アールさん物語

機械人形のアールさんが、恩人のタカミチさんとその友人のマカマカさんを助けるために奮闘します。@kei00521@yaki_imonによるリレー小説。
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アールさん物語

ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

アールさんは機械人形です。棄てられていたところをタカミチさんに拾われ、直してもらいました。以来、アールさんはその御恩を返すべく、タカミチさんの家に住み込むようになってしまったのです。……って、今ふと浮かんだ。

2012-03-20 13:48:54
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 そんなある日、タカミチさんのところにお手紙が届きました。古い友達のマカマカさんからでした。タカミチさんはその手紙を読んで驚きました。…と続けてみた。

2012-03-20 13:57:37
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon 手紙に目を通したタカミチさんは、アールさんにあることを教えてくれました。アールさんの名前は、マカマカさんがアールグレイが好きであることから付けられたのです。そして、タカミチさんは言ったのです。……更に続けてみました←

2012-03-20 14:41:09
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 「そのマカマカさんが病気になってしまった。村のえらいお医者様の話ではチャタリン病という病気で、今のところ治す方法がわからない病気なんだそうだ。わしと一緒にお見舞いに行こう」。こうしてふたりは家を出ました。…さらにさらに続けてみた←

2012-03-20 15:18:05
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon マカマカさんは山を越えた先の町に、ひとりで暮らしています。アールさんは、隣を歩くタカミチさんを見上げました。こんなに険しい顔をするタカミチを見るのは初めてです。お月様に二回、お日様に三回会って、ふたりはようやくアールさんの家に辿り着きました。……続く←

2012-03-20 16:54:08
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 マカマカさんの家にはいると、中はしんと静まり返っています。アールさんはふとベッドの方を見てどきっとしました。そこには、おばあさんが、まるで何も入っていない手提げ袋のように力なく横たわっていました。…突然の再開(笑)。そのうち続く←

2012-03-20 20:44:46
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon アールさんが駆け寄り、マカマカさんの手を握ります。骨と皮だけの細い手でしたが、お日様のような温もりが感じられました。安心して息をつくと、マカマカさんがうっすらと目を開きました。ぼんやりとしたままのマカマカさんは、やがてタカミチさんを見つけました。→続

2012-03-20 21:30:06
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 「タカミチさん…きてくださったんですね…」小さいけれど気品のある声でした。「ああ」タカミチさんは短く答えました。アールさんにはそこにはたくさんの思いが込められているような気がしました。「こちらの優しい手の方は…アールさんね、お元気?」…続く

2012-03-20 22:04:24
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon 「はい」と、短く返すのがアールさんの精一杯でした。「身体の方はどうだい?」タカミチさんが労るように尋ねます。マカマカさんは悲しそうに首を振りました。「あの手紙を書いた頃より、ずっとよくないの」答えるマカマカさんは、とても苦しそうでした。…続く

2012-03-20 22:47:36
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 その時、玄関をノックする音がしました。アールさんが扉をあけると、男の人が立っていました。お医者様のポット先生です。ポット先生は見慣れない二人を見て驚いたようでしたが、マカマカさんの表情を見、しばらく考えてから言いました。「あなたがタカミチさんですね」続く

2012-03-20 23:16:50
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon タカミチさんが頭を下げて挨拶します。アールさんも慌ててお辞儀します。ポット先生はニコッと微笑むと椅子に腰掛けました。「マカマカさん、お薬の時間ですよ」そう言って、ポット先生は持っていた鞄を開きました。 #アールさん物語

2012-03-21 08:07:20
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 その瞬間部屋に爽やかな香りが広がりました。夏の朝を思わせる柑橘系のその香りをアールさんは知っていました。ポット先生が薬を出すと、それは思った通りアールグレイの茶葉でした。「さあお薬を入れましょうか」先生が優しく言いました。 #アールさん物語

2012-03-21 13:06:00
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon 「あの……ポット先生」思わずアールさんが声をかけます。「私がお薬を入れてもいいですか?」驚いたように目を瞠るポット先生でしたが、すぐに口元を緩ませて頷きました。「では、お願いしますねアールさん」ポット先生は、茶葉の入った缶を差し出しました。#アールさん物語

2012-03-21 15:04:38
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 アールさんが缶を受け取ろうとした時、先生は他の二人には聞こえない小声で言いました。「でもそのお薬だけでは彼女の病気は治らない。」アールさんは驚いて先生の顔を見ました。「でもあなたなら治せるかもしれない、ただし大きな代償を払うことになる。」続 #アールさん物語

2012-03-21 18:55:51
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon 「大きな代償、ですか?」アールさんは何のことだか見当も尽きません。困った様子のアールさんにポット先生が恐る恐る聞きます。「アールさん、自分のことを覚えていないのですか?」きょとんとしてアールがこくんと頷きました。#アールさん物語

2012-03-21 21:14:23
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 ポット先生が話し始めました。「マカマカさんはかつて素晴らしい機械人形師でした。姿も振る舞いも人とそっくりに作っていた。でもね、心はなかった。ただの機械だったんです。マカマカさんはそれがいやで、何とかして機械人形に心を入れたいと思っていた。」続 #アールさん物語

2012-03-22 01:28:14
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon アールさんはただ聞いていました。どうしてか、落ち着かない気分になっていきます。ポット先生が続けます。「そしてマカマカさんは、自分の心を機械人形のココロに投射したのです。そうすることにより、機械人形は人のようになったのですよ」#アールさん物語

2012-03-22 07:28:10
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 アールさんは先生を見つめています。先生は話し続けます。「マカマカさんは、心の一部を切り取って金平糖に変える方法を見つけた。そしてそれを歯車がわりにして心臓に使うことで、機械人形に心を入れたのです。でもそうするともとの心は傷つき弱ってしまう」続 #アールさん物語

2012-03-22 08:55:40
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon ポット先生は小さな溜息と共に言いました。「チャタリン病とはそういう病気なのです」しかし、とポット先生はアールさんを真っすぐ見つめます。「この病気は、作られた金平糖を持ち主の心に返すことで治るのですよ」もう、アールは全てを分かっていました。続 #アールさん物語

2012-03-22 10:10:03
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 タカミチさんはいつの間にかマカマカさんのベッドの横で椅子に腰掛け、二人でなにか話をしていました。その様子は、長い間連れ添ってきた夫婦のようでした。しばらくの沈黙の後、アールさんはそのグレーの瞳に決意をたたえて先生の方に向き直りました。続 #アールさん物語

2012-03-22 12:46:02
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon 「ポット先生、私の中にある金平糖をマカマカさんに戻して下さい」アールさんの声に迷いや不安はありません。マカマカさんの心から作られた金平糖のおかげで、素晴らしい日々を送ることが出来たアールさんは感謝の気持ちでいっぱいでした。#アールさん物語

2012-03-22 15:03:22
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 タカミチさんとマカマカさんは、不意に周りがひどく静かなことに気付きました。見回しても誰もいません。タカミチさんは不安になり、アールさんを探そうとした時ポット先生が戻ってきました。お盆に温かい紅茶と、澄んだ色の金平糖をのせて。続 #アールさん物語

2012-03-22 22:53:20
ウエダメグミ@ぐら の 休息期間 なんて なかった @kei00521

@yaki_imon 「アールさんはどうしたのですか?」タカミチさんが尋ねると、ポット先生はドアへ目を向けました。「アールさんはティータイムの買い出しに行きましたよ。せっかくなのでみんなでお茶にしましょう、と」ポット先生の脳裏にアールさんのお願いが蘇ります。#アールさん物語

2012-03-22 23:23:15
やきいもん @yaki_imon

@kei00521 「きれいな金平糖ね。」マカマカさんの言葉に、先生は我に返りました。「そうでしょう、とても美しい。この金平糖はね、ちょっと特別なものなんですよ。砂糖のようにも使えるんです。これを紅茶に入れて…さあ、マカマカさん、温かいうちにどうぞ。」続 #アールさん物語

2012-03-23 08:38:46