重信先生のデータ作り方講座その2『関連性って大事』
- saikoromama
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今回はやや具体的な話です。前回「面白いデータ」について語りましたが、ではそれはどこから発生するのか? 何を意識すればいいのか? これについて自己流の、あるいは人から学んだノウハウを開陳します。
2012-03-07 23:30:01自分が考える「面白いデータ」の基本とは「連関性を持つデータ」。さまざまな要素で「外と連結」しているデータを作ることです。この連関性のことをシナジーと呼びます(TCGなどでも使われる用語ですね)。
2012-03-07 23:31:23わかりやすい例を挙げます。あるクラスに「マイナーアクションで飛行状態になる」という特技があるとします。これだけだと別段なんてことのない、さして面白みのないものに見えます(これを単独で面白くする手法もいくつかありますが、今回の主旨とはズレるので省きます)。
2012-03-07 23:33:08しかし、その隣に「飛行状態でのみ可能な、強力なメジャーアクションの攻撃をする。使用後に飛行状態が解除される」という特技が並んでるとどうでしょうか。がぜん、セットで運用する面白みと、「空中に飛び上がって急降下攻撃する」という一連の具体的ビジュアルが呼び起こされるはずです。
2012-03-07 23:35:09ここで重要な点は、後者に関連付けられることで前者の特技にも文面以上の魅力が付加される事実です。「飛行状態」という共通ルールを用いながらにして「この飛行状態は攻撃の予備動作としてのジャンプなのだ(=他の飛行状態とは一味違う)」というイメージさえ喚起されるはずです。
2012-03-07 23:37:38これが一連の動き/ビジュアルを解体して、連関性(シナジー)を持つ特技に分割するやり方の基本です。もちろんテクスチャ面も「喚起したいイメージ」に合致させ、後押しする必要があるのは言うまでもありません。これで名称が《遊覧飛行》と《アッパーアタック》だったりしたらダイナシですね。
2012-03-07 23:39:56同様に「強力だが使用後バッドステータス狼狽を受ける大砲」と「狼狽を即座に打ち消す姿勢制御用アンカー」(共に特定メカの専用アイテム)が揃っていれば、凄まじい発射の反動をアンカーで相殺するという絵面のみならず、その世界における兵器運用形態の一端までデータで見せられるのです。
2012-03-07 23:42:27あるいは特定の流派を表現するクラスに《●●流:××》という命名法則の特技が並んだ上で、《●●流:》すべてを強化するデータが高レベルに存在すれば、ひとつの技術体系の存在とそれを極めていく実感がより強く得られるでしょう。これも連関性のひとつです。
2012-03-07 23:44:46背景設定との連関性も重要ですね。「混沌の魔神と戦うために作られた種族なので初期から魔法耐性を持っている」「物事をとかく慎重に進める文化なので他クラスより【行動値】の伸びが緩やか」などなど。
2012-03-07 23:46:59変わった所では、バランスとの連関性、というものもあります。「初期レベルで取れる呪文の中でひとつだけやたら使い勝手のいいものがあり、そのクラスのカリスマ的代名詞となっている」などの手法ですね。これは他のデータ群と関連付けられて初めて認識され、スタンドアローンでは成立しません。
2012-03-07 23:49:14いずれにしても要点は、ひとつのデータをそのデータ内だけで完結させず、外への広がりを持たせることです。そのために必要なものが例に挙げたような、さまざまな連関性のとっかかり、言わば連結ジョイントの存在です。
2012-03-07 23:52:45で、実はこれが先日書いた「プラモを作るとデータの参考になる」に繋がります。プラモデルには数々のジョイント、連結可能部位が存在し、組み替えることで多種多様な表現や改造、変形、カスタマイズができたりします。連結の重要さ、楽しさを実感する上で大いに役立ちます。
2012-03-07 23:54:59具体的にはうちのユニコーンガンダム(http://t.co/VBI8hQld)は今こうなってます。先月はまた別の姿でした。こうして手を動かすことで得るものは多いです(もちろんアクションフィギュアとかでも可)。いや本当に。 http://t.co/4sjCecum
2012-03-07 23:58:45データ作成におけるシナジーの部分は強く認識していなかったので、重信先生のお話は本当にためになる。実例を挙げての解説は本当に勉強になります。
2012-03-07 23:59:04ちなみにこの上半身と下半身、改造や接着せずに既存のジョイントで繋がってます。むしろ、なぜか同サイズのジョイントが存在し、説明書には書かれてない遊び方ができるようになってます。素晴らしい「シナジーを持つデータメイキングによる、キャラメイクのモチベーション喚起」の例です。
2012-03-08 00:00:08@k_shigenobu シナジーを発見したときの「気づき」は脳内の快感につながっていて、その発見の歓びが、まずルールブックを読んでキャラを作ったぞ! さあゲームをしよう! という導線につながってるんだよね。
2012-03-08 00:01:40@u_kodachi ですね。そこに人間が快感を覚えるから意図的に仕込む、というノウハウは鈴吹社長も昔からおっしゃってますし。
2012-03-08 00:03:51やや話がズレましたが、まずはこうした連関性を常に意識することがデータメイキングの基本となります。スタンドアローンで面白いデータも存在しますが、時にはそれすらも「連関性の外にいるという連関性」だったりします。
2012-03-08 00:04:28そしてここでも礎となるのは、ゲームの全体像やプレイ風景(キャラメイクや成長含む)を具体的に想像するビジョンです。それはゲームを遊ぶこと、遊び続けることでしか得られません。それとゲーム外からのアイデア(先のプラモなど)を両の車輪にして、自分は今日もデータを作っています。
2012-03-08 00:07:37