大橋・青春編

ある演劇制作者の青春回顧つぶやき集
0
オオハシーズ @macaroni1980

『俺は加藤(仮名)じゃない!』。友人というのはとても大切なもので、私の危機をいつも助けてくれる加藤(仮名)という親友がいる。今日は彼の話をしよう。

2012-02-02 15:20:45
オオハシーズ @macaroni1980

いきなり話は代わる。合コンとかのネタ話で、「セックス中に女子は名前を呼ばせるよね。」なんて話をしたことはないだろうか。「京子、京子、愛してるよ。」というあれだ。儀式のようなものだろうが、愛を深めるために合理性があるのであろう。

2012-02-02 15:23:38
オオハシーズ @macaroni1980

話は戻るが加藤の話。大学に入った頃からの付き合いで、お芝居活動も一緒にやっていたし、彼の自宅を事務局として使用させてもらっていた時期もある。面倒見の良い、お祭り好きなやつだ。クドカン映画『真夜中の弥次さん喜多さん』を見に、わざわざ伊勢まで行った。肉や牡蠣を食わしてくれた。

2012-02-02 15:27:38
オオハシーズ @macaroni1980

メーカー勤務の彼は、大橋が事務所を開く時には引越し準備から、無線LAN設定、果ては周辺機器をお祝いでくれたりした。苦しい苦しい時期に支えてくれた仲間で、ちょっとO型生活の大橋には厳しい所もあったけれど、とても優しい男だ。

2012-02-02 15:29:08
オオハシーズ @macaroni1980

加藤はぽっちゃり体型の女性が好きで、大橋は凧のように薄い女性が好きなので、男女関係でトラブルになったこともなかった。加藤はそっちでも豪腕なやつだったが、凧には興味がなかったのだろう。

2012-02-02 15:32:30
オオハシーズ @macaroni1980

また私の話に戻る。私が芸術監督に殴られ退職してフリーランスになった頃、お付き合いしていた女性がいた。とても優しい女性だった。ある丑三つ時、情事にいたっていた私達は幸せだった。坂を越え、空へ舞おうとするその刹那、彼女は愛を吐き出すように言った。『加藤さん、加藤さーーん。』と、

2012-02-02 15:37:39
オオハシーズ @macaroni1980

実際には加藤にニックネームがついており、明らかに彼のことと判る名前だ。この話を飲み会などですると、「それを聞いてどうしたんですか?萎えた?燃えた?」と聞かれるのだけれど、私は聞かなかったことにしてそのまま続行した。彼との深い絆を確認した出来事だった。

2012-02-02 15:39:37
オオハシーズ @macaroni1980

あの出来事で私の青春は終わった。そんな懐かしい思い出です。時計の針は大学1年のゴールデンウィークに戻る。『ハウジングセンターの悪夢』

2012-02-02 15:44:00
オオハシーズ @macaroni1980

まだ俳優としての活動を断念したわけではなかった私は、「キャラクターショー」のアルバイトをはじめた。ウルトラマンやセーラームーンといったショーに出演するのだ。フロム・エーの募集をみて申し込んだのだが、極めて身体能力の高い先輩ばかりでびっくりした。

2012-02-02 15:46:28
オオハシーズ @macaroni1980

格闘技や新体操経験者が多く、ジャンプ力とかが半端じゃない。私は空手茶帯の腕前。高校演劇の技術など全く役に立たない。ライダーキックなど到底出来ないので、足を正面につきだして(90度)ジャンプするだけの最下層だった。

2012-02-02 15:50:24
オオハシーズ @macaroni1980

怪獣に何度か入って戦った後、超生命体の猿役をやった。その作品は東海地方初上演というふれこみで、あるハウジングセンターで上演された。ゴールデンウィークというのはキャラクターショーのかきいれ時で、どうしても経験値の少ない者も重要せざるをえない苦しい時期でもある。

2012-02-02 16:14:40
オオハシーズ @macaroni1980

『XXXを救出す』と自分の役の名前がタイトルにつく、いわゆるタイトロール。『ハムレット』でハムレットを演じるような名誉だ。私としては保育園で演じた『王様の耳はロバの耳』以来のタイトロールであった。

2012-02-02 16:18:06
オオハシーズ @macaroni1980

後からキャスティング理由を推測すると、事務所の先輩も作品についてよくわかっていなかったようで、『救出す。』って言うぐらいだから、ぼーっとしてれば大丈夫だろう。という理由だったようだ。

2012-02-02 16:20:07
オオハシーズ @macaroni1980

ともあれ、私は堂々のタイトロールだ。なんとか必死に振り付けを覚えたが、かなり出ずっぱの役で、すげーキツかった。当日は生憎の雨模様で、1日2ステージをこなすタイムテーブルだったが、1ステージ目は雨で順延。2ステージ目も開演5分前まで、「これ無理じゃね?」という雰囲気。

2012-02-02 16:23:48
オオハシーズ @macaroni1980

もうないなという雰囲気が楽屋に広がる開演予定時刻、先輩が勇敢に叫んだ「やるぞ!」と。内心、「ヤバイ!」と思ったが、急ぎ着ぐるみの頭をかぶる。心臓がバクバクしてきた。やヴぁい、あの時のフリは、えーと、膝、膝、膝、で腕を振って反撃して、下手に移動…ぅおおおお!!!

2012-02-02 16:28:05
オオハシーズ @macaroni1980

MCのお姉さんが冒頭子供たちのハートをガッツリ掴んで、いよいよ開演!私はステージに飛び出した。だが、何かおかしい。頭がガクガクするぞ?

2012-02-02 16:31:25
オオハシーズ @macaroni1980

(この章は、大橋青年[18]がパフォーマーを断念した出来事の記録で、特に面白い話ではありません。)

2012-02-02 16:37:39
オオハシーズ @macaroni1980

おかしい、動く度に視界がぶれる!いや、止まっていても視野が確保できない。そうだ、開演前に頭に詰め物をしていなかったんだ。人の頭の大きさには当然サイズの違いがある。ご存知の通り、中の人が外を見られるように「目線確保のための穴」が空いているのだが、目の位置が鼻ぐらいの高さだ。

2012-02-02 16:42:11
オオハシーズ @macaroni1980

視界が限られることに混乱しながら、それでもストーリーは冷酷に進んでいく。膝、膝、膝!反撃した手をかわされて、「ガコガコガコガコガクンガコ!!」えーと、え?え!? 詰め物をしなかったため、視線が確保できなかっただけでなく、空洞があるために激しく動くと大きく被り物が揺れる。

2012-02-02 16:53:22
オオハシーズ @macaroni1980

ただでさえこの小雨は、油断するとスリップしそうな床面。踏ん張らねばならぬが、激しく動く殺陣(振り付け)で体力はみるみる消耗していく。物語が中盤になる頃には、視野は更に確保できなくなってきた。混乱は深まっていく。振りも間違える。ヤバイ!!

2012-02-02 16:58:53
オオハシーズ @macaroni1980

中盤からは私中心の物語展開だったが、明らかに挙動がおかしい事に周囲は気づいていた。実は「もう、見えない」のだ。画面が黒くなった。視界が自分の足元しか見えない。

2012-02-02 17:13:39
オオハシーズ @macaroni1980

更に、頭を固定していたバンドが遂にほどけてしまった。それでも演じないといけない!演じないといけない!明らかにグラグラする被りもの。何とか下を向かないようにしながら演じるが、殺陣が、殺陣が、殺陣が!!立ち位置どっちだっけ????

2012-02-02 17:19:43
オオハシーズ @macaroni1980

すると、さっきまで黒かった画面が白くなってきたではないか…。失神であります。もう、聡明な皆さんは既にお気づきでしょう。集中力がゼロになった猿の頭が「ゴロリ…」。子ども達からは「ああー!!」の声。「ああー(笑)」ではない、「ああーー!!(悲痛)」である。

2012-02-02 17:32:44
オオハシーズ @macaroni1980

先輩が私の顔をかぶせるも、混乱はMAX&MAX。殺陣どころではない。呆然と立ち尽くす。戦っていた敵キャラの先輩から、「動け!!」という声が聴こえた。喋った声聞こえるんだ。この後は、先輩が殺陣なしのフルボッコ演出に切り替え、とにかく動いた。が、途中で握力がなくなって手が千切れた。

2012-02-02 17:35:35