電脳マヴォの「家族喧嘩」がおもしろい件

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

#電脳マヴォ、今朝未明にアクセスカウンター４万越えたみたいですが、そこからの回り方が結構キテます。本日だけで１０００は増える勢い。http://t.co/ll8OMTfk

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

１）本日更新した「家族喧嘩」、見開きビュワーで見るとタチキリがノドに食い込んでいます。普通タチキリは小口に向けて開くのが鉄則。なぜこうなったかというと、実はこの作品、絵が入ってない文字だけの表紙があったのです。http://t.co/DiREtrPQ　#電脳マヴォ

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

２）本来の作者の意図では、表紙を開いて「あかね、ご飯よ」の大アップに繋がる予定でした。しかし私は、それだと２ページ目と３ページ目が見開きで一望できてしまい、あかねの画風と家族の画風が異なることのネタバレになると思いました。http://t.co/DiREtrPQ　電脳マヴォ

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

３）この作品の面白さは、長女と家族の画風が違うことのおかしさにあるので、長女の少女漫画風アップをまず読者に印象づけてから、ページをめくって初めて大友調家族が登場する構成にしたほうが、「作品の狙いとしても」そのほうがいいと判断し、文字だけのトビラを取ることにしました。#電脳マヴォ

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

４）普通、タチキリのような演出は作者の意図を尊重しなければなりませんが、「作者が作品の意図を損なう演出をしている」と思われる場合、編集側が指摘をし、修正をお願いすることになります。それが作者の意図的な表現であれば別ですが、単純に勘違いしていることも多いのです。#電脳マヴォ

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

５）普通そうした修正はネーム段階で編集が指摘し、ペン入れ前に修正されることがほとんどですが、この作品は完成原稿で提出されたため、修正は不可能でした。これは水野さんの責任ではありません。実際課題で受け取ったときは私自身「これは完璧な作品だ」と思ったのです。#電脳マヴォ

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

７）「家族喧嘩」は特殊例ですが、マンガは載せる媒体の特性や方針によって表現を替える必要が出ることがあります。漫画家は作品の完成に責任を持ちますが、掲載する媒体は、編集者が責任を持ちます。作者の意図と媒体の要求がずれている場合、編集が指摘して調整することになります。#電脳マヴォ

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

６）つまりこの作品は雑誌掲載前提ではなく大学の課題として出されたので、オリジナルはあれでよかったのです。ただいざ雑誌に載せる段になって、トビラを入れたら作品意図が損なわれるのではないかと俺の中で懸念が生じ、トビラを外したらコマの流れが遥かにスムーズになりました。#電脳マヴォ

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

大学１年でこのレベルなら、大したものだと思います。ショートとしてのアイデアも悪くないし、漫画ならではの視覚的表現となっていますしね。では、彼女が自分の生徒だったら？　作品の完成度を高めるために、いくつかアドバイスが出来るでしょう。 http://t.co/wO29MAPO

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

.@mogura2001 、私も「家族喧嘩」について書いていました。私はタチキリが小口ではなくノド側になった編集的な事情を描きましたが、土竜さんのおっしゃることもわかります。私の講義は実習ではないので、ネームから指摘することができなかったのです。#電脳マヴォ

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）作品として、少女漫画的な表現と青年誌的な表現の混合の違和感、というアイデアはいいので、ここを活かそうと思ったら、導入部は少女誌的な表現の導入部から入るよりも、青年誌的な表現から入った方が『異物感』は増しませんか？　最初に少女誌的な絵柄から入ると、インパクトが弱まりませんか？

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）作品作りでけっこう重要なのは、フィクションライン（リアリてョーライン）をどこに設定するか、という問題があります。座った時に惜しいに刺さった針の痛みで飛び上がって天井を突き破る表現が是の作品なのか、針の深さに救急車を呼ばないといけない作品なのか、といいような世界観の問題です。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）今はもう、猫も杓子もファンタジー化していて、そこらへんの意識が薄い作品が多いのですが、割と重要です。そのようなフィクションラインと同じぐらい、作品の中のルール……目が顔の面積の３分の１を占めるとか、脚の長さが胴体の２倍の登場人物でもＯＫとか、最初に提示する必要があります。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）であるならば、割とリアルな等身バランスの世界を最初に提示して、そこに少女漫画バリバリの絵が紛れ込んでくる違和感と、少女漫画の世界が青年誌的世界に入り込んでくる違和感と、どっちを優先するかという問題があります。自分だったら、前者のほうをお勧めします。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）そこの方針が決まったら、演出を逆算します。最初の１ページ目は、先ずは家の外観は中途半端にトリミングせず、４分の１段か３分の１段を贅沢に使って、青年誌的な高密度の自宅のカットから入って、コマ割りも断ち切り無しのオーソドックスな形にして、タイトルも楷書系でキリッとまとめる、と。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）で、ページをめくった２ページ目に、いきなり断ち切りコマに花やトーンが飛ぶ少女誌的表現と主人公の顔アップが来る演出から、逆算した１ページ目の残りのコマの構成を考える必要があります。『家族喧嘩』というタイトルを最大限に活かすなら、主人公という異物が加わることで壊れる形が必要。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）１ページ目は、１コマ目が家の全景、２コマ目が食卓の家族、出来ればココは「途中から始まる日常」の演出が欲しいところです。「…って言うんだぜ、バッカだろ？」「でも吉田くんらしいわ」「ハハハ、父さんも同じようなもんだったぞ」みたいな、文脈はわからないけれども雰囲気を伝えるコマ。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）で、３コマ目で、２階の娘に早く来るように促す母親のコマを入れて、最期のコマは元の絵と同じく階段を降りる娘の脚のコマで問題なし。ただしコマの左側、断ち切りの部分に柄トーンを貼ることで、日常を破壊する違和感を持った主人公登場の伏線、つまり『予兆』のシーンとして配置します。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）作者の絵を最大限に活かすなら、２ページ２コマ目の絵を１ページ２コマ目に配置し、先に書いた和気藹々の風景としてアレンジ。母親が娘を呼ぶ３コマ目に、父親と息子の会話を手書きで入れるという細かさがあってもいいでしょう。そうしたときに、２ページ３コマ以下の沈黙が、より活きませんか？

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）蒼の流れは悪くないし、姉の世界観が弟の世界観を侵食する見せ方とかは上手いなぁと思います。で、冒頭部分を以上のように改変したら、あとは枝葉の部分でちょっとアドバイス。まず、この作品は青年誌的な世界と少女誌的な世界の違和感が最大のポイントですから、そこを活かす必要があります。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）では、青年誌（男性誌といってもいいですが）と少女誌の違いは何か？　技術的な部分は枝葉です。『MANZEMI』でも書きましたが、男性と女性では、微妙な表情の読み取り能力が、女性のほうが優れているという側面があります。ただし、利点は欠点とも表裏一体です。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）微妙な表情、曖昧な表情の中の気持ち、表情の微妙な変化による心の流れを読み取る能力に長けた女性の場合、ともすれば顔の表情の描写が続いて、バストショットからアップのコマが続く生首マンガになりがちです。その視点で『家族喧嘩』を、分析的に、ちょっと引いて眺めてみましょう。

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）そうして見ますと、最期のコマ以外はバストショット以上が続く、非常に少女誌的な表現になってします。作者が女性ですから、コレは当然です。でも、男性誌的表現と少女誌的表現の違和感をより視覚的に見せるなら、ココらへんの差異も。もっと誇張・強調してもいいんじゃないでしょうか？

喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

承前）少女誌的な表現と逆説的に、男性誌では表情の細かさよりも、動きのほうがより読者に訴求します。歌舞伎で言えば女性誌は和事・男性誌は荒事的なくくりができます（そうでない作品も数多くありますが、一般的傾向として）。食卓という動きが少ないマンガですが、ロングをも少し多めにしたい所。