茂木健一郎さん連続ツイート508回【『透明性と哲学」】

茂木健一郎(@kenichiromogi)さん連続ツイート
0
茂木健一郎 @kenichiromogi

博多に向かう新幹線の中から、「連続ツイート」第508回をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、今日の 『新・週刊フジテレビ批評』を振り返って。

2012-02-18 06:43:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(1) 江川紹子(@amneris84)さんと、『新・週刊フジテレビ批評』でごいっしょした。スタッフの方々は、前日からネタの仕込みなどでずっと起きたまま朝を迎えたそうです。みなさん、本当にお疲れ様でした!

2012-02-18 06:44:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(2)マスメディアの報道が信頼されなくなったと言われて久しい。とりわけ、原発を巡る報道については、事実の歪曲や、恣意的な選択が行われているというような意見を見る。「陰謀史観」は避けなければならないとしても、マスメディア側に反省する点も多くあるだろう。

2012-02-18 06:45:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(3)東京電力のような企業の広報も見直しを迫られている。従来、広報(public relations)とは、自分たちに都合の良い情報を流す、操作的な色彩が強かったが、それでは信頼を得られなくなった。今の広報に求められているのは、徹底的な透明性の確保である。

2012-02-18 06:47:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(4)インターネットが発達し、ソーシャル・メディアが浸透するに従って、人々は情報操作の舞台裏を知るようになった。情報がどのように選択され、外に出るのかという点を含め、すべてのプロセスを可能な限り透明化するということが、信頼性の回復のために求められる。

2012-02-18 06:48:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(4)もっとも、番組中で 江川紹子(@amneris84)さんが指摘されたように、人権への配慮や、情報ソースの問題など、すべてを透明にできないケースも。だからこそ、マスメディアには、自分たちはこのようなプリンシプル(原理原則)で報道しているのだという哲学の開示が求められる。

2012-02-18 06:50:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(5)そもそも、「客観報道」ということはあり得ない。必ず事実の取捨選択、編集がある。従来は、無味無臭の「客観報道」があるというフィクションの下でメディアは報じてきたが、それは維持不可能である。むしろ、自分たちはこういう見識を持って報道しているのだという哲学こそが求められる。

2012-02-18 06:51:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(6)私がしばしば読んでいるイギリスの新聞、The Economistの報道には、一貫した哲学が感じられる。それは、市場の競争への信頼であり、自由の標榜であり、何よりも「カモン・センス」に基づく判断の積み重ねである。その報道の原理が伝わってくるからこそ、信頼される。

2012-02-18 06:53:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(7)哲学から離れた「客観」や「公平」があると思い込んでいるのは、「リスクのない世界」があると思い込むのと同じ、ここのところの日本人の精神病理の一つであろう。それを生み出している一因は、「小さく前にならえ」の初等中等教育かもしれない。だからこそリテラシーが問われる。

2012-02-18 06:54:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(8)人間の脳は、不安や恐怖などの感情が先に立って、論理的であるはずの判断が左右されることがしばしばある。特に、自分の生命が脅かされるようなmortality salienceの状況においては、特定の情報を選択して、それを拡大解釈しようとしてしまう。

2012-02-18 06:55:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

とて(9)だからこそ、マスメディアは、人々の不安や恐怖といった感情を、自らが信頼に足りる存在となることで少しでもやわらげる責任がある。その際に大切になるのが、徹底した「透明性」と、自らの報道の「哲学」の開示であるということを、今朝の『新・週刊フジテレビ批評』で申し上げたのである。

2012-02-18 06:57:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート508回、『透明性と哲学」を、博多に向かって時速300キロで疾走する新幹線の中からお届けしました!

2012-02-18 06:58:04