重信康先生の、TRPGデータ作成のノウハウ
お客様から質問があったので、TRPGのデータ(特技、アイテムなど)作成における自分のノウハウについて、突発的に少し語ってみたいと思います。いくらか長文が連続しますがご容赦ください。
2012-03-06 22:16:08自分がデータメイカーとしてまず肝に銘じているのは「データは読み物である」ということであり、ルールブックやサプリメントにおける他のパート、あるいはリプレイ同様に「読んでいて面白いこと」を心がけるという製作スタイルです。
2012-03-06 22:17:44すなわち、データのパートを読む人の興味を惹き、流し読みの目を止めさせ、「これは使ってみたい!」と思わせ、プレイ仲間との話題にのぼって、最終的にセッションのモチベーションを喚起すること。それがデータというものが持つ重要な役目だと考えています。
2012-03-06 22:19:44これはもちろん、実際の使い勝手や可読性、バランスなどを二の次にしてよい、という意味ではありません。本来の役目、実用品としての役を果たせなくなってしまっては本末転倒ですからね。
2012-03-06 22:21:21さて、何をもって「読んで面白い」と思わせるかは様々です。格好いい/笑えるフレーバーテキスト、個性的な効果、他のデータと合わせて発生する特殊なシナジーの存在、インパクトのある名称などなど。一定の統一法則を持つネーミングなど、通して読んだ時に見えてくる面白さといった例もあります。
2012-03-06 22:23:10こりゃ楽しみだわい! RT @k_shigenobu: お客様から質問があったので、TRPGのデータ(特技、アイテムなど)作成における自分のノウハウについて、突発的に少し語ってみたいと思います。いくらか長文が連続しますがご容赦ください。
2012-03-06 22:24:48こうした理由で自分は1ページに1~2箇所、何らかの「読み物としての面白さ」を特に強調した部分を混ぜ込むことを意識しています。「心にひっかかる部分」と言い換えてもいいかもしれません。あまり混入密度を濃くすると読み手の感覚がマヒしてしまう危険もあるため、緩急の加減は重要です。
2012-03-06 22:24:57「1ページに」と書きましたとおり、実際に本として完成した時のビジョンを明確に意識しておくことは重要です。データもまた、ひとつの本という一連の流れの一部なのですから。
2012-03-06 22:27:09@k_shigenobu 『時空破断』のハイカラレベル30特技《坂の上の雲》は爆笑しました。生涯に一度しか使えない特技なんて初めて見ました
2012-03-06 22:27:22@wahrheit913 あれはまさに1ページ1箇所のつもりで用意されたポイントですね。30レベル特技に持ってくることで、そのクラスというパートの「最後のオチ」として機能させるという意味もあります。
2012-03-06 22:28:54当然ながら、これはあくまで基本的なスタンスであって、ゲーム自体のカラーやサプリメントのコンセプトなどに左右されますし、さまざまな理由による例外もあります。
2012-03-06 22:29:21たとえば仕事人(『天下繚乱RPG』)やバーニングナイト(『セブン=フォートレス メビウス上級データブック』)のように「全部愉快なことが書いてある」こと自体が個性のクラスもありますしね。その場合は他のクラスとの温度差自体が面白さに繋がります。
2012-03-06 22:30:41また、データもまたそのゲームの持つ世界観や、想定するプレイ風景を反映し補強するものです。たとえばきわめてヒロイックな冒険が想定されるゲームならば、名称からフレーバーテキストの文体に至るまでそれが徹底されているべきですしね。
2012-03-06 22:38:29サンプルキャラクターがどんなデータを持ち、それが運用された時にどのようなイメージが喚起されるか……といったことまで、データと他のパートが有機的に連結していることが、面白さや格好良さ、そして「使ってみたさ」に繋がると考えています。
2012-03-06 22:41:52@k_shigenobu 天下繚乱ギャラクシーで、君が収録当日に持ってきたアストロノーツのデータも、特技名を宣言するだけで初見なのに「行動している情景」を想像できたもんねぃ。あれはすごい。
2012-03-06 22:44:25初めて買ってきたゲームを遊ぶお客さまが、世界観などをあまり読み込まずにとりあえずセッションに臨んでも、そのゲームならではの魅力や個性、PCがどういった存在か……といった諸々が、データの面からも自然に伝わること。それが理想ですね。
2012-03-06 22:44:35@tanakaten 上手くいったようでなによりです。自分がデータを作成する時、それが使われた時のビジュアルを絵や映像として脳裏に投影して、そのイメージを逆にデータに落とし込むという手を使ってますね。
2012-03-06 22:47:04このため、データ作成において「かっこいいもの」「面白いもの」「美しいもの」その他の引き出しはとにかく多い方が望ましいです。漫画、小説、映画、ゲーム(電源/非電源)、プラモ、音楽etc……とにかく片っ端から蓄積することをおすすめします。
2012-03-06 22:50:38ちなみに自分が多くを学んだ師匠たちに言及しておきますと、まず筆頭は三輪清宗先生(この人の凄さは枚挙に暇がありませんが、『異界戦記カオスフレア』の「宣言しているだけで場が盛り上がりフレアが乱れ飛ぶ」データは神懸かり的です)
2012-03-06 22:58:08『トーキョーN◎VA』の中村やにお先生からは色んな小技を盗ませていただきました。『駅前魔法学園!!』の藤浪智之先生の影響も大きいです。初代ビーストバインドの「相手が2D6年後に死ぬから《約7年殺し》」は天才の発想です。
2012-03-06 23:01:39