第2回 novel10 「これをあげるよ」
台詞の場面を切り取る小説遊び。 第2回目のお題は蓮(@0_na318)さん提供 「これをあげるよ」 お題のセリフを必ず含む、10文(または10行)以内の小説に #novel10 をつけて投稿してください。ツイート数、文字数に制限はありません。期間は23日0:00〜23:59まで
2012-02-22 22:45:29行く先もなく膨らみ続けた想い。捨てられずいつまでも重くのし掛かる。僕を抱き締める君の唇が愛してるって動いたように見えた。嗚呼何て可哀想な子。僕には貴方しか見えていないけど「これをあげるよ」泣き出しそうな笑顔が見えた気がした。 #novel10
2012-02-23 00:00:03「…お別れだねドラえもん。」 「君なら平気さ、のび太君。」 「僕…自信ない! ずっとそばにいてよ‼」 「…これをあげるよ。」 「ソノウソホント…?」 「付けてついた嘘がホントになる。 上手く使いな。」 「…最初からこれ一個で済んだね。」 「…んだとコラァ!」 #novel10
2012-02-23 00:12:221-1 「これをあげるよ」「ありがとう」 なんて美しい鏡だろう。 生物以外は映らないから気をつけてと言うが、そんなの当たり前じゃないか。 二十歳までに見えなければ一生見えないと聞くから、きっと私には見えないのだろう。 とにかく、使ってみよう。→ #novel10
2012-02-23 00:22:291-2 →あれ、おかしいなあ、何も見えないなんて、まさか、そんなーーー 『やっと気付いたの?』 どこかで、君が、嗤った気がした。 #novel10
2012-02-23 00:22:292-1 「どうかこの私めに、卑しい賤しい馬鹿な下僕に、貴女様の手の中にある麗しき物を与えて下さいませんか」 それでも駄目なのでしょうか。 私にはそれが必要で、飲まないと起きていられないんです。 → #novel10
2012-02-23 00:22:292-2→ 丸くて鮮やかで可愛らしい粒。 ああ、なんて美しいんだろう。 だから、どうか、私に。 「これをあげるよ」 やっと、くれた、ありがとう、でもね、いま、わたし、ふらふらして、まっすぐあるけないんだ、どうして?どうシテ?ねエ、ネエ。 #novel10
2012-02-23 00:22:293-1 長い行列が出来ていたから、私は最後尾に並んだ。「これをあげるよ」と、半透明の袋に入った白い錠剤を差し出して、黒装束の男が言った。処方薬以外は飲まないと決めているから、直ぐにポケットに入れた。 →#novel10
2012-02-23 22:25:053-2→暫くすると複数の断末魔が聞こえた。もうちょっと待てよと呆れて振り返ると、粘着質の濁った液体が水溜りを作っており、白い玉がぷかぷかと浮いていた。遠くに目を遣ると、相変わらずあの黒装束の男が半透明の袋を配っていた。→ #novel10
2012-02-23 22:25:06「これをあげるよ」渡された花束。今日が何の記念日だったかを思い出そうとしたけれど、わからなかったから素直に訊ねた。相手ははにかみながら答えた。「今日が記念日になるんだよ」もう一度花束を見てみるとメッセージカードが添えられていた。―Please marry me? #novel10
2012-02-23 00:23:03試験前日。ピンポーン。誰よこんなときに、なんて少し苛立ちながらドアを開ける。「これをあげるよ。」「?」「お守り。」手を振って彼は去っていった。私の掌には古い毛布の切れっぱし。…こういうのって、愛用してた本人にしか効かないんじゃないの?不意に笑みがこぼれた。#novel10
2012-02-23 00:26:17「これをあげるよ。」渡されたのは腕時計型のタイムマシン。日本史の舞台を体験したいという私の願いが叶えられたのだ。ワクワクしながら憧れの時代へ跳ぶ。?!苦しい、息ができない。視界の先には雅な甲冑の武士。水を吸った十二単が重い。なすすべもなく沈んでゆく。壇ノ浦の底へ。#novel10
2012-02-23 13:53:22「これやるよ」兄さんが寄越したのは鍵だった。「必要だろ?」家中の鍵穴を試したがどこにも合わない。途方に暮れ、街を歩くと、大好きな先輩の姿を見かけた。春から会えなくなる…そうだ。左胸を探り、鍵を差し込む。カチャッと心の開く音。「先輩!」気がつくと駆け出していた。 #novel10
2012-02-23 15:12:48その木は一際目を引いた。細い枝の全てが釣り針のように奇妙に曲がっている。桜だろうか。「これをあげるよ。」まだ冬なのに花びらが頬をなでる。「ひとときの夢をあげるから、ねえ、私の養分になってくれないか?」妖艶な指を蠢かし幹の上から微笑みかける美女に、私は身震いした。 #novel10
2012-02-23 23:45:45男女問わず仲の良い仲間とのお出掛けでふと、いつも隣の席の彼と二人きりになった。お店は見てまわったし、休憩しようかと声をかける私。他愛ない会話中、彼は何か思い出したようだった。「あぁそうだ、君にこれをあげるよ。」その手にはさっき見ていたストラップが握られている。 #novel10
2012-02-23 00:36:50