横溝正史関連雑文集成1

初期の短編から有名な大作まで、つぶやきの詰め合わせ。
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カルヴァドス @cornelius0321

「三酸図」というのは、横溝さんの創作ではなく、水墨画の題材として昔から好まれているらしい。辞書などで調べてみたら、蘇東坡・黄山谷・仏印禅師の三人が、桃花酸という名の「お酢」を舐めて、「酸っぱい」と顔を顰める構図にするのが、お約束だ。

2011-05-15 22:56:28
カルヴァドス @cornelius0321

掛軸にしたのもあるが、屏風にしたのが「三酸図屏風」だ。絵師によっては、蘇東坡・黄山谷・仏印禅師を孔子・老子・釈迦に置き換えて描く者もいる。つまり、儒教・道教・仏教の象徴ということだ。

2011-05-15 22:56:15
カルヴァドス @cornelius0321

で、儒教・道教・仏教の三つが、一つの「酢」を舐めて、酸っぱいと「同じ」感想を述べるというのは、信仰は異なっても真理は同じということを表している。「酢=真理」だ。「真理にたどりつくのは、そんなに甘いもんやおまへんで」ということでもあるだろう。

2011-05-15 22:56:02
カルヴァドス @cornelius0321

堺正章の「西遊記」に、屏風に描かれた七福神が登場するエピソードがある。その中の弁天(研ナオコ)が、夜な夜な屏風から抜け出すから、さあ大変というような話だった。

2011-05-15 22:55:52
カルヴァドス @cornelius0321

1970年代末のドラマの特撮技術で「屏風から人が抜け出す」というのが十分表現できたということだ。ということは、もうおわかりだろう? 「英泉さん」の場面が撮影できたはずなのだ。視覚的にもインパクトがあっただろうに…。

2011-05-15 22:55:38
カルヴァドス @cornelius0321

三酸図の酸が実は「お酢=真理」であるなら、辰弥が「酢の物ぎらい=事件の真相を知らない」なのは単なる偶然だろうか。<この話題終わり>

2011-05-15 22:55:26
カルヴァドス @cornelius0321

「病院坂の首縊りの家」だけがなぜ明朝体ではないのかという疑問をお持ちの方は、http://www.bookdom.net/suiyosha/1400yomim/1448ichikawakon.html をご一読ください。

2011-05-15 00:40:52
カルヴァドス @cornelius0321

市川崑の映画でおなじみの「石井特太明朝体」がどのような背景で誕生したかを詳細に論じた、いわば「決定版」ともいえる本です。写植やアートデザインの専門書としても非常に面白いです。

2011-05-15 00:40:38
カルヴァドス @cornelius0321

金田一シリーズのオープニングの明朝体のルーツは「太平洋戦争前後の時期の新聞見出し」だそうです。しかし、病院坂だけは、昭和四十年代まで続くので、明朝にしなかったのではないかというのが小谷氏の説です。

2011-05-15 00:40:25
カルヴァドス @cornelius0321

小説を映画化やドラマ化する際、ほぼ原作通りにいくか、それとも大幅に改変するかは、制作側にも視聴者側にも大きな問題です。

2011-05-15 00:40:16
カルヴァドス @cornelius0321

昨年毎日放送版「森村誠一シリーズ」がようやくDVD化されました。その中で、「人間の証明」は、八杉恭子(高峰三枝子)の娘、郡陽子(岸本加世子)のモノローグという形で改変されていましたが、これが実に効果でした。改変の成功例でしょう。

2011-05-15 00:40:05
カルヴァドス @cornelius0321

さて、「病院坂の首縊りの家」ですが、原作通りにすると二時間半ではとても足りない。 原作だと、法眼弥生は晩年、自室に引きこもり、御簾のようなものを下して決して顔を見せない人物に設定されています。最後には金田一に「蛆虫」とまで言われます。

2011-05-15 00:39:51
カルヴァドス @cornelius0321

映画に出てくる人力車は、この「自室の御簾」の改変ではないかと思われます。そう考えると、映画オリジナルのキャラクターである車夫の三之助(小林昭二)の存在に大きな意味が出てきます。

2011-05-15 00:39:27
カルヴァドス @cornelius0321

「御簾=人力車の幌」の上げ下げをするのは三之助にしか許されない役割である。弥生が顔=正体を三之助にしか見せないとすると、ただの車夫では済まなくなる・・・・。

2011-05-15 00:39:16
カルヴァドス @cornelius0321

一方、原作の「蛆虫」は、映画では千鶴(入江たか子)の臨終という形に改変されていると思われます。千鶴のいた屋根裏部屋もある意味、人力車と同じく、引きこもれる空間です。

2011-05-15 00:38:40
カルヴァドス @cornelius0321

原作の弥生を、映画では美しい娘(佐久間良子)と年老いた母(入江たか子)の二人の振り分け、原作の弥生の自室を映画では「人力車」と「屋根裏部屋」に振り分けているのではというのが、私の見立てです。

2011-05-15 00:38:29
カルヴァドス @cornelius0321

そうすると、映画も実は原作のエッセンスをうまく利用しているのではないかと感じられるのです。<この話題終わり>

2011-05-15 00:38:17