逸話力:作品の評判は品質だけでは決まらない
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ダ・ヴィンチによるモナ・リザの絵画は、仏ルーヴル美術館でじかに見ても、案外、抜きん出た最高傑作という感じではないらしい。では、なぜ評判が高いのかというと、一説によると盗難事件が起きたからだという。
2012-03-13 19:45:33イタリア出身のルーヴル美術館職員が愛国心を駆り立てられ、モナ・リザをダ・ヴィンチの故郷・イタリアに連れ戻そうと盗みを働いた。盗み自体は成功したものの、地元の美術館に回したところを捕まった。で、犯人の気持ちにも一理ありと考えたルーヴルは、返還前にイタリアで巡回展示を実施した、と。
2012-03-14 21:30:14こうした一連の出来事がニュースや社説として話題となり、ダダイストが元ネタとしてオマージュに使ったりしたこともあり、それまで数ある名作のひとつに過ぎなかったモナ・リザの評判が上がって最高傑作の地位に座するまでになったのだという。
2012-03-13 19:54:56モナ・リザの例を出して私が何を言いたいのかというと、作品の評判は、それ自体だけで決まるものではないのだということ。たしかにモナ・リザは意味深な微笑のあたりなど、技工をこらして作られた名作ではあるが、盗難事件の前までは特別扱いされる傑作ではなかった。
2012-03-13 20:01:14たぶんこれは文章作品にもあてはまることだろう。作品の内容だけでなく、作者の個性でもっても作品の評判は上がることがある。昨今流行りのタレント本小説は、まさにこの点をうまく売上げにつなげている。なにしろ、作者はすでにテレビで活躍している人たちで、印象的な逸話には事欠かないから。
2012-03-13 20:10:42仙人みたいに、あるいは原理主義者みたいに作品を書くことだけに集中しても文脈は生まれない。誰か支配的な影響力を持った大御所に偶然見初められるのを待つのではなく、自分で自作品にまつわる逸話を創りだしていかないといけない。
2012-03-13 20:33:04逸話を生み出すこと。それが、ただ拡散希望って書いてリンクツイートして、リンク先の作品を読みもしない同類たちにリツイートされて、見かけのアクセス数だけ増やして満足するよりも実質的なプロモーション活動というものだと思う。
2012-03-13 20:36:55