらしい。比較的遅くに恋に目覚めた奥手な僕が、兄に教わることは多い。ただ、兄の恋人がよく変わったということは、誤射も多かったということだから、兄の教えの鵜呑みは危険かも。 #twnovel

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兄を「先斗のスナイパー」と名付けたのは、兄の奥さんだった。義姉さんも射止められたのか。問うと、義姉は言った。「射止めさせるように誘ったのよ」 #twnovel どうやら兄より義姉に学ぶほうがよいかもしれない。「いいけど、じゃあ、まずは『僕』っていうのをやめようよ。女の子なんだし」

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義姉は、僕の心と体の性別の乖離を知らない。義姉にとって僕は、弟みたいな義妹。恋を覚えた僕に義姉は、素朴な善意から、「私」と言うように助言をくれたのだろう。義姉の女らしさは僕が渇望し諦めてきたものだ。義姉のようになれるなら…。こうして、「僕」と私の分裂が始まった。 #twnovel

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義姉は、私が「僕」と言うのをやめるように助言をくれた。でも、「僕」が好きになったのは女の子だ。義姉はそれを知らない。そんな葛藤を見透してか、義姉に「先斗のスナイパー」と評された兄は言った。「悔いのないようにな」 #twnovel 心は決まった。決行は卒業式の日。「僕」が行く。

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卒業式後の作戦は、失敗に終わった。「親友にしか思えない」。女同士だし、常識的な結果なのだろう。その常識は「僕」の足下を砕いた。「僕」はこの世に望まれた存在ではない。そんな折、人と妖の間の存在、安倍晴明を知った。私の「僕」の、居場所をみつけられる。そんな気がした。 #twnovel

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思わず「好き」と呟きながら、それに指を差し入れる。とろとろに蕩けた流動体が指にまとわりつく。熱が指に伝わってくる。名残りを惜しみつつ指を抜き、指についた流動体を舐める。幸福感が広がる。次は指ではなく、口をつけて舌を入れる。あゝ素晴らしき哉、フォンダンショコラ。 #twnovel

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陰陽師である妻は言う。雛祭は術だ。「女らしさ」という呪により、かくあるべしという姿を女の子に強いる。だから雛祭の時期は、ちゃんとした女になれと言われているみたいで嫌だった。 #twnovel 「妻」も呪だろう、嫌ではないかと僕が問うと、妻は言った。「『貴方の妻』は私が望んだ呪だ」

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妻は陰陽師を仕事としており、仕事のときは水干を着る。呪を強める効果があるそうだ。彼女の振舞いは女らしさの薄いところがあり、水干姿はしばしば凛々しく感じられる。時節柄、彼女の水干姿がお内裏様のように見えたので、そう言うと、「じゃ、あなたがお雛様ね」と彼女は笑った。 #twnovel

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お嬢様の将来像に応じた雛祭をご提案。例えば、自立した女性に育てたければ、女雛は９等身のすらっとした立ち姿、出立ちは女性の自立の表象としてシャネル（ロゴは目立たないところに）。男雛もお好みで選べるように各種ございますが、近年は男雛不要というお客様が増えております。 #twnovel

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#twnovel 目覚めると部屋の中はコーヒーの香りに包まれていた。彼女が入れた、というと聞こえはいいんだけど…。今朝の材料を尋ねる。「朝顔の種だよ～」と返事。慌てて、カップにつけかけた口を引き離す。漢方では朝顔の種を下剤に使うんだぞっ!?「へー。私飲まなくてよかった～」これだ。

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#twnovel コーヒーの香りで独り寝から覚めた。私にコーヒーを飲む習慣はない。誰かいるのか？枕元にあった手帳を開くと、私の現況の説明と一日の予定が。予定を終え、コーヒーメーカのタイマを設定し、明日の予定を書いた手帳を枕元に。記憶が一日しかもたない私を、この手帳が明日につなぐ。

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「あなたが落としたのはお金持ちのこの男ですか、それとも頭が切れるこの男ですか」「…平凡で、時々気が利かないけど、私と気が合う、優しい男です」「正直な…」 #twnovel 私は、平凡で私に見合った彼と結婚した。お金持ちさんと切れ者さんは、困った時に助けてもらう約束をして解放した。

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デブリ清掃船の後部格納庫でAが死亡。顎から頭部装具に至る貫通創が致命傷。傷は焦げていた。現場にあったレーザー発振器による傷に見えたが、殺傷可能な出力はなかった。死亡推定時間に同船後部から数十秒の噴射光が観測された件は、同乗者Bがデブリ回避のために実施したと証言。 #twnovel

(T-T) @Kyota_WJ

その"光線銃"に殺傷力はない。凶器は別にある。Ａを後部格納庫に拘束、そこから操作してスラスタを噴射、それで熱した細い棒状のデブリでＡを刺殺し、凶器を船外へ。「根拠は」船から誰も出ず、ただ何か物体が出たことは観測されている。同業者がそれを回収したよ。盲亀浮木だな。 #twnovel

(T-T) @Kyota_WJ

我が社会学研は、最新の手法の試みとしてクラウド研究を呼びかけた。特定多数による共同研究だ。掲示板風のウェブサイトが開かれ、議論は白熱したが、出典明示や発言削除の申請、誹謗が飛び交ったため、試みは中止された。（N編著「クラウド人文学研究に見る研究者の様態」より） #twnovel

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我が日文研は、最新の手法の試みとしてクラウド研究を呼びかけた。特定多数による共同研究だ。掲示板風のウェブサイトが開かれたが、テーマが細分化しすぎたり、権威に追従して反論しなかったりで、試みは中止された。（N編著「クラウド人文学研究に見る研究者の様態」より） #twnovel

(T-T) @Kyota_WJ

我が被服研は、最新の手法の試みとしてクラウド研究を呼びかけた。特定多数による共同研究だ。掲示板風のウェブサイトが開かれ、様々な素材と手法による斬新な服が考案された。ある参加者の所見―「これって要するにパッチワークよね」（N編著「クラウド生活科学研究の成果」より） #twnovel