覆面官能小説家(ストーリーまとめ)

覆面官能小説家(ストーリーまとめ版) 山田雄司28歳。あるときは会社員、またあるときは青春小説家「山元雄太」しかしその正体は! 覆面官能小説家「土方喜三郎」! それは愛する妻、望南果(もなか)には秘密の顔だ。だが、秘密はいつかは漏れるもの。こぼれたミルクは返らない? 君が僕を拒むなら、僕が君を壊してあげる。さぁ・・・始めようか? これに関しては #覆面官能小説家 をつけて頂けるとまとめます♪ どうかよろしくです♪ 続きを読む
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タロ @taro_konohana

だが、下皮はその端正な美貌に冷たい嗤いを浮かべるばかり。それはまるで雄司の動揺を、必死の足掻きを楽しんでいるかのような愉悦を含んでいた。それも、これまでの下皮が雄司には見せたことのない一面で。雄司を混乱へと導くばかりだった。「こんな…こんな下皮さんは知らない…」 #覆面官能小説家

2012-04-03 22:31:21
タロ @taro_konohana

カウンターの下で握りしめた掌に爪が食い込む。大切な…そう、雄司の中に確かにあったはずの大切なものが掌から離れていくようで…雄司はそれに怯えた。もな、青春小説、小説家の夢…そして下皮。これまで雄司が大切にしてきた幾多のものが気がつけば掌をすり抜け、落ちていく。 #覆面官能小説家

2012-04-03 22:28:04
タロ @taro_konohana

「もなに協力って…どういうことですか!?」今度は雄司が鋭い視線を下皮にむける番だった。「もし…もし僕がそんな小説を書くにしても…そんなこと、もなに言えるわけないじゃないですか」それは、誰よりも雄司の青春小説を応援していてくれる彼女への手酷い裏切り行為にも思えた。 #覆面官能小説家

2012-04-03 22:16:07
オリガミ @seiyaorigami

「興奮しているんだね、もな。いけない子だ」「ゆ、雄君見ないで、見ちゃ嫌」慌てて手で隠そうとするもなの手を押さえる雄司。「ダメ、じっくり見せて」焦がすような熱い視線にはげしく羞恥を覚えるもな。だけど身体は・・。胸の先が疼いてさらにその存在を主張した。#覆面官能小説家

2012-03-24 10:55:48
オリガミ @seiyaorigami

「きゃ!」雄司はリビングに入ってきたもなを後ろからそっと抱きしめた。「ゆ、雄君?」うろたえたようなもなの声に自然と口角が上がった。少し震えているようだ。これは恐怖で?それとも・・期待で? 雄司はもなの身体を覆っている無粋なタオルをそっと身体から引き剥がした。#覆面官能小説家

2012-03-24 10:35:10
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

雄君が望むなら……。まずは風呂に入ってからあの下着を身につける。繊細なレースに可愛らしいデザイン。しかし本来の機能を一切果たさない姿に一人赤面した。「雄君?」リビングの照明は消されている。不審に思いながらも大判のタオルを体に巻き直して、おそるおそる足を運ぶと…… #覆面官能小説家

2012-03-24 10:20:43
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

「なに、これ」雄君が出版社パーティーのビンゴで当てた紙袋を開けるとそこには「…セクシー下着?」「ちょ、ヤダ! 何でこんなものが景品なのよ! だいたい雄君はこんなの趣味じゃなーー」「着て」「えっ?」「着て」「ええっ!」雄君の目、ギラギラしてるんですけど!本気!? #覆面官能小説家

2012-03-24 09:45:45
タロ @taro_konohana

雄司の戸惑いを感じ取ったのか、薄く微笑む。「確かに私は急ぎすぎたようです。驚かせたのならば謝ります。…ですが」そこで一端口を切る。「貴方には官能小説を書いて頂きます。そのための努力ならば怠りません。…勿論、もなさんにも協力して頂きます」その顔には微笑はなかった。 #覆面官能小説家

2012-03-24 02:03:29
タロ @taro_konohana

雄司は下皮の弁舌の勢いにただ圧倒されるだけであった。まさか、下皮がそのようなことを考えていたとは…。普段、冷めた彼と同じとは思えない! だが、未だ雄司には分からない。彼の一体何が下皮の心の琴線にふれるのか、下皮の言う「毒」が何を指すのか…雄司には分からなかった。 #覆面官能小説家

2012-03-24 01:50:34
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

雄君の青春小説は私も読んでいる。あの方向性を打合せから雄君の執筆に懸ける気概は大きく変わったけど正直文体には表れていないと思う。瑞々しく生命力に満ちた文章が雄君の良さなんだから、変えられたら嫌だな。一つ生活に変化があった。それは下皮担当編集が家に出入りする事だ #覆面官能小説家

2012-03-19 11:09:56
タロ @taro_konohana

「貴方と初めて会った瞬間、私は確信しました。この男には官能小説を書く才があると。…貴方の書くものは青春小説としては想像力に富みすぎ、文章はときに毒のように読者を刺す。少しの毒ならいい。だが…貴方の毒は違う。甘く、痺れさせ…読者を昏き深淵の淵まで引きずりこむ毒だ」 #覆面官能小説家

2012-03-18 23:54:32
タロ @taro_konohana

「言ったはずです。貴方には官能小説を書く才があると。…読者うけ? 下らない」下皮はさも馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに吐き捨てた。「私には分かっています。その取り繕った薄皮を剥げば、貴方は誰よりも淫らで官能的なまでに傲慢になれる男だと。そしてそれを…私は見てみたい」 #覆面官能小説家

2012-03-18 23:44:21
タロ @taro_konohana

ぴたり、と合わされた視線に、なぜか背中が震えた。下皮の眼鏡の奥の瞳が今度はよく見える。その唇にはあいかわらず微笑が浮かんでいるのに、その瞳はけして笑っていない。恐ろしく冷たい視線だ。鋭く、獲物を鋭利に嬲り切り刻む視線。だが…それはいつか、どこかで確かに見た色で。 #覆面官能小説家

2012-03-18 02:22:23
富樫 聖 @togasi_sei

すけすけのテディを手にするもなの姿に雄司の喉がごくりと鳴った。編集者の下皮に渡された袋の中に入っていたのはセクシーな下着。やられたと思う前に雄司の欲望がドロリと頭をもたげた。あれを来た彼女が見たい。そして触れたい。・・汚したい。そう思う心を止められなかった。#覆面官能小説家

2012-03-24 10:02:22
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

「も、もうだめぇ…」「まだだよ。まだ足りない」激しく求められ、翌日に響くことも増えた。何故こんなことになったの?と記憶を辿っても、あの担当と話し合ってきた日からだとしか分からない。ああ、今夜も欲しがられるのかな…と気持ちは滅入ったが、どうしてか体は疼いていた。 #覆面官能小説家

2012-03-18 01:31:02
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

それからの雄君は執筆活動に力を入れ、私が寝た後も夜書いているようだ。体調崩さないかどうかが心配で、と伝えても「ん?大丈夫だよもなたん。ほら、俺はこんなに元気だってば」「きゃっ!」ノートパソコンをたたみ、私を抱き寄せるとベッドに直行。――何故か夜の回数が増えた。 #覆面官能小説家

2012-03-18 01:30:57
タロ @taro_konohana

溜息のような、むしろ雄司を嘲笑うような吐息を下皮が吐く。「読者…うけ?」その驚くほど冷たい声に、反射的に雄司は面を上げた。「…本当に君って人は…」薄い唇が弧を描くも照明の反射で眼鏡の奥の表情は見えない。「…救いようのない馬鹿ですね。そして君自身を知らなさすぎる」 #覆面官能小説家

2012-03-18 01:07:38
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

涙ながらに問い詰めると「担当と方向性について話し合っていた。うん、もう俺大丈夫だから」スッキリした表情に嘘は無い。鬱屈した気配が綺麗に無くなっているのをみて、もなはようやく手にした鶏のぬいぐるみを放す。実は『酉め!』とぬいぐるみに当たっていたのはナイショだ。 #覆面官能小説家

2012-03-18 00:55:52
タロ @taro_konohana

下皮に指定された場所は小さなバーの一角だった。控え目な橙色の照明がグラス類をぼんやりと浮かび上がらせる。「官能小説って…どういうことですか?」雄司は問う。だが、目の前の男は唇に微笑を刻むだけ。握りしめた指が震える。「僕に…読者ウケを目指せ、ということですか!?」 #覆面官能小説家

2012-03-18 00:55:02
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

悶々と悩む日々が続いたある時、雄君がふらりと出掛けた。小説に行き詰ると散歩に出るのはよくあることだから「いってらっしゃい」と送り出す。しかし夜半過ぎても一向に戻ってこない。とうとう愛想を尽かされたと落ち込んでいたら「あれ?どうしたのもなたん」と能天気に帰宅した #覆面官能小説家

2012-03-18 00:46:58
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

「ん、ゆうくん」「…っ」ふぅと軽く息を吐いた雄君は、以前だったら私を抱き締めそのまま朝を迎えていた。今の雄君は義務を果たしているに過ぎない淡白さ。どうして?私に飽きたの?ごめんなさいと呟けば、その場は謝り倒すと言っていい程私に謝罪を述べるのに直ぐに元の木阿弥。 #覆面官能小説家

2012-03-18 00:40:41
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

「これだけじゃ暮らせないから」と生活費の為、大学卒業と共に就職して二束のわらじ生活を続行。資格を取っていた私は定時で上がれる職を選んで、雄君を支える生活を始める。それでも思うように行かない雄君の苛立ちは、私に向けられる事は無いものの次第に暗く深めていった。 #覆面官能小説家

2012-03-18 00:38:47
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

雄君の青春小説、売れ行きは思わしくない…らしい。私はとても好きなんだけど、爆発的に売れるという要素が無いからです、と担当は冷静に分析をしていた。それでも次回作を進めるのは雄君が能力を持っているからだと思う。私はそんな彼にせっせと身の回りの世話と夜食を用意する。 #覆面官能小説家

2012-03-18 00:37:31
༺ とり 𓅛 ༻ @okametori0331

一線を越えたのは大学生の頃。雄君は優しく、お姫様のように私を扱う。私の呼吸に合わせ肌を味わい、共に昇る快感。「雄君…やっ、」「…ごめん。怖い?」「う、ん」暗闇で、玄関で、キャンパスで。時折、雄君のスイッチが切り替わる。そんな彼を少し怖いと思ってしまう私がいた。 #覆面官能小説家

2012-03-13 14:10:34
タロ @taro_konohana

@togasi_sei 雄君・・・(涙) 第一作のテーマ「女子高生」は二人の出会いから結ばれる絆=緊縛 第二作のテーマ「兄妹」 家族としての二人、離れられない絆、執着と禁忌 第三作のテーマ「夫婦」表には出せない妄執と支配したい、されたい願望を拉致監禁という手段で描き出す・・・怖っ

2012-03-13 01:47:29