空想の街　六日目（４／２５ 水）

莢豆（藤房） @asimox330

それでもやってけたのは地主様の息子殿が気に入ってくれたからですねぇ。あのお人はがたいのいい荒くれものでしたが、根っこは優しくて男気のある、今の言葉じゃ「だーてぃー」な方でした。 #空想の街 #オトトイ食堂 #鳥に纏わる掌編 (ちょっと力尽きます…)

愁夢 @s_shumu

からん、その男の人が迷い込んできたのは夜も更け過ぎた時間だった。少し酒精の混じる息を吐いて気怠そうな様子で口を開いた。「此処、想いを石にこめることが出来るって」「ええ、そうです。あなたの想いを石に封じる店です」「想い、か」 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

愁夢 @s_shumu

男は寂しそうに笑った。「会いたい人がいるんだ。だけど会えない。せめてそいつの想いだけでも俺は知りたい」嘆くような言葉が僕の心に突き刺さった。切なく、けれど、熱い想いだ。「僕には想いを封じ込めることしかできない」落胆の表情が浮かぶ。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

くさがみ•R•シン @kusagamirin

@kusagamirin 都市伝説な靴磨き職人技、権蔵さんです。ヨレヨレな格好をしてます。彼と出会うことができたなら、その後の人生は成功が約束されたようなものです。そんな設定で。#空想の街 http://t.co/T4SELwnj

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愁夢 @s_shumu

「けれど、宜しければ、僕にあなたの想いを石にさせて頂けませんか？きっと素敵な封石が出来ると思います」男は溜め息を吐いた。「だが、今の彼女を知る手立てにはならない。そうだろ？」「ええ、そうです」無理か、がっくりと項垂れた。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

愁夢 @s_shumu

「彼女への想いをその石に封じてどうなるっていうんだ」諦めきった言葉には、それでも熱が籠もっていて。「それでも、作りましょうよ」この人の封石が作りたい、心からそう思っていた。この人はどんな想いを石に込めるんだろう。不躾な期待だった。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

愁夢 @s_shumu

「わかった」男は三度溜め息を吐いた。酒の香りが店内を充満する。「では、この硝子玉にあなたの想いを込めた言葉を聞かせて下さい。僕は奥で」言葉の途中で男は硝子玉に向かって言葉を吐いた。「柑南……」想いの籠もったたった一片の言葉。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

chi-suke @ChiKomiya

【番外4】――ごちそうさま、また話を聞きに来るよ。鳥屋は暖簾をくぐった。売れなかった鳥籠を抱え、夜道を歩く。鳥を買ってもらえなかったのは残念だったが、あの店の酒と小料理は美味かったし話も面白かった。さて、今夜の宿はどこにしようか。　#空想の街　#オトトイ食堂　#鳥に纏わる掌編

愁夢 @s_shumu

硝子玉がぽぅっと応えるように光った。いつもよりずっと長く、強く。（強い想いなんだな）眼を見開いた男は硝子玉をまじまじと見直した。「お借りいたします」その手から硝子玉を摘み上げて、天窓の下へ移動する。瞬間、僕の瞳を貫く照り返しの光。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

愁夢 @s_shumu

ぼたぼた、と涙が落ちた。（星を覗いてすらいないのに……）硝子玉は橙色に煌めきながら、尚も透明なままだ。慌てて硝子玉を通して星を覗く。涙がすうっと頬を滑り、煌めく硝子玉に吸い込まれた。太陽のような強い光が店内に満ちた。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

ささ @sstnkn

真夜中のチェルシービルに、一人の少女がいた。「ん、綺麗な星……」少女――イトは星に手を伸ばし、両手の人差し指と親指で四角い窓をつくった。 #糸遊 #空想の街

ささ @sstnkn

「こんな、カンジかな」景色を決めて、一つまばたき。そのまま手を握りこむと、そこにはさっきまで空に光っていた星のひかりを映し出したような繊細な細い糸が入っていた。 #糸遊 #空想の街

愁夢 @s_shumu

「なんだこれ」男は驚きに身を引いた。僕自身、ここまで強い光は初めて見たけれど驚きはなかった。（だって、それだけ強い想いだった）たった一言の名前。それに込められた想いはどれ程のものだったのだろう。現れた封石は陽だまりの色をしていた。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

ささ @sstnkn

手の中を確かめて、イトはチェルシービルを降りる。今夜は風も気持ちいい。良い糸になりそうだ。 #糸遊 #空想の街

愁夢 @s_shumu

「舐めたらあなたの想いが味わえるはずです」切なくて、寂しくて、でも熱い想いが。「……味わえる、のか」表情が曇る。「今すぐでなくても構いません。想いを見失いそうになった時でも良い。舐めてみて下さい」男はもう一度封石に視線を落とした。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

愁夢 @s_shumu

封石の丸い輪郭をじっと眺めてから、男は瞳を閉じた。「わかった。いつか、必ず舐めてみる」頷いて、立ち上がった。「遅い時間に悪かったな。邪魔をした」「いえ、こちらこそ素敵な想いを有難うございました」どちらからともなく、握手を交わした。 #空想の街 #ボトルシップが運ぶ手紙 #封石屋愁

愁夢 @s_shumu

男の背を見送り、扉の板を【CLOSE】に変える。「あの人、大切な人と会えるといいね」「だな」机の上で彫刻になっていた星輝がぱちりと瞬いた。「さっきの光の時、身動ぎしたでしょ？」「あんな光初めて見たんだよ」盛大に顔を顰めた星輝は誤魔化すように僕の肩に乗った。 #封石屋愁 #空想の街

愁夢 @s_shumu

甘酸っぱい果実水が喉を通っていく。藍色の誰かへの想い、月色の今夜の想い出、それから陽だまり色の強い想い。嗚呼、今日はたくさんの煌めく想いと触れ合うことができた。星と同じように輝いている想いが、僕の中でキラキラと光っている。「愁星、酔いかけてるぞ、早く寝ろ」 #封石屋愁 #空想の街

愁夢 @s_shumu

「わかったよ」愁星はむくれるように頬を膨らませた。眠そうに眼を擦りながら、二階に上がる。寝間着に着替え、窓へと近づく。「本当に綺麗だね…」恍惚とした表情は星の想いに酔っている証だ。「ほら、寝ろ」たしたしと布団を叩くと、大人しく布団に包まった。 #封石屋愁 #封石猫 #空想の街

愁夢 @s_shumu

今夜の分までまとめ更新いたしました。　「封石屋愁」 http://t.co/YWg9owSZ #空想の街 #封石屋愁