村山斉著 『宇宙は何でできているのか』 紹介

宇宙について、現在はどこまで解明されているのか。 また、どのような技術や理論が用いられているのか。 その一部を、抜粋して紹介していきたいと思います。
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S.M @shingoo2

村山斉著 『宇宙は何でできているのか』がとても面白いです。内容を抜粋して紹介ツイートをしていきます。

2012-03-03 22:29:08
S.M @shingoo2

創成期の宇宙を知ることは可能なのだろうか。

2012-03-03 22:33:31
S.M @shingoo2

1.観測によって宇宙のどこまで見ることができるのでしょうか。これには限界があり、130億光年先の銀河までしか見ることができません。 望遠鏡で見えない領域があるのは、「遠い」からではなく「古い時代の宇宙」だからです。

2012-03-03 22:33:47
S.M @shingoo2

2.宇宙の歴史は137億年前と言われていますが、誕生直後は光のない「暗黒時代」だった為、物理的に望遠鏡での観測は不可能なのです。

2012-03-03 22:33:55
S.M @shingoo2

3.しかし、方法がないわけではありません。可視光線は出ていなくても、水素原子があればこれから出る電波により観測が可能です。 ただ、この方法でも宇宙誕生後38万年より先は観測できません。この時の宇宙は高熱の為、原子の状態が保てず原子核と電子がバラバラになっています。

2012-03-03 22:34:02
S.M @shingoo2

4.原子は電気的に中性ですが、バラバラだと夫々が電気を持ち、電磁波はそれらの粒子にぶつかり、真っ直ぐ飛ぶことが出来ません。 この分厚い「壁」より先からは、光も電波も観測することは不可能なのです。

2012-03-03 22:34:08
S.M @shingoo2

5.そこで登場するのが素粒子物理学です。壁の向こうで起きている状態を、実験室で調べようというわけです。 これには高性能の顕微鏡が必要で、何らかの「波」を対象にぶつけることで、その反応により観察します。

2012-03-03 22:34:22
S.M @shingoo2

6.原子を見るには、それにぶつかるだけの短い波長が必要となり、可視光線では無理なので、電子の波を利用した「電子顕微鏡」を使います。

2012-03-03 22:34:26
S.M @shingoo2

7.電子の波?と思うかもしれませんが、あらゆる「粒子」は「波」のように振舞い、あらゆる「波」は「粒子」のように振舞う。物理学は100年も前にこんなことを言い出しました。このことについて、少し遠回りして「量子力学」の説明をしておきます。

2012-03-03 22:34:52
S.M @shingoo2

8.発見は、溶鉱炉からの光が連続的ではなく、「とびとび」の値を示したことに始まります。 光のエネルギーは小さな係数と光の波動数の積の整数倍の値にしかならず、その為「とびとび」の値に成るという仮説が立てられました。

2012-03-03 22:35:02
S.M @shingoo2

9.その幅は極めて小さいことから、マクロでみれば連続的に観測されます。 つまりマクロ世界の法則は、ミクロ世界の法則からすれば近似値に過ぎなかったといえます。

2012-03-03 22:35:10
S.M @shingoo2

10.「波」だと思われていた光を「粒子」とみなす考えは、アインシュタインにより導き出され「光量子仮説」といいます。 彼はこれにより「光電効果」(金属に光を当てると電子が飛び出す現象)の謎解きをしました。

2012-03-03 22:35:40
S.M @shingoo2

11.逆に、粒子に波の性質賀あってもいいはずだ、との考えも浮上しました。 発端は、「電子はなぜ原子核の周囲を回っていられるのか」という疑問で、当時の物理学では電子の円運動はエネルギーを失い、原子は安定構造の維持ができないとされていました。

2012-03-03 22:35:56
S.M @shingoo2

12.電子が波だとすると、粒子が回っているのではなく、原子核の周囲を囲んだ波がうねうねと揺れ動いているイメージになります。 そして一周した波が打ち消しあわない為には、電子の軌道の長さは波長の整数倍となり、とびとびの値になります。この軌道上ではエネルギーを失わないと考えたわけです。

2012-03-03 22:36:13
S.M @shingoo2

13.その後、あらゆる粒子(全ての物質)が波であるとされました。ミクロの世界なので実感できませんが、私達自身もです。 このことは「二重スリット実験」によっても証明されました。

2012-03-03 22:36:22
S.M @shingoo2

14.電子をスリット越しのスクリーンに向かって撃ち込む実験ですが、ランダムに見える電子の着弾点の痕跡を重ねていくと干渉縞が現れることから、波の性質が証明されたのです。

2012-03-03 22:36:33
S.M @shingoo2

15.その性質を利用した電子顕微鏡の話に戻ります。原子の中の電子の波長は10のマイナス10乗ですが、原子を観測するには電子のエネルギーを高める事で、振動数を上げ、その波長を短くする必要があります。

2012-03-03 22:36:45
S.M @shingoo2

16.そして、原子にぶつかった電子は弾き飛ばされ、その反応は対象の形で決まります。ですので、電子の反応を調べることで観察対象の形がわかるわけです。

2012-03-03 22:36:54
S.M @shingoo2

17.また加速器も、これと同じ仕組みでできています。その一つは、LHCと呼ばれる一周27kmもある大型加速器で、加速させた粒子同士をぶつけて反応を観察するものです。

2012-03-03 22:37:18
S.M @shingoo2

18.宇宙誕生時は、粒子がバラバラの状態で飛び交う高エネルギー状態でしたが、この加速器は創成期の宇宙の状態を再現する機械とも言えます。 このように、顕微鏡、加速器などの技術の発達により、私達は暗黒時代の壁を超えて創成期の宇宙を見ることができるようになったのです。

2012-03-03 22:39:49