- kjokjo1930
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「今日の知識人達にとって、己れの頭脳によって理解出来ない声は、みんな調子が外れているのです。その点で、彼等は根底的な反省を欠いている、といっていいでしょう」小林秀雄『考えるヒント3』
2011-02-27 22:49:25「私は、美術や音楽に関する本を読むことも結構であろうが、それよりも、何も考えずに、沢山見たり聴いたりする事が第一だ、と何時も答えています」 小林秀雄
2011-02-28 18:45:07「極端に言えば、絵や音楽を、解るとか解らないとかいうのが、もう間違っているのです。絵は、眼で見て楽しむものだ。音楽は、耳で聴いて感動するものだ。頭で解るとか解らないとか言うべき筋のものではありますまい」小林秀雄
2011-02-28 18:47:41「浪漫主義が流行させた、独創とか個性とかいう言葉は濫用されています。濫用しているうちに、知らず知らず、芸術作品の個性という意味が下落する。下落して単なる個人個人の相違という意味と混同されます。」小林秀雄
2011-02-28 23:19:02「もし芸術作品の個性という事が言いたいのなら、それは個人として生まれたが故に、背負わなければならなかった制約が征服された結果を指さねばならぬ」小林秀雄
2011-02-28 23:22:26「ソヴェトには言論の自由はないであろうが、沈黙の自由ならある筈だ。言葉のしゃれではない。黙らされた人間は、必ず沈黙によって自己を現すものであり、この力は必ずしも言論の力に劣るものではありませぬ」小林秀雄
2011-02-28 23:33:47「文字のなかった時代の教養人とは、無論、何でも頭で覚えていた人だ。そしてこれを上手にしゃべった人だ。そういう教養人の態度が、文字ができ、書物が書かれると、急に変わってくるという様なことは考えられぬ。」(小林秀雄)
2011-03-03 18:54:32「学者とはずい分長い間、書物に書いてある知識くらいは皆空で覚えていた人だったでしょう。書物は、記憶の不確かな処を確かめる用しかしなかったでしょう」(小林秀雄)
2011-03-03 18:55:35「詩は言うまでもないが、散文にしても物語だった。読まれたのではない、語られたのです。本は、歌われたり語られたりしなければその真価を現す事は出来なかったのです」(小林秀雄)
2011-03-03 18:57:06「互いに己れを主張し、攻撃と防禦の気を伺っている様な思想は、権力のかぶった仮面に過ぎないからであります。これらの思想は各々の陣営の中に住んでいるので、人間の精神の裡にあるのではない。」(小林秀雄)
2011-03-03 22:32:49「己れを実現する為の、最も現実的な保証なり根拠なりを、原子爆弾の数の上に置いている、さようなものを思想と呼ぶのは滑稽である。この思想としての内的根拠を全く欠き、一方、物質のシステムの明瞭性も全く欠いた怪物に、世人は、イデオロギイなどというえらそうな名を付けました」(小林秀雄)
2011-03-03 22:35:53「凡そ究極的な問題は、直覚によって掴む他はないもので、直覚の率直な表現が、屡々逆説と見えるという事は、ニイチェの作でいつも経験する事です。真の逆説とは言わば認識に於ける極めて率直な決断なので、ひねって逆を言ってみるという様な事てはない」(小林秀雄)
2011-03-06 23:33:52「個人の独創により、普遍的人間性を表現しようとする十九世紀理想主義の権化たる点において、ベエトオヴェンは、文学の世界で言うならゲエテやバルザックに比すべき稀有な芸術家だった…」 (小林秀雄)
2011-03-06 23:47:52小林秀雄 「ベルグソンの哲学は、直観主義とか反知性主義とか呼ばれているが、そういう哲学の一派としての呼称は、大して意味がないのでありまして、彼の思想の根幹は、哲学界からはみ出して広く一般の人心を動かした所のものにある、…
2011-03-08 23:43:04「天下を整理する技術が、大根を作る技術より高級であるなどという道理はないのでありますが、やはり整理家は、無意味な優越感に取りつかれるらしい。交通巡査でさえそうかも知れぬ」(小林秀雄)
2011-03-09 19:24:36「現代の批評病は、いろいろな症状を現しているが、根本のところは、物に対するこの心の手ごたえを失っている事から来ている様に思われます。何かを批評している積りであるが、その何かが実はないのである」(小林秀雄)
2011-03-09 23:19:52「ベルグソンが、晩年の或る著述の中で、これからの世にも大芸術家、大科学者が生まれるかも知れないが、大政治家というものは、もう生まれまい、と言っております。つまり政治は、現在既に大政治家などいよいよ必要としない傾向を辿っているというのです。」(小林秀雄)
2011-03-09 23:26:21「政治の仕事が国際化して、いよいよ複雑なものになると、その取扱う厖大な材料に関する正確な知識などは、どんな政治専門家の手にも余る。手に余るのは知れ切っているが、あらゆる曖昧さと偶然とを追い、何んとか彼とか仕事をしなければならない。…(小林秀雄)
2011-03-09 23:30:11…そういう事になっては、もはや大人物など用はないどころではない。化けもの染みた仕事である。チャアチルという人などは最後の人物かも知れませぬ」(小林秀雄)
2011-03-09 23:31:28「論理に言葉が隷属している以上、定義という権威により勝手な言葉を発明しても一向差支えない。これは、思想家にとって極めて安易な道である。安易な道に慣れた者は、正しく考える為には、日常の言語で充分であるという決心は容易な事ではない。…(小林秀雄)
2011-03-09 23:51:00…何故かと言うと、私達の日常の言語というものは、長年の間人生の波風に揉まれ、人手から人手を渡り歩いている内に、自らの性格を鍛え上げているものであって、凡庸な哲学者のディアレクティックなどに追従するものではないからである」(小林秀雄)
2011-03-09 23:53:00「ジャアナリズムは、屡々現実の文化に巧まれた一種の戯画である。思想のモデルを、決して外部に求めまいと自分自身に誓った人。平和という様な空漠たる観念のために働くのではない、働く事が平和なのであり、働く工夫から生きた平和の思想が生まれるのであると確信した人。…(小林秀雄)
2011-03-10 23:08:06