千年夢(せんねんむ)

◆著者:如月八雲 ◆著者コメント:少しグロ描写ありますがグロを書きたい訳じゃなくあくまでも芸術系のお話。でもかなりファンタスティックです。少しR-18っぽいです。なんとなく防御戦を貼っておきます(苦笑) ◆掲載日:火曜/木曜/土曜 ※結構不確定ですが(汗) ◆第1話から第90話まではこちら http://www.twitlonger.com/show/1rnpdk ◆著者のアドレスはこちら http://twitter.com/kisaragi_yakumo 続きを読む
0
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢091 つまりオヒは偏屈で僻み屋でその上、プライドが高い奴なんだなと知った。でも僕と会った時のオヒはそんな感じしなかったけどな…。そう思いながら改めて自分の体を見回してみた。なんだろうこの服…。え~と確か美術の時に習ったんだよなぁ…う~ん… #novel #sennenmu

2010-06-08 20:19:18
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢092 ヒマティオン!そうそうヒマティオン。そうかこれかぁ…。いやぁ~まさか生きたままこの時代の洋服が着れるなんて思ってもみなかった。千年生きるってこんな楽しい得点が付いてくるんだねえ。などと僕はお気楽モードで服の裾を持ち上げたりしてた。 #novel #sennenmu

2010-06-08 20:37:33
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢093 ところでソクラテスって身長低かったんだ…。プラトンは少しメタボだった。アリストテレスはなかなかの美青年…今で言うイケメン。って言うか僕と同じ年かも。若いのに哲学を学び人に教えられるなんてすごい人物だったんだなぁ。ヒアが嫉妬するのも、 #novel #sennenmu

2010-06-08 20:58:32
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢094 解らないでもない…か。僕はヒアの手をじっと見ながら、なんでヒアは千年の体を手にしたんだろう?確かに千年あればもしかしたらヒアの求めているものが手に入るのかもしれない…ってかあの高架下で言った最初の契約とヒアのほしい物が一緒だ…。 #novel #sennenmu

2010-06-08 21:26:07
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢095 つまりヒアは自分が手に入れられなかったものを僕に手に入れろって契約と言う名の命令をしたわけ?いやいや絵と言葉じゃそもそも違うでしょうに…。と一人で否定したり肯定したりと世話しなく思考を巡らすけれど、明確な答えは得られなかった。 #novel #sennenmu

2010-06-08 21:51:09
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢096 くそっ!!…あいつら絶対俺を見下してやがる。俺には石切りの技術以外いらねぇって言ってやがるんだ!言葉や思想の重みも解らない凡人どもが…。ちょっと名の売れた人間見つけると直ぐに尻尾振りやがる。ああいうのが思想を堕落させやがるんだ! #novel #sennenmu

2010-06-09 20:26:14
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢097 誰にも言えないそんな醜い思いを、今にも崩れそうな脆い壁にぶつけながら、ヒアは安い葡萄酒を一気に呷った。口から零れた酒をグィッと手の甲で拭いながら、薄暗い部屋から日が落ち始めて薄暗くなり始めた外に出て行った。行く宛てなどないのに。 #novel #sennenmu

2010-06-18 00:53:08
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢098 少し言い過ぎたか…。ネイは頭を抱えながら呟く。しかしヒアはいつも怒ってやがる。怒ったって意味が無いだろう…。生まれの違いなんて仕方が無いじゃないか。恨み言言ったって石切り職人の家に生まれたら石切り職人になるのが当たり前なんだ…。 #novel #sennenmu

2010-06-09 20:26:23
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢099 そう言いながらネイも安い葡萄酒を飲んだ。ネイとヒアは幼い頃からずっと一緒だった。家が隣同士で同じ石切り職人の家系で、ヒアの父親にネイの父親も近い部分があり、二人が親友になるのは自然な流れだった。だからそれだけに、ネイはヒアの、 #novel #sennenmu

2010-06-09 20:26:33
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢100 惨めな貧乏暮らしの辛さ、自分を蔑ろにした人間を見返したい恨み、三大哲学者に憧れ、でも絶対越えると言う向上心、だが自分に無い物を持ってる事への嫉妬を解らない訳ではない。だからネイは酒を一気に飲み部屋を出た。ソクラテスの家に行く為に。 #novel #sennenmu

2010-06-09 20:26:44
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢101 酔って小石に足をとられ川に落ちた。川の水がなんとも冷たく火照った体に心地よい。まだ夕日に邪魔され輝けない夜空の星達を見ながらオヒは、お前らはいいよな…自分が輝くべき事を知ってる。俺はお前らの様に何をすればいいのか全く、知らねぇよ…。 #novel #sennenmu

2010-06-09 20:55:02
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢102 淋しげにそう呟いた。川の水がこんなに柔らかいのも、吹き抜ける風の穏やかな匂いも、漆黒の色を広げ始めた空の広さも、大切な事柄を抱え存在してるからで、俺だけが大切な何かを持たないまま生き恥晒し…無様だな俺はと、笑った。ケラケラと笑った。 #novel #sennenmu

2010-06-09 21:19:58
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢103 いや、哂ったのだ。どうしようもなく不甲斐ない自分に。全て拒否し、孤高と言う名の孤低に落ち、最も信用した親友に牙を向け吼えてしまったのだから。差し伸べられた手を掴めば、未来が開くのは解ってる。解ってるがそれを良しとしない自分がいる。 #novel #sennenmu

2010-06-09 21:58:43
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢104 そんな頑固な部分が、酒に溺れてた父親の生き方に似て嫌気がさした。濡れたまま、フラフラと川の中から上流に意味も無く歩き始めた。途中何度か石に付いた苔で足をとられ川へ沈む。その度に何となく哂いながら、生きているを実感するヒアであった。 #novel #sennenmu

2010-06-09 22:04:07
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢105 ネイは走り出した.何の為にソクラテスの家に…?ふと頭の中で疑問が過ぎった。だが疑問は愚問へと変わり唾棄すべき物になった。酔ってはいるがネイの頭はすっきりしていた。もしヒアをソクラテスに紹介できるよう二人の関係を上手く取り持てたら、 #novel #sennenmu

2010-06-09 22:12:22
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢106 そう思った瞬間から、ヒアの為ヒアの為と、口ずさみながら走り出した。その思いは本当に純粋で、ヒアの為に何か、ヒアの笑顔が見たい、ただそれだけしかなかったのだ。ヒアとソクラテスが繋がれば、全てが上手く良くのだとネイは少しも疑わなかった。 #novel #sennenmu

2010-06-09 22:24:55
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢107 ヒアはまだ川の中を歩き続けていた。酔いはもう覚めていた。足に纏わり付く水に少し嫌悪が出てきた。立ち止まりすっかり暗くなった辺りを見渡し改めて自分は独りだ、俺の人生は独りなんだと悟った。師も友も恋人もいない人生を俺はこれから、 #novel #sennenmu

2010-06-09 22:42:21
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢108 ずっとこの状態で過ごすのか…俺は何も残せずに…。絶望と孤独がヒアを包んだ。その時、ふいに声がした。「……きわ………か?」ヒアは動きを止め叫んだ。誰かいるのか?!声が森に吸い込まれた。空耳…か…?まだ酔ってるのか?ははは、情けない…。 #novel #sennenmu

2010-06-09 22:50:16
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢109 ざばざばっ!と川の水を掻き分け、水辺に移動し大きな石に腰掛けた。するとまた声がする。「…………め…い…?」と。男とも女とも子供とも大人とも何とも言い様の無い声だった。辺りを見渡すがやはり人は誰もいない。化物の類か?ヒアは…身構えた。 #novel #sennenmu

2010-06-09 23:03:27
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢110 「おい………た……?」…ヒアは叫ぶ。姿を出せ!この世に何も残せぬなら死を選ぶ!さぁ俺を殺せ化物よ!その時、川上からネイの声。「ヒアの為!」と叫びつつ走り去った。辺りの雰囲気が急に軽くなった。ネイは咄嗟にヒアの後を何故か追っていた。 #novel #sennenmu

2010-06-09 23:12:06
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢111 ヒアはネイに向かい全力疾走した。謝りたい気持ちがあった。唯一俺を理解してる数少ない友。失いたくはない。ネイがいたから今まで、自分を見失わないでここまでこれたんだ。富裕層の人間に食って掛かった時も、一番最初に俺を庇い諫め守ってくれた。 #novel #sennenmu

2010-06-10 20:12:21
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢112 ヒアは己の愚かさ、幼さ、無知を恥じ呪った。そして泣いた。自然と涙が零れていた。涙を流しながら、ただネイに会って謝りたくて走っていた。独りで見た、あの川の静けさの孤独がとても怖かった。そしてその孤独に引き込もうとするあの声の存在も。 #novel #sennenmu

2010-06-10 20:31:52
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢113 あと50M程で追い付ける!あいつに会ったらまず何を言おうか?謝るのが先かそれとも…と考えていた。が急にヒアの背筋に冷たいものが走る。あの声の気配を、背後から感じた。確かに追ってきている、姿は無いが確かに。しかも一定の距離を保って。 #novel #sennenmu

2010-06-10 20:47:51
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢114 走る速度を抑えれば声の気配も抑え、上げれば気配も上がる、その間も声はブツブツと何かを言っている。何か言ってるのは確かだが、ヒアは聞き取れない。得体の知れない声に追われているのに、聞き取れる余裕がある訳が無い。何度も振り返るが、 #novel #sennenmu

2010-06-10 21:02:25
八雲@ただいま。 @kisaragi_yakumo

千年夢115 声の気配は感じるものの、その本体は一向に見えてこない。いったい何なんだこの声は。俺に何をしたいんだ?殺す訳でも脅す訳でもなく何かを与える訳でもない。だが何か言ってはいるが聞く気にもなれない。多分その言っている事を聞いてしまったら、 #novel #sennenmu

2010-06-10 21:13:59
1 ・・ 8 次へ