藍童話集
- keitoura1123
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ながいながい坂を覗き込んで、少女はするりと一瞬眩暈を覚えた。腕の中からスルリと一本の椿が地に落ちる。水色のワンピイスの裾が揺れる。あ、と少女は呟いた。 #空想の街 #藍童話 #坂をおちる
2012-04-21 09:04:51椿は落ちていった。時折中に舞いながらふるふると風に揺られながらくるくる踊るように。でも林檎と同じで椿ににも止まる手段などありはしないのだ。花びらが一枚取れ、二枚取れ、夕方にさしかかるころに椿は坂の下にたどり着いた。 #空想の街 #藍童話 #坂をおちる
2012-04-21 09:07:174日後、坂を通りかかった少女はスキップをしていた。右手を空にかざしてみるのは昨日夜店で指輪を勝手もらったからだ。嬉しそうににこにこしていた少女だが、ふと、坂が気になったらしく足を止めた。 #空想の街 #藍童話 #坂をおちる
2012-04-21 09:10:16細い指から小さな指輪が滑り落ちた。ああっ!泣きそうな声を少女は上げるが指輪は止まらない。吸い込まれるように坂を転がっていく。 #空想の街 #藍童話 #坂をおちる
2012-04-21 09:14:03ながいながい坂を転げながら指輪は落ちていく。チャチな作りの指輪は石に傷つき留め金がずれぼろぼろになっていく。それでも落ちて、落ちて、指輪が坂を落ち切ったのはお昼前のことだった。 #空想の街 #藍童話 #坂をおちる
2012-04-21 09:16:01その日から少女は熱を出して寝込んでしまった。高熱というのは辛い。布団の中でぐずる少女を母親は優しく撫でて、額の布をそっと水に浸すのだった。 #空想の街 #藍童話 #坂をおちる
2012-04-21 09:19:10二日後、ながいながい坂の上に少女がやってきた。白いワンピイスを見かけた通行人がいいお洋服だねえ、と声をかける。少女は嬉しそうにはにかんで、突然坂を駆け下りた。少女が坂のふもとに姿を現したのは一瞬後のことだった。少女に影はなかった。 #空想の街 #藍童話 #坂をおりる
2012-04-21 09:22:46しっかり者は長女 長女 長女 森でネズミを捕まえて 振り回して言った 『ネズミよ ネズミ めくらネズミよ 魔法の呪文 教えとくれ』 憐れなネズミは こう叫ぶ 『呪文はそこだ うちのタンスの板のした』 長女は気分を 操る魔女に #空想の街 #藍童話 #三姉妹とめくらネズミ
2012-04-22 23:56:21ずる賢いのは次女 次女 次女 海でサカナを捕まえて 振り回して言った 『サカナよ サカナ めくらザカナよ 魔法の呪文 教えとくれ』 憐れなサカナは こう叫ぶ 『呪文はそこだ うちの屋根裏うえにある』 次女は悪夢を 操る魔女に #空想の街 #藍童話 #三姉妹とめくらネズミ
2012-04-22 23:59:04お馬鹿さんの三女 三女 三女 道でコトリを捕まえて 抱きかかえて言った 『コトリよ コトリ 憐れなコトリ お前のうちは どこだろう』 喜びコトリは こう叫ぶ 『呪文をあげる 僕の命の代償に』 三女は視界を 操る魔女に #空想の街 #藍童話 #三姉妹とめくらネズミ
2012-04-23 00:01:43タンスと屋根裏コトリの命 愚かな三姉妹 魔法の力を知らないで 大ゲンカ 大ゲンカ 狂ってくらくら三人を ソラフグの群れが 食べちゃった #空想の街 #藍童話 #三姉妹とめくらネズミ
2012-04-23 00:04:09