twblnovel 3月

ハウリル @how_howlite

ゆっくりと沈んでいく底無し沼のような、外へ出る気力を無くす炬燵のような、体中の筋肉が弛緩してしまいそうなぬるま湯のような。心地良さと気持ち良さに、僕は段々と駄目人間になっていく。でも、君に甘やかされながら、君と堕落していくのならいいかもしれない。そう思った。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「君たち、卒業おめでとう。我が校のカリキュラムを全て制覇した君たちの能力は、我々の想像以上に優秀だったと言えよう。……だがしかし、君たちはあまりにも優秀過ぎた。その優秀さを疎む者は多いのだよ。……なので申し訳ないが、君たちにはここで消えてもらうとしよう！」 #twnovel

ハウリル @how_howlite

キュッ、ポンッ。キュッ、ポンッ。延々と卒業証書を入れる筒の蓋で音を鳴らす。「ヤバイ。やめらんねえ。中毒性パない」後ろから聞こえる間抜けな音は小気味よいが、そろそろ煩い。「なんか、お前からチンコ抜く時もこんな音しねぇ？」「死ねぇ！」持っていた筒で頭を殴った。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

怪我を看た仔狐が、幼子の姿で私の庵に訪れた。両手いっぱいに栗を持って、何か言いたそうに私を見上げる。「…くれるのかい？」私が聞くと、仔狐は嬉しそうに頷いた。「ありがとうねぇ」その中の一つを手に取り、殻を剥く。取り出した栗の実を、仔狐の口に放り込んであげた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

仔狐は、たびたび山の恵みを持ってきてくれた。完全に懐かれてしまったようだ。私が住むこの寂しい庵に来るのは、それこそ動物くらいである。私は、この小さな客が訪れるのをとても喜んだ。貰った山菜や木の実を仔狐と一緒に食べたりしては、私は楽しい一時を過ごしていた。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「近頃の子供はませてるねぇ…」「茶化さないで下さい！」茶化すも何も。仔狐から“仔”が取れるくらいに成長した今頃は、私はとうにくたびれたおじさんだ。元より、同じ時間の流れを生きられるとは思っていない。「それでも、あなたを伴侶にしたいんです！」あぁ、若いなぁ。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

永遠に秘めるつもりの恋だったから、今更どうなろうとも傷付かない。「結婚、おめでとうな。嫁さんをちゃんと幸せにしてやれよ」勿論、お前が幸せになってくれたら嬉しいけど。「お前…！お前、俺のことがずっと…！」煩いことを言いそうになった口を、そっと手で塞いだ。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

好きだったクセに。そう言おうとしたら、口を塞がれた。その、いつも熱い眼差しを向けていた目が、淋しそうに細まる。「嫁さんによろしくな」そっと離れた手で、俺に手を振った。「オイ！待てよ！」どんなに呼び止めても振り返らなかった。あんなにも傷付いた顔をしたクセに。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「キッド！はしゃぎすぎて転ぶなよ」「大丈夫だよ！タイガーは心配性だね！」新品だというレインコートで長靴を履いて、パオリンは雨の中を駆けてく。楓もこんな風にはしゃいだことがあったっけな。ふと思い出した。でも、確か次の瞬間には…。「うわっ！」そう、転んだんだよな。 <雨> #同題ss

ハウリル @how_howlite

ちゃんと「さよなら」を言えたらよかったのに。あなたへ。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「ちょっと、早く歩いて！行く所は沢山あるのよ！？」「だっ！わーったからあんま引っ張んな！」デートがしたくてタイガーをショッピングに誘った。でもタイガーは、荷物持ちに呼ばれた程度にしか考えてないだろう。恥ずかしくて手は繋げないから、私はタイガーの手首を握った。 ＜手首＞ #同題ss

ハウリル @how_howlite

「ホモくれ～。ホモくれ～」あなたホモは何処から？「え？何？」学校、会社、病院、芸能界、任侠界の五つの世界をモチーフに、自分好みのホモをプロデュースできちゃう！攻めも受けも年齢もＣＰも自由自在！豪華絵師・声優陣起用！迷えるあなたに『ホモプラス』！今秋発売予定！ #twblnovel

ハウリル @how_howlite

バレンタインにチョコを買ったが、コンビニの店員は残念ながら男だった。買ったチョコを手渡されながら、何かに負けた気分だった。ホワイトデーに同じコンビニで飴を買った。偶然にも同じ店員で、向こうもそれに気付いた。俺は買った飴を、その店員の口に放り込んでやった。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

ウィスキーボンボンで酔っ払う筋金入りの下戸に、ロシア人も真っ青なザル。飲み会で下戸は無理矢理飲まされて、色んな失態を曝してきた。その度に、ザルが下戸をかいがいしく介抱したり家に連れて帰ったりする。しかし、翌日彼等に会うと、下戸が頭よりも腰を痛めてるのは何故？ #twblnovel

ハウリル @how_howlite

冬の水泳部は、屋外のプールで泳ぐことができないから、グラウンドをマラソンすることで持久力をつける。「コッチの持久力もつけような？」とは、我らが愛すべき淫乱部長の、全部員参加乱交の時の台詞だ。キロ単位の遠泳も楽々こなす部長の性欲は、全部員が果ててなお持続する。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

昔、ママに読んでもらったわ。眠り姫は、王子様のキスで目を覚ますの。氷の茨の中で、私は王子様を待っていたわ。「居眠りなんて珍しいね」気付いたら、タワー内の休憩室。うたた寝してたみたい。「キッド、他に誰かいなかった？」「ううん」じゃあ夢で、誰が私にキスをしたの？ ＜眠り＞ #同題ss

ハウリル @how_howlite

「例え擬態で同じ声を出せるようになっても、ブルーローズ殿のように歌うことは出来ないでござる」前に一度だけ、折紙にアイドル業の替え玉を頼んだことがある。にべもなく断られたが。「ローズ殿の歌は、やはりローズ殿だからこそ歌える歌でござる」今なら、その深意が解る。 <声> #同題ssTB

ハウリル @how_howlite

小説の最後を開かない。幸せか、不幸せか、わからないままで物語は途切れる。それは、臆病な二人の結末を示唆してほしくない故の行い。そうやって、クライマックスを繰り返す美しい恋愛は、二人の関係を確実に擦り減らし続けていた。ただ、それすらも愛なんだと思っていたんだ。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

バレンタインにチョコを渡してしまい、告白もしてしまった。それ以来、僕は彼を避けてる。「今日という今日は…！」そんな僕は、何故か鬼気迫る表情の彼に追い回されて、追い詰められた。「告白の返事くらいさせろよバカヤローッ！」思い切りぶつけられた袋の中身は、飴だった。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「あー…。目が疲れました…」「お疲れ。バニーちゃん、ずーっとパソコンと睨めっこだったもんね」「慣れてはいるんですけどね」「でも、ただでさえバニーちゃん目ぇ悪いのに、まばたきすらしないのはおじさん見てて心配だな」「…ずっと見てたんですか？」「……おう」 <まばたき> #同題ssTB

ハウリル @how_howlite

顔が赤くなる、羞恥の証拠。まばたきが増える、緊張の証拠。目線が泳ぐ、動揺の証拠。俯く、消沈の証拠。怒鳴る、激昂の証拠。逃げる、拒絶の証拠。「おじさん、やっぱカリーナに嫌われてんのなぁ」曖昧に笑みを浮かべる虎徹に、同情の視線を向ける者はいなかった。 <まばたき> #同題ssTB

ハウリル @how_howlite

「もう逃げられませんよ、虎徹さん」「いい加減、観念したらどう？」「逃がさない！そして、もう逃がさないぞ！」「タイガーさん、袋の鼠ですよ！」「覚悟してよね、タイガー！」どうしてこうなった。彼らの恋の鐘を鳴らしたＮＥＸＴ（キューピッド）はドコのドイツだ！？ <鳴らす> #同題ssTB

ハウリル @how_howlite

犬の食事の前にベルを鳴らしてから餌を与え続けていたら、ベルを鳴らすと犬が涎を垂らすようになった。この反射反応を「パブロフの犬」という。「おい、キース！」「なんだい！虎徹君！」ブンブンと尻尾を振る犬の姿が見えるが、この場合、キースは何を期待してるんだ？ <鳴らす> #同題ssTB

ハウリル @how_howlite

全力を出せるって、良い意味で子供っぽい。全力で君を信じて、全力で君を愛して、全力で君にぶつかる。君に言わせれば、僕の恋愛はお子様のごっこ遊びみたいだそうだ。それがどうしたと、臆病で大人振りたい君を全力で抱きしめれば、いつだって君は子供のように真っ赤になる。 #twblnovel

ハウリル @how_howlite

「やぁ、折紙君！今日も素敵な夜空だね！」毎夜毎夜窓から侵入してくるこのヒーローを、不法侵入で訴えることはできないだろうか。「でも、窓の鍵は開いていた！つまり、私は招かれている！」まぁ、その考え方は間違ってないのだが、こう、堂々と扉から入って来てほしいのだ。 ＜窓＞ #同題ssTB