リブート、レイヴン #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((撃ってきやがったぜ、畜生め!)))ガンドーは両腕を交差させて頭部をガードしながら、なおも突き進む!その勢いは落ちない!シャチホコを蹴り、大きく跳躍!ヘリの横腹を狙ったがわずかに届かない!辛うじて縄梯子とスズキ・キヨシの足を掴む!ガンドーの体重で、振り子が大きく揺れた! 25

2012-02-11 01:30:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『上昇一旦停止!』キヨシは困惑し、ガンドーに対し闇雲に発砲しながらIRCを飛ばす!「所長ーッ!」屋上に突如響くシキベの声!何故彼女が!?ガンドーは後方を振り返った。どこから調達したのか、リボルバー銃を手に非常ドアから走ってくるシキベ!「馬鹿野郎!足手纏いだ!」叫ぶガンドー! 26

2012-02-11 01:40:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは、真上からの銃撃で左肩をやられたことに気付いていた。だが何度打ちのめされようとも立ち上がる驚異的タフネスと違法薬物で武装したこの男は、黄金時代のカラテとともに左右に揺れる縄梯子を登り、スズキ・キヨシと向かい合ったのだ。「ヌウウウーッ!」キヨシの拳銃を掴むガンドー! 27

2012-02-11 01:47:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!拳銃を奪い合いながら、キヨシが闇雲にトリガを引く。プロテクタースーツによって握力が強化されているのか、ガンドーとの体格差を考えると驚異的な抵抗である。「俺は大丈夫だ!来るな馬鹿野郎!」ガンドーが背後に向けて叫ぶ!「ハイ!」シキベが答えカワラ屋根に伏せる! 28

2012-02-11 01:53:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウウウーッ!」ガンドーは肩を撃ち抜かれた片腕に、さらに力を篭めた。だが、押し負けている。一瞬の判断で手を離し、拳をスズキ・キヨシの顔面に叩き込んだ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ほぼ同時に、プロテクタースーツで強化されたスズキ・キヨシの膝蹴りが、ガンドーの鳩尾にめり込む! 29

2012-02-11 01:58:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「グワーッ!」」二人は苦痛に顔を歪めながらも、さらに泥臭い殴り合いを続ける。放り捨てられた拳銃が屋根の上に転がる。縄梯子が大きく揺れる。互いの服を掴んで引きずり下ろそうとする。両者は入り乱れ、武者鎧のケースに落下!その衝撃で偶然にも超磁力マグネットが解除される!ナムサン! 30

2012-02-11 02:05:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは死を覚悟しながら、必死でショウケースにしがみついた。スズキ・キヨシもそうだ。ゴウランガ!大揺れになっていた振り子の錘は、そのままカワラ屋根の上に叩きつけられる!ガラスが割れ、飛び出すトクガワ・エドの鎧甲冑!探偵と怪盗は真正面から組み付き合いながら屋根を転げ落ちる! 31

2012-02-11 02:09:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

屋根から飛び出した2人は、3つ下の階に突き出した展望席へと落下する!「アイエエエエエ!」突如目の前に降って来た2人を見て、プロポが失禁した!ガンドーとスズキ・キヨシは、言葉にならない言葉を叫び合いながら、互いを殴りつけ、組み付き、転がり、柵を壊してさらに下へと落下してゆく! 32

2012-02-11 02:13:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

中庭に造られた小さな池へと2人は落下した!派手な水柱!見事な鯉が空中に浮かぶ!乗客らの悲鳴!そして……固唾を呑んで皆が見守る中……ぐったりとうなだれるスズキ・キヨシの襟首を掴んだガンドーが、池から這い出し立ち上がった。「誰だ、あんたは!?」警備員らが叫ぶ。「……私立探偵だ」 33

2012-02-11 02:18:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

中庭でどよめきと歓声が上がった。それは屋根の上にいるシキベの耳にも伝わった。「良かった……所長……捕まえたんスね……!」シキベはシャチホコに掴まって泣きじゃくりながら、中庭を見下ろしていた。少し離れた場所には、割れたガラスケースとトクガワの鎧、キヨシの拳銃が転がっていた。 34

2012-02-11 02:25:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーの疾駆で追われた鴉たちも、カワラ屋根に戻ってきた。シキベは暫しシャチホコに背を預け、アッパーガイオンの夜景を見渡し息を整える。勝手な行動を取り、足手纏いと言われたことが、急に不安になった。「アー……所長……これじゃ……ずっと事務所に置いてもらうの……無理スかね……」 35

2012-02-11 02:30:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……心の中でひとりごちた直後、シキベは本能的に何かの異常を感じ取った。だから彼女は、口に手を当てて息を止め、シャチホコの背後に身を隠したのだ。鴉たちも同様だった。何か不吉なものの接近を予感したかのように……騒がしくゲーゲーと鳴き、翼を開いた。 36

2012-02-11 02:34:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その夜、鴉たちが、その黒い翼で彼女を覆い隠すことができたならば良かったのだが。 37

2012-02-11 02:39:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは観衆を掻き分け、警備員や救護班も押しのけながら、屋上へ向かう。途中、黒いスーツの男が正面から彼にぶつかり、紫色のフロシキで包んだ大きな重箱を押し付けた。すれ違いざまに、その男は「報酬だ」と告げる。走狗だろう。ガンドーは一億の重みを感じながら、笑顔で屋上へ向かった。 39

2012-02-11 02:46:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

4ヶ所に銃弾を受けながらも、ガンドーは笑っていた。シキベが下りてこないことの不安を頭の外に追いやり、彼は笑っていた。警備員、救護班、カチグミ野次馬を後ろに引き連れながら、ガンドーは屋上へと登った。……そこで彼は、血を流し横たわるシキベ・タカコの姿を見たのだ。 40

2012-02-11 02:54:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ザリザリザリ……ガンドーの記憶に再び横殴りのノイズが走る……ガンドーは彼女を抱き上げ、何かを叫んだ。だが彼の記憶の中には、この時の音声はもうなにも残っていない。流れ弾か?まさかな?突然、全身から血の気が引いていく。全てがスローモーションに映る。救護班が2人をヘリに載せる。 41

2012-02-11 02:58:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!ーッ!ハァーッ!」ガンドーは悪夢から醒めるように、医療用ベッドで上半身を起こした。探偵事務所か?それにしては殺風景だ。いけすかねえ、真白い部屋だ。レコードの音も無ければ、トーストの香ばしい匂いもない。パイプベッドはクリーム色の塗装ではない。真新しい、真白なベッドだ。 43

2012-02-11 03:03:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

痛みが全身に走った。体は包帯で覆われ、患者用の白い服を着せられている。シキベの巻いた包帯ではないことは、すぐにわかった。プロが巻いたものだ。腕にちくりとした痛みを感じ、点滴チューブが刺さっていることに気付く。背中にもだ。ガンドーはチューブを引き抜くと、裸足で床に下りた。 44

2012-02-11 03:07:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…オイオイオイ、ブッダ、どうなってんだこりゃ。話が違うぞ」ガンドーは苦痛に顔を歪めながら、冷たいホワイトマーブルの床を歩き、重いフスマを開ける。大きな窓が並ぶ廊下と、アッパーガイオンの曇天が彼を迎えた。長い廊下には、車椅子の男、サイバネ義足で歩行練習する男、そして看護婦。 45

2012-02-11 03:11:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……!アイエエエエエ……」ガンドーの姿を見ると、看護婦は驚き、その場に立ち尽くした。彼はまだ動ける状態ではなかったからだ。「なあ、ちょっと病室を教えてくれよ」ガンドーは看護婦のところまで歩き、聞いた。「シキベ・タカコの病室はどこだ?俺の大事な助手なんだ」 46

2012-02-11 03:14:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

数分後、ガンドーは医療主任の部屋にいた。2人が向かい合って座るテーブルの上には、チップが浮かぶ円筒状の透明なチューブが一本、置かれていた。「で、俺は何日間寝てたんだ?」「3週間です」「そうか」「ズバリ依存症だと気付くのが遅れたら、永眠していたでしょう」「そうか」 46

2012-02-11 03:18:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「で、こいつは何だ?」ガンドーがチューブを指差した。医療主任が咳払いする。「シキベ・タカコ=サンです」「そうか」ガンドーはチューブの中の高密度バイオニューロンチップを見る。「もう一回説明してくれよ、センセイ」「正確には、記憶のコピーです」「体は?」「生命活動を停止しました」 47

2012-02-11 03:21:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なあ、センセイ……3週間も寝てた俺が言うのもなんだが、どうしてこうなった?」「貴方が望んだからです」「俺が?」「一億ある、何としても彼女を助けろと」「言ったかもしれん、だが……」「我々の力が及びませんでした」医療主任はドゲザする。「オイオイ、センセイ、顔上げてくれよ」 48

2012-02-11 03:25:53