恋火の魔神解体ショー⑤(しかにあ)

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 事も無げに言われ、言葉に詰まる。「笑っていて欲しいし、喜んで欲しい。……願いを叶えて欲しい」ふと、鈍い痛みが胸を衝いた。「もしもまだ気づいていないなら、『皆が幸せになる』の『皆』に、自分を入れる事に、気づいて欲しい。……その辛さも、嬉しさにも」 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s そっと、青年のほほに手をおく。「あなたは、本当によく彼女を見てるのね？」 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 魔神の触れ方は、誰かに似ていた。懐かしい誰か――　「どうでしょう。いつもそばに居るわけではないですし」会っていた時間もそう多くはない。「会う度に泣かせてる気がしますし」 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 「それは、あなたが離れがたくおもうのといっしょかもしれないわよ？」 そのままおでこをこつんと合わせる。「泣かせるたびに胸が痛むのではない？」「その温かさに触れていたいと願うほどに」「大切、と全てくくるには苦いような」 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 「……同じ場所には留まれません。それは、私自身望んだことで、変わらない」覗き込んでくる目に、ふと浮上する思い出。（――どうしたの、シュカ）（どこかいたいの？）「……はい。とても。……優しい話だけ、出来たらいいのに、どうしてもそうはならない」（続 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 「見ていて本当に辛いです。けれど。私が流しそびれた涙を、代わりに流してくれているようにも、思えました」苦いものが広がる。笑うしかできない。「いとおしい、のだと思います。……優しいものだけでは、くくれない」彼女と、彼女の師の業。そして私自身の業。 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 「あなたのここには、確かにあのこの笑顔があるのね」 ふわっと笑いながら、自らと向き合う青年の頭をなでる。「だれよりも、だれよりも そこを照らす明かりのようなそれが」 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 「はい」驚くほど素直に、頷いていた。それだけで、不思議と気持ちが軽くなる。「磨り減るほど心配なときも、自分が為すべきことに迷っても、……思い出せば」言葉にならないままでも。「だから、ここに来ようと思えました。私自身の為に」――喜ぶ顔が見たい。 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s いい顔だ。これが、彼女の【大切】 なひと。「答えは、でたんじゃなくて？」 にっこり #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 「そう、ですね……」少しだけおかしくなる。自分の事に関しては、本当に難しい。「有難うございます。一人で考えているだけでは、答えは出なかった」魔神だからではなく、目の前の存在そのものに感謝したかった。 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 「何をいうの？」再びどんと、胸を小突く。「答えは最初からあったわ。――あなたの、ここに」 にかっとわらって「あたしをつれていきなさい。力になるわ……そして、見せてほしい。あなたたちのいく末を」 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 「それが出てこなくて、唸っていたのですが」全ての事は、後から見た方が簡単なものだ。「ええと……それは」少し考え、はっと目を見返す。「――魔神との、契約」 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 「あなたはあたしの名前を知らないのね？」にやりと意地悪に笑って答える。「あたしの名前はユーツィーク、砂漠の銀の指。司るは赤き焔」 それ、とランプを示して「それが、あたしのお家」 もっとも「あなたが力を欲するならだけど」(続 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 「なんなら、あなたがそのままあたしをあなたの行く場所に連れてってくれてもいいわ？ それならあたしはあたしで、好き勝手見たいもののために邪魔なものを排除するだけね」 あたしだって、あのこがきにいってるのよとつづけて「どうする？『シュカさん』」 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu ランプの魔神、銀の指、ユーツィーク――まさに、どうして今まで気づかなかったのか。「――あなたが、万を焼く焔」伝承の一節が自然とこぼれる。恐怖は不思議となく、ただあるがままに納得した。「ただ所持するだけか、契約を結ぶか、決めろという事ですか」（続 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu ランプを見つめ、考える。今、この時、欲しいかどうかを。「――怖いですね。事故や過ちのない力はない」問われるのは己だ。「彼女の師は、私の友人の敵でもある。どちらも忘れる事は出来ない。大義があれば、目が眩んで、かの方に使ってしまうかもしれない」（続 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 「ですが」真っ直ぐ魔神を見る。「彼女は、そんなことにしないでみせると誓った。私もそれを望みます」心は足し引きではない。「きっと、彼女は願いを叶える。その助けとなれる為の力を、私は望みます。ユーツィーク」全てを明かし、今、魔神の前に。 #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 強い力が流れ込んでくるのを感じる。「よく言ったわ、力を望む弱き人の子よ」髪が、瞳が、燃えるような。あたしにないもの、欠落を満たすもの。「対価は簡単だわ。あなたたちの行き先が、幸せなものであるように見せて」あたしだって乞わずにはいられないその先を #シカニア

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@shoko_s 「あなたが望むもののために、あなたの剣となりましょう」 #シカニア

さかき松子 @shoko_s

@yotsuyu 存在そのものに圧倒される。歌い継いできたどんな伝説より、鮮やかに。「幸福（それ）はとても難しい」――だからこそ、最後まで考え抜き、目指そう。「感謝します。誓約します。剣に、恥じぬことを」 #シカニア